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名探偵と料理人

作者:げんじー
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第三十話 -世紀末の魔術師(3/6)-

 
前書き
このお話は 劇場版 世紀末の魔術師 が元になっています。 

 
「私は香坂夏美と申します。後ろに立っているのは執事の沢部です。私の曽祖父は喜一といいましてファベルジェの工房で細工職人として働いておりました。現地でロシア人の女性と結婚して、革命の翌年日本へと帰国して曾祖母は女の赤ちゃんを産みました…」

俺達は客船の金庫の前の部屋に集まり、夏美さんの話を聞いていた。夏美さんは自身の生い立ちを語った。曽祖父である喜一さんがファベルジェに縁のある方だったらしく、メモリーズエッグの図面を一月前に亡くなった祖母の遺品整理で発見したとのことだ。しかし史郎さんの所にあるエッグとは違い、その図面のエッグには宝石がついていた。その相違から昨日美術館へと直談判に赴いたとのことだった。

「確かにこの図面には宝石がある……」
「元々宝石がついていたのが、取れちゃったんじゃないんでしょうか?」
「ねえ、もしかしたら卵は二つあったんじゃない?」
「え?」

図面を覗きこんでいた新ちゃんがそう言った。

「だって、1つの卵が書いてあったにしては輪郭が微妙に合わないじゃない?多分、元々大きな紙に二つ書いてあって真ん中の絵がごっそりなくなっているんだよ」
「な、なるほど」

確かにそう言われて見てみると、大きさが違うのが分かる…って、新ちゃん。エッグを持ち上げて何をしてる……んだ…あー。

(…あ、やべ、取れちゃった……)
「ちょっとコナン君、何してるの?」
「エッグの底に鏡がついてたんだけど……取れちゃった…」
「なに…!?」
「コナン君!?」
「ああ、いいのいいの。あれ、簡単に外れるようになってるから。どうやら後からはめ込んだみたいなのよね」

新ちゃんはその外れた鏡を気にしているようだった。…ん?光が反射して新ちゃんの手のひらに絵が映ってる?あれは……城、か?

「西野さん!明かりを消して!!」
「え?あ、ああ…」
「まーた、おまえはしょうこりもなく…って、あら?」
「どうしたの、コナン君?」
「まあ見てて」

西野さんは新ちゃんが言った通り直ぐに電気を消してくれた。そして新ちゃんは腕時計型懐中電灯の光を鏡に反射させて、俺がさっき盗み見た像を壁に映し出した。

「お?」
「おお!」
「なんだ?」
「ど、どうして絵が?」

セルゲイさんのその言葉に答えたのは乾さんだった。

「魔鏡だよ」
「魔鏡?」
「聞いたことがあるわ。鏡を神体化する、日本と中国にあったと言われる…」
「そう。鏡に特殊な細工がしてあってな。日本では隠れキリシタンが壁に映し出された十字架をひそかに祈っていたそうだ」
「沢部さん、このお城って」
「ええ。横須賀のお城に間違いありません」
「え?横須賀のお城ってテレビドラマやCMとかの撮影でよく使われている?」
「はい。元は曽祖父が建てたもので祖母がずっと管理していたんです」
「じゃあ、あれって香坂家のお城だったんだ」
「夏美さん。2つのエッグを作ったのは貴方のひいおじいさんなんじゃないでしょうか?」
「え?」
「あなたのひいおじいさんはロシア革命の後で夫人とともに自分の作った2つのエッグを日本に持ち帰り、2つ目のエッグについていた宝石のいくつかを売り横須賀に城を建てた。そして2個目のエッグをその城のどこかに隠し、そのありかのヒントを子孫に残すため1つ目のエッグに魔鏡をつけた」
「あの…実は図面と一緒にこの古い鍵も出てきたんですが、これも何か?」

そういって夏美さんは女性が持つには不釣り合いな大きな古い鍵を取り出した。

「それだ!それこそ2つ目のエッグへの鍵ですよ!」
「宝石の付いた幻のエッグ…」
「もし、それが見つかれば10億、いや15億以上の値打ちがあるぜ」
(だからキッドが狙ったのか?いや、奴がそんなことで狙うか…?)
「あの、毛利さん。東京へ戻ったら一緒にお城に行ってもらえませんか?」
「いいですとも!」

小五郎さんが夏美さんの問いに快諾するとエッグ関係で集まった人たちも次々と口を開いた。

「私も同行させてください!」
「俺も!」
「オレも、ビデオに撮らせてくれ!」
「私も是非!!」
「はい、皆さんで一緒に行きましょう!」

おいおい、全員がっつきすぎだろうに…ん?なんだ紅葉?

「なあ龍斗。皆さんわかっとるんやろか。もう一つのエッグが見つかってもその所有権は…」
「お城の中の物は香坂家の物。見つかっても夏美さんの物なんだけどねえ。見つけた時に1人なら皆ネコババしそうだね」
「せやねぇ」

周りに聞こえないような小声でやり取りをしているといつの間にやら一旦お開きの流れになり各自部屋に戻った。
今回は鈴木家のゲストとしての乗船なので部屋はかなり豪華だった。普段はこういう船に乗る時は大体スタッフとして乗るから新鮮だな。そして…

「へえ。内装も綺麗やし、流石は鈴木財閥やねえ。…あキッチンもついとる。龍斗―、何か作ってくれたりしません?」

悪戯そうな笑みを浮かべながらそう言ってくる紅葉。そう、紅葉も同室なのだ。史郎さんは最初別々の部屋を用意すると言ってくれていたのだが「龍斗とは1つ屋根の下に住んでいますしウチも龍斗と同じ部屋で構いません。お願いします鈴木会長」との、紅葉の直談判によって同室となった。

「そうだねえ。じゃあカヌレでも作ろうか。出来上がる頃にはティータイムにちょうどいい時間になるように調整するよ」
「そんなら、皆も呼んでええ?夏美さん、パティシエールらしいし話も合うんやない?」
「あー、うん。それはいいよ。じゃあ多めに作るね」

そう言って俺は倉庫と化している裏のチャンネルに常備している食材の中から、必要なものを取出し調理を始めた。ティータイムに合わせるため、時間のかかる工程は裏のチャンネルの時間の流れをいじってはやめて、と。

―ピンポーン――

「ゴメン紅葉、出てもらえる?」
「ええよー……え?」
「可愛い顔だねぇ、ごちそうさま♪」

どうやら来客は寒川さんだったようだ。

「何の用事だって?すぐにどこかへ行ってしまったみたいだけど」
「なんやよう分かりません。ドアを開けたところを撮られただけや」
「何だったんだろうね?出会いがしらの女性を撮るなんて余り行儀のいいことではないけれど……」
「せやね。まあ気にしても仕方ありません」

寒川さんの来訪以降、しばらくは何事もなく紅葉と雑談をしながら調理を続けた。





―ピンポーン――

「ん?また来客か…次は俺が出るよ。後は焼き上がるのを待つだけでキッチンにいなくてもいいしね」
「分かったー、お願いしますー」

そう言って俺はキッチンから扉の方へ向かった。紅葉はいきなりドアを開けていたがさっきのこともあり俺はのぞき穴から相手を確認し、ドアを開けた。

「どうしたの園子ちゃんコナン君、それに浦思さん?」
「いやぁー、蘭の部屋でお茶会兼女子界でも開こうかなってね。それで美女にお誘いをかけてたのよ。も・ち・ろ・ん、龍斗君も。どう…って何、すっごくいい匂い!お菓子作ってたの!?」

部屋に顔を突っ込んではすはすしている園子ちゃんに若干引きながら俺は答えた。

「あ、ああ。せっかくキッチンがあったし、俺達もお茶会でも開こうかなと思ってね。『チン!』…っと、出来上がったみたいだね。じゃあこれもって蘭ちゃんたちの部屋に行こうか。紅葉もそれでいい?」
「ウチは構いません。ほんならいきましょか?」

焼き上がったカヌレを手早く盛り付け、俺達は蘭ちゃんの部屋に向かった。

「こんにちは。お邪魔するよ」
「遊びに来ましたー」
「いらっしゃい、龍斗君、紅葉ちゃん…って!龍斗君その手に持っているのは?」
「ああ。さっき作ったカヌレ。時間も丁度いいしお茶会でもしようかと作ってたんだ。…園子ちゃんの想定していた面子もそろったみたいだし紅茶でも入れるよ」
「え?でも悪いよ、お菓子を作ってきてくれたのに紅茶もだなんて…」
「いいからいいから。それにおれはおかしづくりだけじゃなくて料理全般が好きなのは知っているでしょう?だから任せて」

そう押し切り、俺は蘭ちゃんたちの部屋のキッチンを借りて紅茶を入れることにした。部屋の内装は俺達のものとそう変わらないようなので迷うことなくキッチンには行けたんだけど…なんで窓際に鳩が?聞いてみるとエッグが落ちていた傍に怪我をしていて落ちていたので手当てをしたそうだ。キッドのか?
俺がキッチンで紅茶を入れて皆が囲む机の方に戻ると、皆雑談をしていたがどこか気もそぞろの様子だった。テーブルには各人の前にカヌレ、そして中央にはクッキーが並べられていた。

「はい、お待たせ」
「ホントに待ったよー!こんなに美味しそうな匂いをさせているものを前にしてお預けなんだもの!」
「分かった、分かった。ごめんて」

だからその滴りそうな涎をおさめなさいな園子ちゃん。はしたないぞ。

「ええ。とてもいい香り。私もフランスにいた頃は幾度となくカヌレは頂いたけれど、匂いだけでそれらより美味しいことがわかるわ!」
「そうね、早くいただきたいわ」
「それじゃあ、皆に紅茶を入れてっと。砂糖、シロップは各人が調整して入れてね。じゃあ召し上がれ」
「ありがと。うーん、久しぶりに食べるなあ龍斗君のお菓子!最近は道場に差し入れしてくれないし…うん!やっぱり美味しい!」
「ああ、美味え。やっぱ流石だな龍斗…にいちゃんは!」
「「…………」」
「どないしました?夏美さん、青蘭さん。龍斗のカヌレ、お口に合いませんでした?」
「いえ、紅葉さん。とても、とても美味しいんですけど…」
「なんというか美味しすぎて…」
「ありがとうございます。…そういえば紅葉とは自己紹介は済ませていたみたいですが自分はまだでしたね。では遅らばせながら……緋勇龍斗といいます。特技は料理全般。蘭ちゃんと園子ちゃんとは幼馴染で紅葉とはお付き合いさせていただいている関係です。よろしくお願いしますね、浦思さん夏美さん」
「緋勇龍斗って前回の世界王者!?それなら納得だわ…」
「……やっぱり!ねぇ、私の事覚えてる?4年前の世界大会振りよね!?」
「ええ、勿論。会場の案内や決勝で当たりましたもの。…髪、伸ばしたんですね」
「そう言えばあの頃はショートだったわね。……それにしても身長も私より小さかったのに4年で私が見上げないといけなくなるなんて。お菓子もあの時より確実に美味しくなってるなんてね」
「ちょ、ちょっと待って。え?何、龍斗君夏美さんと知り合いなの?」
「…ウチ、聞いたことありませんよ?」
(うわ、紅葉さん怖っ!)
「さっきも言ったけど、4年前の世界大会の時にね。道に迷ったのを助けてもらって、それで決勝の相手が夏美さんの勤める洋菓子店のチーフパティシエで彼女はその時助手として参加していてね。同じ日本人だし仲良くなったんだよ」
「そんな経緯があったのね……それにしてもすっごい偶然ね。こんなところで再会するなんて」
「ま、ね……金庫での話だと帰国しているみたいですけど夏美さんはまだあのお店に?」
「いいえ。実は独立のお許しを頂いてね。祖母が亡くなっての帰国だったのだけど、このまま日本で洋菓子店を開くかレストランに勤めようかと思っているの」
「そう言えば、夏美さんはずっとパリに住んでたって言ってたけど…」
「ええ、20歳でパリに移ったのよ。だからたまに変な日本語が出たり、会話に詰まったりしちゃうのよね」
「海外に長く住んでいる日本人によくあることやねえ」
「あ、妙な日本語といえば子供のころから耳に残っては慣れない日本語があるのよね」
「へえ、なんですか?」
「バルシェ ニクカッタ ベカ」
「「「え?」」」
「『バルシェは肉を買ったかしら?』って意味になると思うんだけどそんな人に心当たりないのよね」
「子供の頃ってことは夏美さんのお祖母さんから教わったんやろか?北海道にでも縁がおありなんです?」
「いいえ。でも何故?」
「『べか』って、北海道弁で『~だろうか』って意味なんです。だから北海道に関係すことことなんやないかと」
「へえ、べかって北海道弁なんだ!」
「知らなかったー。紅葉ちゃん物知りだね」

紅葉に言う通り、夏美さんのお祖母さんからの言葉を日本語と間違えて覚えたとするとロシア語か?確か、「века」って「世紀の」だっけか?『世紀のバルシェさんは肉を買った』『世紀のバルシェさんは憎かった』…バルシェニクカッタってなんだ…?うーん…
俺がロシア語であーでもないこーでもないと思考を巡らせていると新ちゃんは夏美さんを見上げて何かに気付いたようだ。

「あれ?夏美さんの瞳って…」
「そう、灰色のなのよ。母も祖母も同じ色で。多分、曾祖母のを受け継いだんたと思う」

確かに夏美さんの瞳は灰色だ。初めて会ったときにその灰色が印象深かったのが覚えている。

「そういえば、青蘭さんの瞳も灰色じゃない?」
「「「「え?」」」」

蘭ちゃんのその言葉に皆が浦思さんの瞳を見る。確かに言われてみれば…

「ほんとだ、中国の人も灰色なのかな?」
「あの。青蘭さんって青い蘭って書くんですよね。私の名前も蘭なんです」
「「せいらん」は日本語読みで本当は「チンラン」といいます」
「チンラン?」
「はい、青はチン、蘭はラン。浦思は「プース」、合わせてプースチンラン、です」
「へえ、蘭は中国語でも「ラン」なんですね!」
「ええ、毛利は「マオリ」」
「じゃあ私はマオリランか、なんか可愛くていいな」
「じゃあじゃあ、私は?」
「鈴木園子さんは「リンムゥユィアンツー」」
「りんむう…?」
「なあ龍斗。ウチは分かる?」
「紅葉は「ダーガンホンイェ」。因みに俺は「フェイヨンロンドウ」、コナン君は「ジィアンフーチュァンコナン」。夏美さんは「シィアンバンシァメイ」かな」

そして工藤新一は「ゴントンシンイー」。蘭ちゃんに次いで日本語に似通った感じがある音だね。

「…あのう、青蘭さんって私と同い年くらいだと思うんですけど」
「はい、27です」
「やっぱり!何月生まれ?」
「5月です、5月5日…」
「えぇ?私、5月3日!2日違いね!」

へえ、二人とも新ちゃんと1日違いなんだ。ここにいたら面白かった…のに。あ。

「じゃあ、二人とも僕と1日ち…もがっ!」

何かを口走りそうになった新ちゃんに隣からカヌレを口に突っ込む。

「僕≪と≫じゃなくて≪の知り合いの兄ちゃんと≫1日違い、でしょ?(何を口走りそうになったかわかってる新ちゃん?)」
「(…やっべ、確かに迂闊だった!すまねえ龍斗!)そ、そうそう。知り合いの新一にいちゃんと1日違いだ!」
「へえ、まさか3日続けて誕生日が続くなんて!珍しいこともあるものね」
「ですね。その新一って言うのも俺の幼馴染みで…」

話題をそらしながらそっと蘭ちゃんの方を見て…うん、何かを考えている様子もないし。インターセプトは成功したかな?それにしてもあのおみくじ、ほんとによく当たるわ。
その後、暫く話題を転々とさせながらも和やかに時間は過ぎていった。…カヌレをどうやって作ったかを聞かれた時は困ったけどね。休ませる時間の短縮とか…教えられなくてごめんなさい、夏美さん。





夕方になり、俺、新ちゃん、夏美さん、浦思さんの4人は暑さも和らいだだろうということでデッキに来ていた。女子高生3人組はもう少し部屋で話していたいそうだ。周りを見てみると皆さんデッキで思い思いの場所で寛いでいるようだった。

「ん?おお、夏美さんに青蘭さん!あなた方も一緒にどうです?」
「よろしいですか?」
「ええ、どうぞどうぞ!」

デッキでビールを飲んでいた小五郎さんがこちらに気付き大人二人をお酒に誘っていた。寒川さんと史郎さんも同じ席についていて席がいっぱいになってしまったので俺と新ちゃんは別のテーブルに座った。

「ん?…おぉ~いやあ、色っぽくてええですなあぁ~」
「ったく、しょうがねえなあ。このおやじ…」
「どうかした?コナン君」
「ああ、いや。おっちゃんが青蘭さんが組んだ足からを見て鼻の下を伸ばしてたからな」
「ああ……」

確かに青蘭さんの方に目を向けると白い足がチャイナ服のスリッドから見えていた。うーん、ああいう大人の色気はまだ紅葉にはない、か?いやそうでもないか。

「ささ、どうぞどうぞ」
「ありがとうございます…!っ。寒川さん、そのペンダント…」
「おっと、流石はロマノフ王朝研究家。見るかい?」

そう言うと、首からかけていたネックレスを浦思さんに手渡した。…あれ?

(新ちゃん、寒川さんあんなのつけてたっけ?)
(いや、オレもそう思ってたところだ。龍斗も見おぼえないってことは付けてなかったってことだな)

周りに聞こえないようにこそこそ話しているとネックレスの指輪の内側を見ていた浦思さんが顔色を変えた。

「マリア…もしかしてこれはニコライ二世の三女、マリアの指輪……っ!」
「あんたがそういうならそーなんだろ?」
「それをどこで!?」
「…へっ!!」

そういうとネックレスを再び首にかけ、寒川さんはデッキから船の中へ戻って行った。

「本物なんすかねえ」
「さあ…詳しく鑑定してみないと…」

確かに、鑑定は必要だろうけど浦思さんはあれが本物であることを確信してるな。それにしてはなんでそんな苦い顔をしてるんだろうか?

「ん?西野君、ボールペン落ちそうだぞ?」
「え、あ、ありがとうございます」

結局、その後妙な雰囲気になってしまい。今飲んでいるビールを空けたことを契機に部屋で夕食を待つことになった。
3人娘はまだ喋っていたので、俺も毛利家の部屋にいることにして新ちゃんや小五郎さんと近況や世間話で時間を潰した。





―ドンドンドン!-

時刻は8時前、ドアが激しくノックされた。応対には小五郎さんが出た。

「毛利さん!」
「ああ、西野さん。やっと夕飯ですか?」
「た、大変なんです!寒川さんが、寒川さんが部屋で死んでます!!」
「なにいぃ!?」

西野さんの声は大きく、部屋にいた全員にそのことは聞こえた。

「と、とにかくついてきてください!」
「わ、わかった!お前らは部屋で大人しくしていろ!」
「う、うん…」

そう言うと、小五郎さんは西野さんについて行った。…その二人を追う小さな影も一緒に。

「それじゃあ、誰かが知らせに来るまで部屋で大人しく…ってコナン君は?」
「あー、いや。えっとね…」
「まーたついて行ったのね!私が…」
「いや、ここは俺が連れてくるよ。蘭ちゃんは紅葉と一緒にこの部屋で待ってて」
「え?私は?」
「園子ちゃんは俺と一緒に史郎さんの所に行こう。非常事態だし、身内は固まっていた方がいいよ」
「う、うん」
「じゃあ、部屋にはチェーンロックと鍵をかけて。誰かが来てもすぐに開けないでのぞき窓で確認すること。いい?」
「わ、わかった」
「龍斗。お気をつけて…」
「分かってる。何事もなく帰ってくるって」

そう言って、俺は園子ちゃんを連れて3人の後を追った。 
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