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星河の覇皇

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第六十六部第三章 幸せの国その十四

「国家のな、国家元首を務めその国家の統合の象徴となりだ」
「そして祭事を行う」
「そうした機関だ」
 それが連合各国の君主であり彼等の家だというのだ。
「そうなっている、ブータン王にしてもな」
「あの方も」
「ブータン以外の国では知名度が低く地味とされているが」
「それでもでしたね」
「その連合の君主としてはだ」
 この範疇においてというのだ。
「非常に優れた方だった」
「そうでしたね、旦那様とお会いしましても」
「気負いがなかった」
「それも全くでしたね」
「立派な国王だった」
「確かに」
「連合での国王に相応しい、若し私がだ」
 ここでだ、アッディーンはこうも言った。
「連合の王となっていても」
「ブータン王にはですか」
「大きく劣っていた」
 そうなっていたというのだ。
「連合の君主としての資質はあの方の方が遥かに上だ」
「遥かにですか」
「そうだ、遥かにだ」
 それこそというのだ。
「あの方の方がな、千年以上の歴史や伝統もあるがだ」
「その歴史や伝統を背負うには、ですか」
「やはりそれだけの力が必要なのだ」
 その背負う者、即ち王にというのだ。
「歴史と伝統を守りそしてそれを次の代にまでさらに重みを増したものを受け継がせていく」
「それにはですか」
「資質が必要だ」
 そうしたことが出来るだけのものがというのだ。
「どうしてもな、そしてだ」
「ブータン王にはあるのですね」
「そのことがわかった、所詮私は私だけだ」
 アッディーンだけだというのだ。
「まだな」
「一代だけのものですか」
「そのことも実感した、王室は歴史でもある」
 その歩んで来た歴史がそのまま権威となり力となるというのだ。
「日本の皇室ではそれを特に実感した」
「確かに。あの皇室は」
「恐ろしいまでのものがあったな」
「非常に」
 マルヤムはその感受性の高さでそのことを肌から触れる空気から察していた。肌からもこうしたことは感じられるからだ。
「あれは四千年の歴史と伝統ですね」
「まさにな」
「四千年、ヒジュラより遥か前からのもの」
「あれこそがだったな」
「凄いものがありましたね」
「あの皇室からもわかるが」
「君主は一代では、ですね」
 マルヤムも言うのだった。
「成りませんね」
「積み重ねられていくものだ」
「よく血族は否定されますが」
「その血族で常に優秀な者はでないがだ」
「しかしですね」
「受け継がれるものがありだ」
 その受け継がれるものが重要だというのだ。
「それが君主を形成していくのだ」
「ブータン王がそうであられる様に」
「それにあの方は生まれた頃よりも王室でだ」
「そして太子であられ」
「王となる教育を受けられてだ」
 そしてというのだ。
「王になられて長い」
「では」
「私よりも遥かに国家元首として持っている者は多い」
 英雄と言われている彼よりもというのだ。 
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