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星河の覇皇

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第六十六部第三章 幸せの国その二十四

「その観点から築城されまして」
「ありますね」
「はい、それで閣下は」
「そうした街を観ることもです」
「お好きですね」
「そうです」
 こう案内役に答えたのだった。
「そして芸術は破壊することはです」
「お嫌いですね」
「それは間違っていると思います」
 例え自分にあまり興味がなくともというのだ。
「どうにも」
「そうなのですね」
「はい」
 こう案内役に答えた。
「それはイスラムではありません」
「芸術を破壊することは」
「他宗教に関することであっても」
「イスラムは他宗教を認めています」
 この観点からの言葉だった。
「ですから」
「芸術の破壊はですね」
「守ることが務めです」
「イスラムの、ですか」
「そうです、イスラムは確かに絵画は発達してません」 
 このことは彫刻でもそうだ、その為イスラムの芸術は古代ギリシアやルネサンスに見られるものとは全く違っているのだ。
「しかし絵画もです」
「弾圧しないのですね」
「それが人物画であっても」
 そして彫像でもだ。
「破壊はしません」
「仏像もマリア像もですね」
「そうです」
 そうしたものをというのだ、芸術を。
「決してです」
「そうですか、では」
「はい、この城もです」
 ノイシュヴァンシュタイン城もというのだ、先のブータン王が自国に建てた連合における模倣のものであってもだ。
「破壊してはならないとです」
「サハラにあったとしても」
「考えています」
「左様ですか」
「そうです、それと」
 今度はアッディーンから話した。
「城は多いですが宮殿は」
「ないとですね」
「王は建てられなかったのですね」
「はい、お城はお好きでしたが」
「宮殿は、ですか」
「興味がおありではなかったので」
 だからだというのだ。
「宮殿はありません」
「あくまで城だけですね」
「城の中に宮殿があればです」
 その場合はというのだ。
「築かれていますが」
「それでもですか」
「はい、宮殿だけではです」
「築かれていないのですね」
「左様です」
「あくまで城に興味がおありだったのですね」
「そうです、ですから」
 宮殿だけであったらというのだ。
「その場合は築かれていません」
「では連合各国の宮殿もですね」
「築かれていません」
 案内役はアッディーンにはっきりと答えた。
「あくまでお城だけなのです」
「そうなのですね、しかし城の中に宮殿があればですか」
「再現した長安城やバグダートの様にです」
 唐代の長安だ、この街の最盛期だ。この頃の長安は人口百万を数える世界一の大都市であった。ただ水は悪く周りに木々も少なかった。 
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