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ガンダム00 SS

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epilogue in 2314 ⑷

インドのムンバイ基地で、俺たちはなす術もなくニュースを見ていた。

X国首都で発生した爆発テロ。それは間違いなく、ロックウェル中佐たち交渉班を狙ったものだった。

犯人はX国内部に潜んでいたY国のスパイ3名だ。彼らがX国との停戦案を持ち出し、邪魔な停戦監視団をX国へ誘導したのである。

結果として、『X国での爆発テロ。被害者は地球連邦の停戦監視団』という汚名を擦りつけることもできた。Y国側からすれば利益でしかない。

ファルコ・ケイリー少尉がパイロットルームにやってきて俺に言った。

「中枢を狙われたX国はY国感情を悪化させちゃったな。バックアップについてるイノベイター軍、旧人類軍の勢いも増してる。こりゃ、連邦軍の介入もあるかもね」

「俺たちはどうなる?」

「引き続き停戦監視団第5分隊として役割を果たすまでだよ。けど、今までみたいに表向きには動けない」

「連邦軍が展開するのか?」

「まだ決まってはいないけど、そうなる可能性は高いね。何しろ両国の各地で戦闘が激化してるんだ。鎮圧するのは軍の役目になる」

結局、武力に頼るオチなのだ。連邦軍はイノベイター賛成派であるため、旧人類軍と敵対する形となる。力づくで敵を抑え込み、悪感情を持たせればテロが起きる。嫌な連鎖だ。

「この分隊の暫定的な指揮官は誰だ」

「再編成まではムンバイ基地管轄になるから、基地の指揮官だよ。指揮官は、ワン・チャウメイ少佐だ」

「分かった」

俺はケイリーに礼を言ってパイロットルームを出た。輸送艦を降りてムンバイ基地に向かう。

やるべきことは1つ。チャウメイ少佐に第5分隊出動の許可をもらうのだ。



司令室では、ワン・チャウメイ少佐が書類の整理を続けていた。オールバックで目つきが悪いため、堅気とは思えないのが特徴的だ。その鋭い目が俺に突き刺さる。

「停戦監視団第5分隊MSパイロット兼操舵、アル・スワンズ少尉。きみを呼んだ覚えはないが。連絡を受けた記録もない」

淡々としていて、冷えた声だった。俺は負けじと胸を張り、はっきりと答える。

「はッ。連絡もなく、失礼しました。少佐に今後の作戦行動について上申したく参上しました」

「きみたちの今後については現在検討している。待機だ」

「X国、Y国の停戦監視を継続させていただきたいのです」

チャウメイ少佐の視線は会ったときからずっと俺の顔で止まっていた。その無表情に圧を感じ、目を逸らしたくなる。だが、ここで少佐を視界から消せば俺は負けるだろう。そう自分を鼓舞した。

少しの間、室内に空白があった。やがてチャウメイ少佐は静かに言葉を吐き出す。

「きみたちの自衛行為が結果として両国をさらに不安定にさせた。これ以降は軍事的な介入が必要になる。きみはそれを理解できるか」

「もちろん理解しています。しかし、もう一度チャンスをいただけませんか。各国にそれぞれ調査班を編成し、両国対話に繋げます。ここで和解さえすれば、バックにつく2軍も手を引くはずです」

「それは希望論だ。必ずそうなるとは限らない。各国を宥めても、大元の旧人類軍やイノベイター軍がまた上手く丸め込むかもしれない」

「そのときは、彼らにも接触を図り、解決策を共に見つける必要があります」

チャウメイ少佐はそこで初めて視線を外した。折れてくれたのか、と一瞬思ったがそんなことはなかった。

「少尉。きみはそんな楽観的な見方で両国の平和が得られるとでも思っているのか?」

「楽観的かもしれません。しかし、自分はロックウェル中佐と同じく、長い時間をかけて分かり合うことができると考えています」

「それができるなら、私だってその道を選ぶ。……世界はそんなに簡単じゃないんだ」

俺はチャウメイ少佐の重みある言葉に口を噤んでしまう。少佐は続けて言った。

「きみの意見は命令を変更するに値しなかった。話は終わりだ」

「しかし……」

「上官の命令に従えないなら、軍人失格だ」

「……はッ。失礼しました」

俺は回れ右をして後ろに下がり、自動ドアをくぐる。そのとき、チャウメイ少佐から声をかけられた。

「少尉。ついでだ、きみたち第5分隊への指示を渡す」

俺が振り返ると、すぐ近くにチャウメイ少佐が立っていた。俺は驚いて思わず後ずさる。

チャウメイ少佐がファイルを差し出してくる。俺はそれを両手で受け取って脇に収め、片手で敬礼する。

「はッ。受領しました。任務を遂行します」

チャウメイ少佐は小さく頷き、返礼する。

結局、少佐の堅物な顔は最後まで変わることなく、俺の上申も粉々に砕けてしまった。

続 
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