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星河の覇皇

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第六十六部第三章 幸せの国その十五

「そのことを実感した」
「連合ではよく大国の大統領がそうであるだけで他国にあれこれ言ったりしますが」
「しかしそうした大統領も日本の天皇や、ブータン王にはどうだ」
「そういえばあまり言いませんね」
「特に日本の皇室にはだな」
「はい」
「大統領は任期がありしかも一代だけだ」
 二世大統領もいるが選挙を経てなるものだ。このことは二世議員と同じだ。
「それではだ」
「歴史も伝統もですね」
「血脈としては受け継がれない」
「王朝ではないですね」
「王朝には歴史と伝統がありだ」
「どの大国の大統領も敵いませんね」
 マルヤムも言う。
「アメリカや中国の大統領でも」
「連合の小国の王には中々言えない」
「その国には言えても」
「君主には言えない」
「そうなっていますね」
「特に日本の天皇にはな」
 日本は連合で六大国、四大国の一つだ。四大国は日米中露であり六大国はここにトルコとブラジルが入る。
 しかしここでは国力ではなくだ、皇室のことが話されていた。
「あの皇室にはだ」
「どの様な国の大統領でもですね」
「言わない、ましてや敵であってもエウロパでもだ」
 連合のことをとかく言うこの国でもというのだ。
「連合の君主達のことは言わない」
「それも決してですね」
「かつては日本の天皇にも言う国はあった」
「あったのですか」
「大統領自らな、しかしその発言があまりにも下品でだ」
 この発言は歴史に残っている、その国の恥として。
「いいものではなかった」
「そうなのですね」
「共和制にもメリットは多い、しかし歴史や伝統はな」
 だから連合でも共和制の国の方が君主制の国よりも遥かに多いのだ、このことは政治的なメリットを考えて採用されているのだ。
「受け継がれない」
「それが共和制ですね」
「国家元首が政治を行える」
 今のアッディーンの様にだ、それが可能だ。国家元首が政治を行い強い権限を持って政策を実行出来るのだ。大統領が国家の象徴である国もあるがだ。
「これは大きい」
「今の私にしてもだ」
「その大統領の権限で、ですね」
「政治を行っているからな」 
 その強い権限で実際に自身の政策を推し進めている、国家システムの合理化と財政の健全化等だ。その基本は中央集権への変換だ。
「サハラの皇帝もそうなる予定だが」
「しかしですね」
「そうだ、それでもだ」
「共和制には伝統や歴史が受け継がれない」
「同じ政党の大統領が続いても基本彼だけだ」 
 その大統領一代だけのことだというのだ。
「大統領に品性が求められてもだ」
「歴史や伝統はありませんね」
「その大統領が幾ら優秀でもな」
 例えどれだけ素晴らしい政策を行い国を富ませてもというのだ。
「所詮はだ」
「一代だけですね」
「それだけだ」
 その大統領だけであることをだ、アッディーンは強く話した。
「所詮はな」
「かなり大きな違いですね」
「そうだ、血族はやはり大きい」
「そういえばサハラも」
 マルヤムはあらためて自分達の国のことに言及した。
「血族は大きいですね」
「その通りだ、確かにイスラムは平等だ」
 スルタンも物乞いもアッラーの前では等しい、そうした意味でイスラムの平等主義は強い。だがそのイスラムでもなのだ。 
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