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星河の覇皇

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第六十六部第三章 幸せの国その二十三

「今では」
「国王陛下の趣味が後世の遺産となっている」
「そうなのです」
「面白いことですね」
「建築物はそうかも知れません」
 案内役はアッディーンに微笑んだまま話していった。
「築かれた時は道楽でした」
「その築いた人のですね」
「権力者の。そういえば実にです」
「実に、とは」
「どの建築物も趣味ですね」
 こうアッディーンに言ったのである。
「思えば」
「このノイシュヴァンシュタイン城だけでなく」
「他の様々な宮殿も」
「その全ては権力者の夢ですね。かし」
「その夢がですね」
「後世の者をですね」
「幸せにしてくれています」
 後世の者達をというのだ。
「思えば面白いです」
「確かに。そのことを考えますと」
「面白いですね」
「実に」
 アッディーンも案内役にこう答えた。
「そう思いますた、ただ」
「閣下はですか」
「どうもそうした趣味はです」
「おありではないですか」
「はい」
 そうだとだ、アッディーンは案内役に答えた。
「どうも」
「左様ですか」
「建築はですね」
 そうしたことはというのだ。
「あまり」
「そういえば閣下は華やかなものは」
「周りにはです」
「お住まいもですね」
「そうではありません」 
 今は大統領官邸に住んでいるがそこもなのだ。
「兵学校から部隊勤務、士官学校に入りましたが」
「その中で、ですね」
「必要なものだけをです」
 持っていて周りに置いていたというのだ。
「ですから」
「それでなのですね」
「はい、今もです」 
「建築もですね」
「興味はありません」 
 そうだとだ、アッディーンは案内役にも話した。
「そうなのです、ですが」
「それでもですか」
「こうした建築物を見ることは好きです」
「そうなのですね」
「特に町並みが」
「そういえばサハラは町並みですね」
 案内役はアッディーンに微笑んでこう返した。
「よく聞きますが」
「ハサンには見事な町並みの街が多いですね」
「サハラはです」
 それこそというのだ、アッディーンも。
「イスラムが偶像崇拝を禁じていますので」
「絵画はですね」
「そうした芸術はあまり、です」
 このことはイスラム成立からだ、人の顔を描くことは遠慮されるのでどうしてもそうした芸術は発展しなかったのだ。
 しかしだ、その他の芸術はなのだ。
「町並み等はです」
「古来よりですね」
「発展していまして」
 それでというのだ。
「立派な街が多いのです」
「城の中にはバグダートもあります」
 この街もというのだ。
「城としてですが」
「城塞都市ですね」
「はい」
 その通りだとだ、案内役も答えた。 
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