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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第25話 敵の名はGTロボ!活性、グルメ細胞!!

side:アーシア


「所長さん!大丈夫ですか!?」


 私は倒れていた所長さんに駆け寄り声をかけました。お腹と喉から血がダクダクと溢れており見ているだけで痛々しい姿でした。


「金髪の嬢ちゃんか、なあにこれくらい平気だ。わしは痛覚を麻痺させているからな」
「痛覚を……?でも重症ですよ。早く回復しないと」
「しかしわしがベイ如きに遅れを取るとは……それだけ新型のGTロボが優れていたということか」
「GTロボ?さっきのはロボットなんですか?」


 所長さんが言ったGTロボという言葉に私は首を傾げた。


「ああ、グルメテレイグジスタンスロボット……深海数万メートルや月面などを調査する無人探査機がグルメ用に進化したものだと思えばいい」


 前にテレビで深海や月面の様子を調べる機械を見ましたがあれも同じようにロボットを使って美食屋の活動をするという事でしょうか?


「だが凄いのはその性能だ。操縦者の動きをほぼ完璧にこなすロボ、それに加えて人の五感すら備えておりもはや操縦者が実際に現場に行っているのと何ら変わらんほどの臨場感らしい」


 今まで教会以外の事は知らなかったけどこの世界にはそんな技術があるんですね、そのロボットがあれば私でも危険な場所に一人で行けるってことですね。


「それよりも嬢ちゃん、わしのズボンのポケットに酒が入っている、それを取ってくれないか?」
「えっ?でも先に回復した方が……」
「頼む」


 私は回復を先にしたほうがいいと思いましたが所長さんの真剣な表情を見てなにかあると思い言われたとおりにお酒をポケットから出して所長さんに渡しました。所長さんは私にお礼を言った後にお酒を怪我にかけ始めました。


「所長さん!?一体何をしているんですか……ええっ!?」


 私は最初所長さんが何をしているのか分かりませんでしたが直にその理由が分かりました。


「傷が治ってる……!?」


 所長さんがお酒をかけたら傷が見る見る内にふさがっていきました。


「テレイグジスタンスの技術は医療機関でも活躍している。今や世界的な外科医がロボを駆使し、その場にいながら世界中の患者を治療できるほどだ」
「それは素晴らしいですね、だって沢山の人が助かるんですから」
「ああ、その通りだ。だがな嬢ちゃん、そんな尊い技術も悪用する奴らが必ず出てくるってもんさ」
「しょ、所長さん……?」


 所長さんの背後から何かが現れてその表情も怒りに満ちていました。


「あのガキが……ネジ一本この世に残らんと思え……!!!」
「あ、あう……」


 所長さんの凄まじい怒りについ後ずさりをしてしまいました。でも私はその時に所長さん以上の怒りを感じてコロシアムの方を見ました。


「リ、リアスさん!?皆さん!?」


 そこには地面に倒れているリアスさんとGTロボの足元に倒れている祐斗さん、そして首を絞められている朱乃さんの姿が映りました。


「いかんな、早く助けんと……ん?」


 突然GTロボが吹き飛んで観客席に叩きつけられました。GTロボが立っていた場所に視線を向けるとそこには朱乃さんをお姫様抱っこしたイッセーさんが立っていました。


「イッセーさんが怒ってる……」


 そこにいたイッセーさんはいつもの優しい表情ではなく今まで見たこともない怒りの表情を浮かべていました。


「あんなイッセーさんを見るのは初めてです、猛獣さんとの戦いでは怒ったことがないのに……」
「そりゃそうじゃろう、動物相手にキレたりはせんよ。自然界にあるのは弱肉強食という一つのルールだけだ、そこには善も悪もない。生きるためではなく己の快楽のための無益な殺生をされたからイッセーはキレたんじゃろう。しかしイッセーの奴め、怒りでグルメ細胞が活性化しているな。こりゃわしの出番はないかもしれないな」
「グルメ細胞……?」


 聞きなれない言葉に私は首を傾げましたが今はイッセーさんの勝利を祈って私は祈りを捧げました。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


side:イッセー


 俺はGTロボを殴りとばし朱乃さんと祐斗の状態を確認した。……よし、命に別状はねえな。


「ううっ、イッセー君……」
「ご、ごめんなさい……足止めすることも……できませんでしたわ」
「祐斗、朱乃さん、大丈夫ですか?リアスさんは?」
「部長は、あそこに……」


 祐斗が指を刺した場所にはリアスさんが倒れていた。


「とにかく皆をアーシアの所に連れて行かないと……朱乃さん、ちょっと失礼しますよ」


 俺は朱乃さんを右腕で抱えて祐斗を背中に背負いリアスさんの元に向かった。


「リアスさん、大丈夫ですか?」
「……うう、イッセー?」
「無茶しましたね、でも助かりました。時間を稼いでくれたんですね」
「ごめんなさい……あいつ、観客たちに攻撃を……」
「なに?まさかそれをかばって?」
「ええ、祐斗が防いだんだけどそこを突かれて……」


 リアスさん達も結構鍛えてあるから勝てはしなくとも油断しなければ負けはしないと思っていたが……あいつめ、やってくれるな。


「イッセーさん!」
「イッセー!」


 そこにアーシアとティナが俺の傍に駆け寄ってきた。


「アーシアにティナか、ちょうどいいところに来てくれたな。リアスさん達を頼む」


 俺はアーシアにリアスさん達を任せてGTロボの元に向かった。



『ググッ……糞ガッ!!イキナリ殴リヤガッテ!!』


 GTロボが俺目掛けて突っ込んできた。


『ブッ殺シテヤルゾ!美食屋イッセー!!』
「来いよ、GTロボ!!」


 俺の拳がGTロボの右の頬に当たりGTロボの拳が俺の頬を掠める。


「うるぁあああっ!!!」


 今度は反対側の頬を殴りGTロボを吹き飛ばした。


(……硬いな。二酸化チタン、それにカーボンの匂いが僅かにする。奴のボディはカーボンファイバー配合のチタン合金か。打撃でのダメージは期待できねえな)


 俺は奴を殴った籠手からする奴の匂いを嗅ぎ相手のボディに使われている物質を割り出した。赤龍帝の籠手で殴ってもヒビ一つ入らないとは敵とはいえ見事な技術だ。


「だが操縦者はクズそのものらしいがな」
『グダグダト煩インダヨ!死ネ、ピーラーショット!!』


 奴が腕を振るった瞬間、俺の右腕の皮膚がはがされ血が噴き出した。


「んなっ!?」
『クキャキャキャ!野菜ノ皮ムキ機ナラヌ人間皮ムキ機ダ!体中削ギ落トシテ内臓ヲ引キズリ出シテヤル~~~!!!』


 GTロボは見えない何かを飛ばして俺の体中の皮膚をはがしていく。


「ふん、所詮は皮むき器の切れ味だな!日焼けして皮膚がはがれる程度だぜ!」


 俺は高速で奴に接近して力を溜める、体が硬くても間接までは硬くないと判断した俺は奴の関節部分にナイフを喰らわせた。だが逆に赤龍帝の籠手にヒビが入った。


「なんだと!?」
『クキャーキャキャキャ!!『食技』人肉オロシ!!』


 GTロボの指がガリガリと俺の体の肉を削っていく。俺はダメージを負いながらもなぜ奴にナイフが効かなかったか考える。


『キャッキャッキャ!馬鹿ガ、コイツハ新型ダゼ!!『超高分子特殊ポリエチレン』デ出来タ関節ニ『強化アラミド繊維』ノ体毛デ覆ッタ体ヨ!隙ナンテ無ェンダヨ、ボケガ!!』
「聞いてもいないのに説明ありがとうよ!」


 再び俺の皮膚を見えない何かで削っていく。どうやらこの攻撃の正体は強化アラミド繊維を高速で飛ばしていたってことか。


「なら本当に隙がないか試してやる。5連……釘パンチ!!」


 俺は5連釘パンチをGTロボに喰らわした。奴は身体をくの字に曲げて大きく吹き飛んだ。


(ぐっ、今日は3回も5連を使っちまったからな。腕が限界だ……)


 俺の釘パンチはドライグの倍加の力で殴った相手の衝撃を倍加させて内部から破壊する技だが倍加させた数ほど負担が大きくなるので今の俺は5連までが限界だ、それを一日で何回も使い過ぎた。これ以上釘パンチを使えば腕が壊れてしまう。


 
『クキャーーー!!シャラ臭エェェェ!!』


 しかもあいつはそこまで効いた様子じゃなさそうだ。やはり狙うならアソコしかないな。


『クキャキャキャキャ!!死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネカス死ネ死ネ死ネ!!!』


 GTロボは怒涛の勢いで俺に攻撃を仕掛けてくる。体中が削られていき俺は血まみれになっていった。


「イッセーさん!!」
(……イッセーの奴、狙っているな)


 アーシアの叫び声が聞こえる、そろそろあいつを倒さねえとアーシアに心配をかけちまうな。俺は攻撃を喰らいながらGTロボに話しかけた。


「皮むき機におろし金……幼稚な器具ばかりだな」
『アアッ?』
「お前本当はGTロボの機能を出し切れてないんだろう?こんなんで俺を殺せるだなんて思っているならお笑いだな」
『ハア?強ガッテンジャネエゾ、イッセー!!テメエハモウスグ死ヌンダヨ!!』
「その割には俺はまだピンピンしてるけどな。まあお前みたいな低能な奴がGTロボなんて難しいものを操縦なんてできるわけがないか、正に宝の持ち腐れだな」


 GTロボは攻撃をやめて俯いた。どうやら相当怒っているようだな、新型のGTロボはそんなことまで伝わってくるんだと感心した。


『……ジャア』


 ……さあ、来いよ。


『ジャア今スグニブッ殺シテヤルヨォ!!アノ世ニ行キナ!!』


 GTロボは顔を開きビームを出そうとする……それを待っていたぜ!!


『死ネェ!イッセー!!』
「くたばるのはてめぇだ、喰らえ一点集中!!『5連アイスピック釘パンチ』!!」


 俺はより貫通力を上げるために指を拳じゃなく指を纏めた釘パンチをGTロボの顔内部にあったビームの発射台に喰らわせた。GTロボはビームを内部で暴発させて自らの頭を吹き飛ばした。


『グガ……ギギ……』
「何とか貫通できたか……それにしても自分のビームが暴発して自滅とはザマァねえな。まあ俺も左手がイカれちまったし今回は引き分けだな。次は生身でやろうぜ」
『引キ取ケダァ?馬鹿ガ!死ヌノハテメエダ、イッセー!!』


 GTロボは首を失った体でありながらこちらに向かって走ってくる、まさか自爆するつもりか!?


「今だ!撃てぇぇぇ!!」


 マンサム所長の叫び声と共にコロシアムに設置されていたレーザー砲がGTロボに降り注いだ。


「きゃあああ!?建物が崩れたら私たちも死んじゃいますよ!!」
「大丈夫だ、金髪の嬢ちゃん。ここの造りは核原子炉並みに頑丈だからな。中で核爆発が起きても外には漏れんほどの造りだ」
「でもそれって中にいる私たちは死んじゃうってことですよね……」
「うん」


 アーシアや皆は所長が守ってくれたか……俺は爆発したGTロボの残骸に目を向ける、そこから虫のような何かが現れた。


「なんじゃありゃあ!?新型GTロボの核アンテナか!?醜っ!!ようし、コイツを狙え!!」


 所長の指示でGTロボの核アンテナをレーザーが狙うが核アンテナはそれらをかわして逃げ出していった。


「あ、逃げちゃいました!?」
「ふむ、本部!あそこから一番近い出口はどこだ?」
『はい、Bゲートです』
「よし、わしの部屋のハッチをあけろ、音声も繋げてくれ……リッキー、聞こえるか?Bゲートから出てくる虫を仕留めるんだ!」


 所長は本部の職員に指示を出し誰かに話しかける。そうか、所長のペットにあいつの撃退を頼んだのか。外の様子が映し出されたモニターにさっきの核アンテナが出てきたが突如バラバラに引き裂かれた、すぐそばにはパンサーに羽が生えたような猛獣が地面に降り立っているのが映った。


「わああ、おっきなパンサーさんです!」
「あいつはハイアンパンサーのリッキー、わしのペットだ。あいつには後でご褒美に好物のホロホロパフェを食わせてやるぞ」


 前に会った時はまだ子供だったのにリッキーも大きくなったな、しかしリッキーのお蔭でGTロボを逃がさないですんだぜ。


「これで脅威は去ったか……バトルウルフはどうなったんだ?」


 俺はコロシアムに戻り小猫ちゃんの傍に立つバトルウルフを見る。


「あ、先輩。終わったんですね……」
「小猫ちゃん、バトルウルフは……」


 小猫ちゃんは涙を流しながら首を横に振った。そうか、立ったまま絶命したのか……


「死んでもなおこの風格……伝説の王者にこうして出会えたことを心より感謝したい」


 俺は敬意をこめてバトルウルフに頭を下げる、そして悲しそうに母親の死体を見つめるバトルウルフに話しかける。


「まる一日は無理だったが少しでも一緒にいられてよかったな」
「クウン……」


 バトルウルフの子供は近くにあったデビル大蛇の肉を咥えて俺の足元に置いた。


「なんだ、もしかしてお礼のつもりか?俺は別にお前の母親の仇を討つために戦ったんじゃない、個人的にあいつがムカついたから戦ったんだ。それにそのデビル大蛇の肉はお前の母親が命をかけて狩った獲物だ、だからそれはお前が食うんだ」
「……」


 バトルウルフの子供は俺の言葉を理解したのかデビル大蛇の肉を食べた。


「そうだ、それでいいんだ。お前はこれから母親の分までこの世界を生きていかなくちゃならない。グルメ細胞に選ばれた者として……」
「……クウン」
「……不安か?」


 俺はバトルウルフの子供の前に屈んで頬を撫でる。


「俺もお前と同じだ。俺も父さんと母さんが命に代えて俺を守ってくれたからこうやって生きていられた。そして会長や所長、リン姉にココ兄たちが俺の傍にいてくれた。温もりをくれたんだ。だからお前がいつか一人で旅立つ時まで俺が傍にいてやるさ……」
「クウン……」


 バトルウルフの子供は頭を俺の顔に摺り寄せてきた。


「ん?どうしたんだ?ふふっ、気持ちいいな、お前の毛並み……厚手のタオル地のような温かさみたいだ。そうだ、いつまでもお前じゃ嫌だろう?お前は今日からテリー……テリークロスだ」
「……ヴァン!」


 俺は力強く鳴いたバトルウルフ……いやテリークロスを見て笑った。


「先輩、その子は?」
「小猫ちゃんか、見てくれよ。どうも俺に懐いちまったみたいだ、折角だし名前をテリークロスって付けたんだ。どうやら気に入ってくれたみたいだ」
「そうなんですか?じゃあ私も挨拶しないと……テリー、私は小猫と言います。よろしくお願いします」
「……」
「うわあ……柔らかい毛並みです」


 テリーは嫌がる素振りも見せずに小猫ちゃんに撫でられている。俺の仲間だって分かるのかもしれないな。


「ようし、テリー、小猫ちゃん。お腹がすいただろう?所長がメシを用意してくれてるはずだから皆で腹ごしらえだ!」
「はい、先輩!」
「ヴァン!」



side:小猫


「さぁとびっきりの料理を用意したぞ!存分に食うがいい!」
「うわぁ……凄いです」
「こんな沢山の料理は私の家でも中々見ない光景ね」


 私たちは所長さんに連れられてきた場所には沢山の料理が並べられていました。アーシアさんの神器で回復した部長たちも目を輝かせていました。


「先輩、あの大きなドラゴンはなんですか?」
「酒の楽園「バッカス島」の主『バッカスドラゴン』さ。アルコールを含んだその肉は上質なブランデーを思わせる味わいとも言われている。所長のフルコースのメインディッシュだ」
「どうだ凄いだろう?他にも『酒盗エスカルゴ』『酒貝のスープ』『バッカスシャーク』『酒乱牛』『バッカスオニオン』『酒豪メロン』『バッカスホエールの塩』があるぞ!」
「お、お酒の名前が入った食材ばかりですね」
「所長のフルコース全部にアルコールが入ってるからな、実際」
「お前らもワシのフルコースを食べさせてやるからな!がっはっは!」
「だから俺たちは未成年だろうが……」


 さり気なくアルコールを進めてくるマンサム所長にイッセー先輩が苦笑していた。


「ウチ酒飲めないし!所長のフルコース最悪だし!」
「お前には聞いとらんわ!」


 リンさんはお酒が苦手のようでマンサム所長に文句を言ってました。因みにリンさんとはもう互いの自己紹介を終えており「イッセーに友達がいたなんてウチ感激だし~!」と言って泣いて喜んでくれました。でも私とアーシアさんが先輩の彼女だと知るとマンサム所長と一緒に目が出るほど驚いてました。ティナさんは驚くというよりスクープが合ったことに喜んでましたが……


「これがマンサム所長のフルコースね、どれも超高級品ばかりじゃない!」
「ていうかなんでこの人もいるし」
「いいんだリン、わしが許可した」
「そうそう!という訳だから取材していくわよ!」


 ティナさんとリンさんはどうも馬が合わないようで言い争いをしていました、でもマンサム所長が「ハンサムって言った!?」と反応すると「「言ってない!!」と息の合ったツッコミをしていました。


「まったく、大人が揃いも揃って騒がしいもんだ。お前が一番静かだな」


 先輩はそう言うと自分の背後に座っていたテリーに視線を向けました。


「来いよ、テリー。一緒に食おうぜ」
「クォン」


 テリーは返事をするように鳴くと先輩に近づきすり寄っています。テリーが羨ましいです……


「私も食べようっと」


 私は食事を再開して近くにあったお肉にナイフを通しましたがあまりの柔らかさに驚きました。まるで豆腐のようにスッと切れたんです。それをフォークで刺して口に運びました。


「美味しい……脂の旨味がゆっくりと広がっていきます」


 初めて感じた触感と味に思わず頬が緩んでしまいます。流石世界の3割の食材が作られている研究所ですね、今まで見たことのない食材に心が躍ってしまいます。まあ私はほとんどの食材を知らないんですが細かい事は気にしないでいきましょう。


「おお、霜降り豆腐じゃないか。美味そうだな、後で俺も食べよ♪」


 先輩の方を見ると凄い量の皿が積まれてました。私も負けていられませんね。


(あれ?先輩の顔の傷が治ってる……というかプルプルになってる)


 先輩はさっきまで傷だらけだったのに今はまるでケアをしたかのように輝いていました。そういえばアーシアさんがマンサム所長がお酒を怪我にかけたら治ったのを見たと聞きましたがもしかして先輩も同じなんでしょうか?所長がグルメ細胞っていう私たちには分からない言葉を言ったらしいですし私たちはまだ先輩の全てを知っている訳じゃないんですね。


(でもアーシアさんも可哀想ですね、先輩を回復したかったでしょうに大丈夫だと言われて何もできなかったんですもんね)


 先輩は悪気はないと思いますがアーシアさんも先輩を回復したかったはずですし後でさり気なく言っておいたほうがいいでしょうね。


「そういえばよ所長、今回の仕事の話だけど……」
「あ~ん?仕事……ああ!?忘れとったぁぁぁ!!」


 マンサム所長が慌てた様子で立ち上がりました。


「不味い!すっかり忘れておったわ!?ベイがコロシアムの方に来たのは時間稼ぎが目的だったんじゃな!!このままではリーガルマンモスが奴らに奪われてしまう!!誰じゃコロシアムの方に行こうなんて言ったのは!!このままじゃリーガルちゃんが……!」
「大丈夫だし」
「うん?」


 マンサム所長の言葉を遮って話し出したのはアイスを食べてるリンさんでした。


「さっきお兄ちゃんから連絡があったし。リーガルマンモスを捕獲したからこっちに向かってるって言ってたよ」
「なんじゃと!?」
「サニー兄、この島にもう来ていたのか」


 どうもリンさんのお兄さんがリーガルマンモスを捕獲したようです、それにイッセー先輩がサニー兄と言ったのでもしかしたらココさんのように四天王の一人かもしれませんね。


 私たちはそのサニーという人に会うために研究所の外に向かいました。




side:??


 月に照らされる不気味な城、そこから聞くのも悍ましい怒鳴り声が響いていた。


「あァのイッセーのクソがあぁァ!次は本体で来いだァあ?上等だァぁ!直々に内臓引きずり出してグチョグチョに踏みつぶしてやるぁ!!!」


 怒りを表にして地団太を踏みながらイッセーへの殺意を向ける緑色の体色をした男がいた。彼の名はベイ、イッセーに破壊されたGTロボの操縦者だ。


「ベイ、今のお前ではまだイッセーには勝てんじゃろう」


 そこにローブを着た老人のような男が現れた。


「うっせーぞ!ジョージョー!!」
「見ろぃ、お前が乗っていた8号機……所長、イッセー戦合わせて圧覚超過が計16回じゃ。16発も致命傷を受けたようなもんじゃな、生身だったら死んどるわぃ」


 ジョージョーと呼ばれた男は今回のマンサム所長とイッセーでGTロボが受けたダメージについて話していた。


「ケッ!それよりほかのロボはどーした?俺があいつらを足止めしてる間にリーガルマンモスをとっ捕まえたんだろうな!?お?」
「全部で5機とっくに上陸はしとる……じゃが肝心のマンモスが見当たらんようじゃ」
「なにぃ!?」
「もしかしたら先手を打たれたのはワシらかも知れんのう……」





 一方場面は第1ビオトープの岩山に変わる、そこには一人の男がおりまるで巨大な山のような動物を片手で持ち上げて歩いていていた。地面にヒビが入るほどの重さだが男は涼しげな顔をしていた。
 


「そういえばリンがイッセーも来ているっていってたっけな。あいつの肌がどれくらい綺麗になったか確かめてやるか」


 
 

 
後書き
 リアスよ。次回はイッセーのお兄さんの一人が登場するらしいわ。手も触れずにノッキングしたりと強いんだけどちょっとクセがありそうな人ね。次回第26話『無敵の領域を持つ男!四天王サニー登場!』で会いましょう。 
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