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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ユニバースワン

 
前書き
これから更新速度が遅くなるかもしれません。
最低でも週1回は更新しようとは思ってますが・・・ 

 
「ごはぁっ!!」

ティオスの絶対零度により吹き飛ばされるスティング。強烈な一撃を受けた青年。だが、彼の体を貫くほどの威力はなかった。

「ぐっ・・・」

スティングを殺しに行ったはずのティオスがその場にうずくまる。プルプルと震えている彼を見て、ローグがスティングへと駆け寄る。

「スティング!!大丈夫か!?」

口元へと耳を近づける。幸い呼吸はしているものの、彼は今の一撃で気を失ってしまっているようだ。

「まだ永遠の悪夢(エタニティナイトメア)の作用が残ってたのか・・・仕留め損なった・・・」

ティオスの絶対零度が本来の威力を発揮しなかった理由、それはグラシアンが命を賭けて使った魔法が影響していた。
ティオスを道連れにすることはできなかったが、彼のその魔法の作用がわずかながらに残っていたことがあり、ティオスは本来の力を出し切れず、スティングを殺すことができなかったのだ。

「スティングくん!!」
「ローグ!!」
「グラシアン!!」

その時空を飛んでやってくる三つの小さな影。それは彼らの相棒であるエクシードたちだった。

「フロッシュ!!来てくれたのか!?」

駆け付けてくれた友を見て思わず笑顔が溢れる。飛んできた3匹はその光景を見て、言葉を失っていた。

「スティングくん!!大丈夫ですか!?」
「グラシアン!!どうしたの!?」

スティングを揺さぶるレクターとグラシアンを揺さぶるキセキ。スティングは辛うじて一命を取り止めているためすぐにレクターは安堵の表情を浮かべたが、キセキは涙を流しながら大切な友を揺さぶり続ける。

「フロッシュ、ギルダーツを連れて逃げてくれ」
「ギルダーツ?」

不意に話しかけられたことで首を傾げるフロッシュ。ローグは横たわっている髭面の男を指指すと、フロッシュは頷いて彼を持ち上げる。

「ローグくんはどうするんですか!?」
「俺はここで足止めする。大丈夫だ、すぐに追い付く」

気を失っているスティングとギルダーツ、そしてもう冷たくなってしまったグラシアンを持ち上げて3匹は強大な敵の前に立ちはだかる仲間の背を見ながらハイスピードで撤退していく。

「チッ・・・運が悪いな」

飛んでいくエクシードたちを見て悔しそうにしているティオス。ローグは彼に向き合うと、魔力を高めていく。

「ここは絶対に通さないぞ」

命を賭けてくれた友に報いるためにも引くわけにはいかない。そんな決意が滲み出ているローグだったが、ティオスは残念そうにタメ息を付いた。

「悪いがローグ、俺はお前を殺さないぞ?()()()
「なんだと?」

意味深な言葉を並べて笑みを浮かべるティオス。だが、それから数分後、彼の表情は一変することになることを、この時誰も予想することはできなかった。



















シリルside

「んん・・・」

部屋の灯りに目が覚めてしまう。辺りを見回すと、隣にはウェンディとシェリアが眠っているのが目に入った。

「えっと・・・ここは・・・」

見覚えのない天井に頭がついていかない。しばらくこれまでの出来事を思い出していると、あることを思い出して布団を蹴飛ばし跳ね起きた。

「気が付いたか、シリル」

その様子を見て冷静にそう述べたのはリオンさん。彼の目の下にはクマが出来上がっており、疲労の色が目に見えている。そんな彼の隣にいるのは、真っ白な布を被せられた小さな少年。彼を見て、あれが夢ではなかったことを再認識し、心が折れそうになる。

ガチャッ

しばらくお互いに何も話さずにいると、部屋の扉が不意に開いた。そこにいたのは肩で大きく息をしているカグラさんの姿。

「その様子だと、見つからなかったようだな」
「あぁ・・・」

暗い顔をしながら近くにあった椅子へと腰かける女性。彼女も非常に疲れているようだが、数秒ほど座っているとまたすぐに立ち上がる。

「お前も少し休んだらどうだい?昨日から一睡もしてないだろ」

そう言ったのはカグラさんのすぐ近くのベットで横たわっていたリズリーさん。その声にカグラさんは何も言わない。

「どうしたんですか?」

彼女が何をそんなに慌てているのかわからない。見たところ、生還していた者たちは全員この部屋に集められている。アルバレス軍の兵隊たちは全滅したとのことだったし、彼女がなぜここまで慌ただしく動き回っているのか一向に見えてこない。

「ソフィアがな・・・見つからないんだ」
「え?」

そう言われて俺は初めて気が付いた。人魚の踵(マーメイドヒール)に所属しているはずのソフィアの姿を一度も見ていないことに。

「昨日ソフィアはアルバレスの魔導士に捉えられたんだ。てっきり今日勝てば取り返せると思っていたんだが・・・」

その女魔導士の姿を見えないらしく、カグラさんは今まで探し回っていたらしい。再度外へと飛び出そうとしたカグラさんだったが、扉に手を付く直前で力尽き、その場に倒れ込んでしまった。

「カグラ!!うっ・・・」

駆け寄ろうとしたリオンさんも疲れでそこにたどり着けない。その時偶然目を覚ましたグレイさんと俺、さらにラクサスさんで二人をベットへと寝かせる。

「俺たち・・・勝ったんだよな?」
「そう思いたいが・・・」

勝利を手にしたはずなのに、その実感が沸いてこない。皆大切なものを失ったこの戦いは、俺たちの心に深く突き刺さるだけだった。














第三者side

ゴゴゴゴゴゴゴ

その頃東方では、とんでもないことが起きていた。
ブランディッシュの提案により、彼女が東から進軍してくるオーガストと交渉することになりそれに同行したナツ、ルーシィ、ハッピー、メスト。ブランディッシュがそんな交渉に来たことにオーガストもリュシーも驚いていたが、何かを感じ取ったオーガストは交渉のテーブルに着こうとした。
その時だった。メストが彼を殺害するためにブランディッシュの記憶を操作し攻撃を食らわせたのだ。
それによりオーガストは大きな傷を負ったが、それが彼の逆鱗に触れてしまった。
全身が真っ赤になり髪が逆立った魔導王。その魔力の大きさはあまりにも大きく、大気が震えていた。

「おじいちゃ・・・」
「ランディ!!こっち!!」

怒るオーガストにいまだに操られつつあるブランディッシュが話しかけようとしたが、それを遮るようにリュシーが彼女を引き寄せる。
そのタイミングを待っていたのか、オーガストの目が大きく開いた。

「ルーシィ!!」
「!!」

嫌な予感を感じ取ったナツがルーシィを庇うように飛ぶ。だが、そんな彼らを逃がすまいと言いたいのか、地面が広範囲に輝いた。

「溶けろ」

ドゴォッとけたたましい音を響かせ空へと伸びる火柱。それはナツたちを含めた妖精の尻尾(フェアリーテイル)全員を一瞬のうちに飲み込んだ。

















その頃妖精の尻尾(フェアリーテイル)の地下では、この戦争を大きく動かすことになるピースがまた一つ埋まろうとしていた。

妖精の輝き(フェアリーグリッダー)!!」

カナの魔法がメイビスの思念体へと落とされる。その一撃により少女は悲痛な叫びを挙げながら消滅した。

「初代・・・!!初代!!」

メイビスの指示通りに彼女の思念体を消し去ったカナ。彼女は魔水晶(ラクリマ)の中にいる彼女の元へと走っていく。

ピキィピキィピキィ

すると、少女が閉じ込められていた魔水晶(ラクリマ)に少しずつ割れ目が入っていく。それが粉々に砕け散ると、目を閉じたままの少女が倒れてくるので、カナはその下に入り体を支えた。

「初代!!無事なのかい!?初代・・・!!」

目を閉じたままの彼女の体を必死に揺さぶる。その声が届いたのか、メイビスはわずかに目を開いた。

「筋肉が萎縮してますね。うまく体が動かせません」

彼女が生きていることに安堵の息を漏らしたカナ。だが、その安堵した表情はすぐに困惑のものへと変化することになってしまう。

















「ガシルーっ!!」

北方のとある場所。ここではガジルとレビィがブラッドマンと戦っていた。魔障粒子を使い敵を黄泉の世界へと誘おうとするブラッドマン。それに苦戦を強いられた二人だったが、ガジルがそれに含まれる微量の鉄分を頼りに吸い込み覚醒。彼を撃破した・・・かに思えた。
だが、自らの敗北を読みきった彼はガジルを道連れにしようとしているのである。

「なんだこれは・・・体が・・・吸い込まれる」
「黄泉への扉・・・もう帰れぬぞ。もう・・・二度・・・と・・・」

先に死を迎えたのかブラッドマンの声が聞こえなくなる。代わりに周囲に響き渡るのは、鉄の竜の悲痛な叫び。

「ガシル!!」

魔障粒子に犯されつつあったことでダメージを受けていたレビィだったが、大切な存在の危機に立ち上がり彼の元へと駆けていく。

「来るなー!!俺の体はもう・・・魔障粒子の塊に・・・なっちまった・・・
俺に触ったら・・・お前まで・・・」

迫ってくるレビィを止めようとするガジル。それでも、少女は足を止めることはない。

「そんなのどうだっていい!!」
「レビィ!!」
「私はガジルを助けるの!!絶対に!!」

聞く耳を持たない少女を見てガジルは実力行使に出る。自らの魔法を打ち出し、レビィを巨大な岩に磔にする。

「何すんのよガジル!!」
「こうするしか・・・」

悔しそうに奥歯を噛んだガジル。だが、レビィは動かすことのできる足でSWORDの魔法を作り出し、岩を真っ二つにして突き進む。

「よせー!!」

自分の巻き沿いに彼女をしたくないガジルは必死に叫んだ。その想いが通じたのかはわからない。だが、その時現れたリリーがレビィを羽交い締めにする。

「放してリリー!!」
「ダメだ・・・巻き込まれる」
「放して!!このままじゃガジルが・・・」

響き渡るレビィの叫び声。リリーは目を閉じて彼女の方を見ない。見たら己の決意が揺らいでしまうことがわかっていたから。

「レビィ・・・俺は・・・本当に・・・どうしようもねぇクズだった・・・お前に会えて・・・お前のおかげで・・・俺は少しはマシになったのかもしれねぇ。
お前が俺に人を愛することを教えてくれたんだ」

死の間際とは思えない青年の清々しい表情。それを見たレビィの顔からは、涙がこぼれ落ちた。

「ガジル・・・」
「お前のおかげで俺は・・・今まで一度も考えたこともなかったことを考えるようになった。未来・・・家族・・・幸せ・・・笑えるぜ・・・あのガジル様が・・・いっぱしの人間みてーなことを・・・
ずっと二人で歩いていたかった。未来を失うことがこんな怖いこととは思わなかったんだ」

詮が抜けたかのようにボロボロとガジルも大粒の滴を溢す。彼の体は、黄泉の世界へと送られようとしていた。

「俺の未来はお前に託す」
「いや!!ダメ・・・ガジル!!」
「俺の分まで生きるんだ」
「行っちゃいやだぁ!!」

懸命に手を伸ばしてもそれはもう彼には届かない。最後の際、青年は笑っていた。

「リリー、レビィをギルドに連れて帰れ。必ずだ」
「・・・必ず」

男同士交わした最後の約束。それを聞き取った彼は笑みを浮かべたまま、その場から消え去った。
最後に残されたのは涙ぐむ友と少女の悲痛な叫びのみ・・・















「俺を殺さないだと?どういうことだ?」

ここまで幾人もを残忍に始末してきたティオス。彼のこの発言にはローグは驚かずにはいられない。

「何人かのキーマンたちは生かしておかなければならない。お前がそのうちの一人・・・というだけだ」

そう言った彼はローグの視界から消える。どこに行ったのかと辺りを影竜は見渡していると、後ろから巨大な魔力の気配を感じた。

「眠ってろ」

ゴッと鈍い音が聞こえた。その一撃によりローグは地面に倒れ込む。

「くっ・・・」
「あれ?まだ意識があるのか」

今ので青年の意識を飛ばしたものだと思っていたティオスだったが、彼はまだ起きていることに首を傾げる。

「だけどそれじゃあ動けないだろ。しばらく大人しく・・・!!」

動きを封じることはできたとその場を後にしようとしたティオスだったが、彼はある者の気配を感じそちらを振り返る。

「ドラゴンがいるようだな」

長いボサボサの髪をした黒い衣装に身を包んだ男。ローグはそれが誰だかわからなかったが、ティオスは彼を見て笑みを浮かべた。

「まさかここで再会できるとは・・・ありがたいな」
「うぬもいるのか・・・あの時の借りは返してやろう」

一年ほど前、100年クエストを完遂するためにこの地を訪れたレオン。そこで彼が出会ったのは、この男・・・アクノロギアだった。

「あの時よりも俺は強くなったぞ?さぁ、君で勝てるかな?」
「我は竜の王、アクノロギア。この世界で最も強いものだ」

因縁ある二人の男。今度は北部にて人智を越えた戦いが繰り広げられることになるのか?


















「ここでティオスとアクノロギアが対峙するとは・・・予想外だわ」

そう呟いたのはこの戦況をずっと眺めていたアイリーン。彼女は持っている杖を地面に突き立てた。

キィィィン

すると、彼女を中心とした光が地面から放たれる。その輝きはどんどんと伸びていく。

「また会えるといいわね、アクノロギア様」















ピカァッ

その輝きはぶつかり合おうとしていたこの二人の地にまで伸びてきた。額をぶつけて睨み合っていたティオスとアクノロギアは、その異変に気が付く。

「なんだこれは・・・我が知らぬ魔法?」
「何がどうなってんだ?一体・・・」

400年前から生きているアクノロギアでさえ知らない魔法。それを見たティオスも何が起きているのかわからなかった。












フィオーレ全土を照らす光。その正体がわかったゼレフでさえ、驚きを隠せなかった。

「アイリーン・・・君はあの魔法を使ったのかい?
世界再構築魔法・ユニバースワン」

発動されたアイリーンの魔法。それはこの戦いの結末にどう作用することになるのだろうか?





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
今回はちょっと雑です。カウントダウンで力を使いきった感がありありと見える文章の羅列になってしまいました(笑)
今回はユニバースワンですけど、別にここからカウントアップしていくわけじゃないので心配しないでください。えぇ、たぶん・・・ 
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