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相談役毒蛙の日常

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二十一日目

 
前書き
ウルガとムマ知ってますか?
ウルガは「ダンまち」に出てくるダブルブレードパドルブレードです。
ムマは「魔弾の王と戦姫」に出てくる大戦斧です。
たぶん、ググったら出てきます。 

 
「メティ、サンディ。今日の2100(フタヒトマルマル)から新装ダンジョンのボス戦だ。
今日からは俺も出る。お前らも"はっちゃけて"いいぞ」

「「やったぁ!」」

談話室に居た二人は自分達の倉庫へと走っていった。

「なぁ、灯俊」

「ゲーム内でRNは厳禁だぞ葵」

「あの二人…幾つなんだ?」

メティとサンディはたしか…

「今年で10だったな」

「10!?」

「あの二人の両親が誕生日のプレゼントに買ったのがアミュスフィアとALOだったのさ。
まー、あの二人のリアルの家にまで行って二人の両親に文句言ったのはいい思い出だよ」

「はぁ!?」

うん?

「どうしたカトラス?」

「お前、それ、リアル割れ…」

「イクシードは時々オフ会やってるぞ。
あの二人はイクシードでこそ無いけど、ウチの古参だからな。
オフ会には毎回出てくるぞ」

「いや!そうじゃなくて二人の両親に文句言ったって…」

「おう、テルキスとカールターナーと一緒にな。
そしたらなぜか二人の両親に気に入られてな…
二人を頼むと言われた」

「えー…」

カトラスがジト目だ。

「光源氏計画…?」

「もし俺にその気があってもイクシーズが許すかよ」

「でもお前に懐いてるみたいだが?」

「あの二人にはALOのイロハと戦闘しか教えてねぇよ」

一応、二人は俺の弟子だったりする。

なのでバトルスタイルも俺と似ている。

ケットシーに重い武器持たせるのはどうかとも思ったが、本人達が言うのでまぁ、ね。

「メティとサンディは、ALOのトップランカーだ。
恐らくALOでバトル大会をやればトップ50には食い込むな」

「そんなにか!?」

「おう、腕前は…今日のボス戦でわかるさ」











2145、新装迷宮を踏破し、ボス部屋前まで来た。

テルキスの命令で訓示をやるハメになってしまった。

「諸君!相談役のポイズン・トードだ!
この一週間留守にした事をここに謝罪する!
その償いとして今回俺達第一遊撃小隊はαストライクだ!
精々お前達に楽をさせてやろう。
ただし!賢明な諸君、わかっているだろうが…
我等の愛する妹分に遅れを取るなよ!」

そして、クルリと振り返り、ボス部屋のドアを押す。

ぎぃぃぃぃ…と扉が開いた。

ボス部屋の中央に、ポリゴンが集まり、ボスを形作る。

その間にボスの情報を再確認。

「敵はコンカラー・オブ・アビス!
HPバーは五本!
しかーし!敵はデカイだけのエビだ!」

最後のポリゴンが集まり、ディテールが仕上がった。

ボスが雄叫びをあげる。

「お前ら!あのエビをフライにするぞ!」

「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」

レイドが散会し、ボスを取り囲む。

「メティ!サンディ!久々だろう!
お預け食らわせて悪かったな!
存分にやれ!」

「「はい!」」

二人がボスに攻撃を仕掛ける。

しかしその得物は、大太刀と薙刀ではない。

メティの得物は大太刀から彼女を覆い隠せる程の大斧へ…

サンディの得物は二メートルは有ろうかというダブルブレードパドルブレードへ…

「ヒャァーーーーー!」

と叫びながらメティが大斧を叩き付け…

「アハハハ!死ぬの!アナタは私達に殺されるの!」

と言いながらサンディが連撃を放つ。

「おい、トード」

「どうしたカトラスよ?」

「なんだあれは!?どこのバーサーカーだよ!?」

「あー…うん…
俺はどこで教え間違えたのだろうか?」

バーサーク状態のメティとサンディってまんま山猫だよねぇ…

「オレが知るか!」

いや、わかってはいる。

メティとサンディがバーサーカーになる理由…

彼女等は、魅入られてしまったのだ。

敵を倒す事に、敵をいたぶる事に…

己が心の平穏を保つため…

「いやいや、ちゃんと教育したんだよ。
戦い方から何から何まで…
そしたら一時期を境にあんななっちゃってさ…」

その後は、彼女等に条件付けの訓練とかをやった。

"特定の武装"を纏った時のみ暴れてもいいという風に。

放っておけば、彼女等は他者をいたぶる事を生きる目的としかねない。

抑圧すれば、欲求不満で爆発するかもしれない。

だから、イクシード全員が知恵を絞り、このような形となった。

「まー…思春期すぎて大人になったら落ち着くだろ」

「気の長ぇ話だな」

さて…そろそろ俺達も行くか…

「カトラス」

「なんだよ?」

「俺がタンクしてやるからお前が切れ」

「オレがアタッカーか?でもいいのか?
このギルドじゃぁお前が一番のダメージディーラーだろ?」

「俺が居なくてもあの二人が何とかするさ」

そして、俺達二人はボスへ突撃した。

俺がハサミを防ぎ、カトラスが斬る。

そして、ボスが倒れたのは一時間後の事であった。

LAはメティの大斧の一撃だった。

「隊長!LAとったの!」

「おー、よくやったな」

とメティの頭を撫でてやる。

「うにゅぅ」

「むぅ…」

メティが嬉しそうにしている反面、サンディからは抗議の視線が向けられる。

「お前も十分頑張ったよサンディ。総ダメージの一割はお前の物だよ」

流石に一割は盛ったが、それだけの働きはしたのだ。

「「うにゅ!」」

二人の頭を撫でてやると、猫耳が嬉しそうにピコピコと動く。

「そら、さっさと得物を仕舞え」

「はい!隊長!」

「わかったの」

さてと…

俺の後ろで、メティとサンディを見ていたカトラスに振り向き…

「カトラス、ようこそ第一遊撃小隊へ。
なに、安心しろ。お前もきっちりバトルジャンキーに教育してやろう」
 
 

 
後書き
林檎(メティ)/蜜柑(サンディ)
無限PKの最中、トードに助けられたケットシーの双子。
アバター、リアル共に瓜二つ。
リアルでは見分けがつかない(イクシーズはわかるらしい)。
以降カオスブレイブズに所属する。
無限PKのトラウマに対する防衛として、特定の武器を持つとバーサークする。
またイクシーズとはリアルでも面識がある。
カオスブレイブズの中でも灯俊に一番なついている。

林檎(メティ)
武装 ムマ(バーサーク) 大太刀(通常)
トードを隊長と呼んでいる。
バーサーク時は雄叫びを挙げながら大戦斧を振り回す。

蜜柑(サンディ)
武装 ウルガ(バーサーク) 薙刀(通常)
トードを兄様(あにさま)と呼んでいる。
バーサーク時は物騒な言葉を撒き散らしながらダブルブレードパドルブレードを振り回す。
 
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