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星河の覇皇

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第六十六部第三章 幸せの国その三

「まさか閣下が登場されてです」
「一気に武勲を挙げられて」
「オムダーマンのあった西方、そして南方を統一され」
「またハサンをも倒されるなぞ」
「とてもです」
「人は誰も思いも寄りませんでした」
 このことを予想した者は一人もいなかった、アッディーンが将官になった時にオムダーマンに優れた提督がいると噂になった程度だった。
「しかしです」
「今に至ります」
「オムダーマン、そして閣下がサハラを統一されるなら」
「その時は」
「サハラの国家は全てがだった」
 この千年の間に生まれ消えていったどの国もというのだ。
「統一すれば帝国になる運命だったのだ」
「その時はですね」
「その国が統一すればですね」
「例えそれまでどういった統治システムでも」
「統一すれば帝国になる」
「そう定められていましたね」
「預言にあるのだ」
 イスラムのだ、無論それはムハンマド以前の預言者によるものだ。イスラムでは預言者はムハンマドが最高であり最後の預言者とされているからだ。
「ならばだ」
「はい、共和制でもですね」
「王制でもですが」
「統一したその時は帝国になる」
「そうした運命でしたね」
「だからですね」
「オムダーマンも」
 官僚達は次々に言った、そして。
 アッディーンもだ、こう言った。
「そしてだ、どの国が統一するか」
「そのことはですね」
「人が知ることは出来ませんね」
「アッラーのみがご存知であること」
「だからこそですね」
「オムダーマンを建国した元勲達が知らなかったのも道理だ」
 彼等が築いた国の未来、それをだ。
「西方の端にある国だったが」
「そこからですね」
「サハラを統一せんとする国の一つになること」
「そのことをわかる筈もないですね」
「当時のオムダーマンの状況に合わせて共和制になった」
 この国家システムを選択したというのだ。
「議会の力も強い大統領を国家元首とするな」
「はい、議会制民主主義ですね」
「オムダーマンの国家形態はそうです」
「今もそうですが」
「そうなった理由は」
「建国当初の我が国の状況によるものですね」
「その通りだ、どの国も同じだ」
 アッディーンはオムダーマンだけではないとも言った。
「その国家形態はその状況に大きく左右される」
「オムダーマンは西方の端にあり」
「そこから西に開拓していきました」
「西の端に元勲達が建国してです」
「そこからまずは西に向かっていきました」
「特に戦争もなく」
「落ち着いて進んでいました」
 それが建国当初のオムダーマンの歴史だ、この国は建国当初は戦争も殆どなく西方の辺境を開拓していっていたのだ。
 その中では独断よりも合議が尊ばれた、それでだったのだ。
「独断すれば開拓はまずい状況になる恐れがありました」
「このことは連合でもそうだったでしょうが」
「オムダーマンもですね」
「この国も」
「そうだ、オムダーマンは独裁よりも合議でいくべきだったしそれで建国された」
 議会制民主主義による共和制でだ。
「それで拡大したが」
「だから共和制ですね」
「これまではそうでしたね」
「しかもサハラ統一はです」
「考えていませんでしたね」
「全くな、それこそだ」
 まさにというのだ。
「オムダーマン西方の端にいたのだ、西方では一廉の国だったが」
「それでもでしたね」
「サハラの中では取るに足らない国の一つでした」
「それではです」
「帝国なぞとても」
「考えも至らなかったですね」
「そこまでは」
 こうだ、アッディーンに官僚達も述べた。 
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