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名探偵と料理人

作者:げんじー
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第五話 -さざ波の邂逅、他色々-

 
前書き
このお話は原作91巻のFILE7、原作92巻のFILE2~4、MAGIC FILE3(OVA) 新一と蘭・麻雀牌と七夕の思い出が元になっています。 

 
「新一、龍斗君!ほら早く早く!」

あれから2カ月経ち、今日は七夕だ。俺達三人は商店街の七夕祭りに来ている。蘭ちゃんは初めて浴衣を着せてもらったらしく大はしゃぎだ。

「ったく、そんなはしゃぐなよ。恥ずかしい」
「まあまあ。せっかくのお祭りなんだしいいじゃない」
「そうだよー!ほら新一も楽しもーよ!」
「わーった、わーった!わかったから引っぱるなって!!」
「お。蘭ちゃんこっち向いて笑ってー」
「?はーい!!」
パシャ!

せっかくだし家にあった使い捨てカメラで二人の写真を撮ってあげた。こういう小さい時の写真は大きくなったとき思い出を振り返るのにいいからね。

「いきなり写真撮るんじゃねえよ、龍斗」
「撮ろうとしたら逃げるじゃん新ちゃん」
「あったりまえだ!写真とかとるのは母さんだけで十分だっつうの!!」

そういや、ことあるごとにパシャパシャ撮ってたな由希子さん。成長記録とか何とか言ってたっけ。愛されてるねー……うちの母さんも変わんないか。

「思い出だよ思い出。絶対大人になってから感謝するからいっぱいとってやるぞー。はいパシャリと」
「あー、もう!祭り楽しむんだろ?行くぞ!!」
「そうだね、行こう龍斗君!」

どういっても俺が撮るのをやめないことを悟ったのかさっさと祭りを楽しむことにしたらしい。
三人で出店を回ったり、短冊にお願い事を書いたり、三人で写真を撮ったりと大いに祭りを楽しんだ。

一学期の終業式も間近に迫ったある日、俺と新ちゃんがサッカーをして遊んでいると蘭ちゃんが走って駆け寄ってきた。

「新一、龍斗君!古い倉庫に魔法のひもがついているのを見つけたのー!」
「魔法の紐?んなモノあるわけーねーだろ!」
「なんで魔法の紐?」
「だってさー!見た事の無い文字がいーっぱい書いてあったんだもの!」

俺達三人はそう言う蘭ちゃんに連れられてその倉庫に来た。確かに変な文字が書いてある紐が扉の取っ手に結び付けられているな。

「とにかく、ほどいて先生に見せようぜ!」

そういってほどこうとした新ちゃんに

「ダメダメ。それはこの倉庫にいる恐ろしい魔物を封じ込めた、魔封じの紐なんだから…」

そういって、遮った男性がいた。結局蘭ちゃんが怖がり、またその男性がそう言えばこの中が危ないこの古い倉庫で遊ぼうとする子供がいなくなるだろう?と続けた言葉に新ちゃんも納得したのか、そのまま校庭に戻った……あの人、何者だ?





一学期が終わり、小学生初となる夏休みに入った。毎日の一言日記、算数のドリル、読書感想文などなど定番の宿題を出来るやつをさっさと片付けて俺は父さんと母さんにくっついて色々なパーティに参加した。そこで沢山の知り合いが出来たが、おそらくはあの中に原作で登場した人物も何人かはいたし、実際はもっといたと思う。原作なんて、印象深いもの以外はほとんど覚えちゃいないがメインの人はうろ覚えでも覚えている。現に……

『初めまして、坊や』
『こ、こんにちは。タツト・ヒユウです』
『あら、英語がしゃべれるのね』
『少しだけ。料理の本を読むために勉強したから』
『あら、龍斗君英語しゃべれるの。すごいわねえ』
『すごいって。知らないで私に話しかけさせたの?まあいいわ。それで、有希子。この子は誰なのよ。ヒユウってことはもしかして……』
『待った。龍斗君もいることだし日本語でしゃべらない?』
『……いいわよ。それでこの子はまさかあの緋勇夫婦のお子さんなの?」
「ええ、そうなのよ。今日のパーティで料理を作ってくれているのが葵ちゃんたちでね。手が離せないからって私が預かったの」
「そういえば、『お菓子の女神』とあなたは親友だったわね。そして納得が行ったわ。なぜ引退したあなたがこの会場に来ているのか。いつもは招待されても来ないのに」
「そりゃあもちろん、葵ちゃんたちが料理を担当するからよ♪」

今日はアメリカで開かれたとあるパーティに来ていた。なんでも世界を代表する俳優・女優が一堂に会する栄誉あるものらしくこれに参加するという事だけで箔がつくらしい。そして目の前で俺の視線に合わせて膝をついている女性。まさかこんな形で出会うとは。しっかりと覚えているよ。

「それで、シャロン。どう?この子。新一が来れなかったからもう一人の息子とも思ってる龍斗君を紹介したけど」
「と、いきなり言われても……とても綺麗な目をしているわね。それにとても素直そう。うちの娘と交換したいくらいね」
「そうね!ほんっとうに新ちゃんも龍斗君の1%でも素直だったらいいのに……あ、龍斗君持ってきてくれた?」
「うん。さっき厨房借りて。でも簡単にできるものしかできなかったよ?」
「いいのいいの。ねえシャロン。この子はすごいのよ。だから彼がもっと大きくなったら手を貸してあげてほしいのよ」
「??まあいいわ。これは……マフィン?頂くわ」
「私も貰おうっと。うーん、やっぱり美味しいわね!龍斗君流石よ」
「一応、カロリー控えめになるように工夫したけどどう?」
「そうなの?それにしても、味が薄いとかはないわよ。普通にこのパーティで出してもいいくらいと思うわ。どうシャロン。……シャロン?」
「……え、ええ。ここまでとはね。アオイ・ヒユウの物を食べたときのような衝撃を受けたわ。これは彼一人で?」
「そうなのよ!一度家で一緒にお菓子作りしたことがあるけど全部一人でやってこの味を出してるのよ!それでどう?この子が大きくなったらシャロンの伝手を貸してあげる価値はあると思わない?」
「そうね。ここまでなら私が何かしなくても上がっていけると思うけど何かあったら手を貸してあげましょう。よろしくね。改めまして、シャロン・ヴィンヤードよ」

まさかのベルモットさんですよ。流石にこの人は覚えていた。どうしてこうなった。まあ、由希子さんの俺の将来を考えてのプレゼントだとは思うけど。父さんと母さんの伝手を借りたら両親の七光りって言われるだろうし。大女優シャロンから依頼を受けたってなればそれだけでも箔がつく。まあ、単純に親友に俺を紹介したかったってだけかもしれないけど……まあどっちでもいい人だよな有希子さん。ちょっと葵ちゃんの料理とってくるーと言って俺とシャロンさんの二人をおいていってしまった。

「ねえ、龍斗君……あ、龍斗君って呼んでも良いかしら?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、龍斗君。君はご両親は『神』って呼ばれてるけど神様って本当にいると思う?」

シャロンさんはとても一言で良い表せない瞳をして俺に聞いていきた。

「神様?」
「ええ。あなたは現代に現れた神と女神の子供。そのあなたは『神様』ってどう思っているのかしら?」
「んー。僕はいると思うよ」
てか、白玉は一応神だよね?
「あら、それなら良いことをしている人がとても辛い目に合うのはどうしてかしら?私には神様は微笑んでくれなかったわ」
「んー……神様の役割は生きてる人を見守ることじゃないんじゃないかなー。ただそばにいる。そばに見守っている存在がいて支えてくれているという対象であることが神様の役割のひとつだと思う。だからこれからも頑張ろうってなれるんだ」
「なら、神様はいなくてもいいんじゃない?」
「うん。死んだ恋人さんとか家族とかでもいいんだ。でも神様はいるよ!そして神様にしかできない役割があるんだ!!」
「あら……ふふふ。なーにそれは?」

あ、ちょっと優しい目になってる。俺の子供らしからぬ神様の考え方には目を見張っていたみたいだけど今は子供の言うことを聞いてあげる大人の目だ。こうして見ると綺麗で優しそうな人なんだけどなあ。

「それは……『魂の管理』」
「!!?」
「生命は人も動物も植物も死ねばいっしょくたに混ぜられ、生前の全てを浄化される。そこに善人も悪人も老人も幼子も関係なく等しい扱いを受けるんだ。神様はその浄化作業と再分配にかかりっきりだから今生きている人のことなんか構ってられない。だから……」
「……」

俺の雰囲気に飲まれたのかシャロンさんは息を飲んで俺を見つめている。

「だから、シャロンさんは僕が笑わせてあげるよ!神様に微笑んでほしいってことはシャロンさんは今笑えていないってことでしょう?これから笑顔じゃいられなくなったら僕が笑わせるって約束!僕の料理で笑顔になって!このことは皆に自慢していいよ!だって、僕は将来『魂の管理者』になる存在だから!これってすごいことなんだよー!さっきはびっくりしてたけど…」
さあ、これ食べて笑顔になってよ!-そういいながら笑顔の俺が差し出したマフィンに、最初は戸惑っていた様子だったけど、やがてなにかしらの結論が出たのかマフィンを受け取り笑顔になってくれた。その瞳に涙を浮かべて。

「ありがとう……ありがとう、龍斗君。こんなこと言われたの初めてよ。……有希子」

丁度料理を取って帰ってきた有希子さんは泣いているシャロンさんにびっくりしていた。

「な、なによシャロン」
「私にこの子を巡り会わせてくれた事に感謝するわ。本当に…本当に……感謝するわ…」
「も、もう。らしくないじゃない!でもシャロンも気ににいってくれたみたいしこれからパーティーを楽しみましょう!」





あの邂逅の後、無事に帰国し(新ちゃんが一緒にいたら殺人事件でも起こってたかもしれないが)八月となり、俺はいつもの三人と夏休みを満喫していた。新ちゃんの家で本を読んだり、蘭ちゃんと園子ちゃんとお菓子作りをしたり、公園で新ちゃんとサッカーをしたり…そんなある日、優作さんが執筆と避暑を兼ねて海に行くということでお誘いを受けた。特に予定の無かった俺と蘭ちゃんは承諾し、お世話になることになった。園子ちゃんは鈴木財閥の別荘で過ごすそうだ。


誘ってもらった海に来ていた俺たちは優作さんが夕飯まで缶詰になるということで有希子さんを保護者に海に来ていた。午前中に砂浜で遊んだり、泳いだりしてお腹をすかせた俺たちは海の家で昼食を取った。

「それじゃあ、私はちょっと隣の海の家で買い物してくるから。食べ終わってもここにいるのよ?特に新ちゃん!勝手にどこか行かないこと!龍斗君、二人をお願いね」
「そんなことしねーよ!わーったからさっさといってきなよ!母さん」
「ちゃんと見ておきますね有希子さん」
「はーい!」
「それじゃあいってくるわね」

そういって、有希子さんは隣の店に向かっていった……ああ、蘭ちゃん、ほっぺたに青のりついてる。

「蘭ちゃん、ほっぺたに青のりついてるよ。海にまた入るけど、女の子がそんなもの顔につけてちゃいけません」
「ありがとー、龍斗君」

ティッシュで青のりを取ってあげて、ふと正面を向くとそこに座っていた新ちゃんがいない!?うそだろ、言われて一分も経ってないのに!?

「おい、オレは見てたぞ!オメーらがハエ入れているところを!」
「なんだと、小僧!ふかしこいてんじゃねえぞ!!」
「その証拠に、そのハエ。全然ソースついてねーじゃねえか。最初から入っててオメーらがほとんど食い終わる時に初めて気づいたんならハエは一番下にあったってことになる!なのに全然ついてないってことはオメーらが食い終わってから入れたってことだ!!」
「ぐっ!」

どうやら、ハエを入れていちゃもんつけようとしていた若者がいたらしくそれにかみついていた。うんうん、食べ物を頂いたならしっかりと感謝の意味も込めて代金を払うのは当たり前のことだ、よく指摘した……じゃねえ、何そんないかにもバカです、を体現しているような奴らに突っ込んでってんだよ!ああ、もう。てーんいーんさーん!!
あの後、すぐに海の家の従業員に説明をし来てもらった。若者たちはこっちを睨みながら店の奥で事情を聴かれるために連れて行かれた。

「新ちゃん!悪い奴らをどーにかしようとするのはいい!とってもいいこと!!だけど、考えなしに動いちゃだめだ。俺はいいけど蘭ちゃんがまきこまれたらどーするの!あいつらみたいなのは阿呆なんだから何するかわからないんだからね?!今は夏なんだし!!」
「わ、わかったって。でも我慢できなかったんだよ。あいつら今にも帰りそうだったし」
「……店員さんが引き留めてたろ?他の店員さんにさっきの推理を言って伝えてもらえばよかったんだよ?」
「それじゃあオレが推理披露できないじゃんか」
「こういう相手に披露しても新ちゃんの方が価値を下げるから言わなくていいの!……ま、このくらいにしとくよ。あいつらの悪行を止めたのは確かに新ちゃんの功績だしね」
「ほっ」
「おわったー?」
「ああ、蘭ちゃん終わったよ。二人とも食べ終わったみたいだし有希子さんよんでくるね」

説教の間もパクパク食べてた新ちゃんと先に食べ終わってた蘭ちゃんにそう言って俺は隣の海の家に向かった。

「すみません、連れがいるので」
「いいじゃない、お姉さん。サングラスで隠しているけど俺には分かっちゃうよーお姉さんすっげえ美人ってこと!そのお友達と一緒に俺達と遊ぼうぜ!」

おお、ナンパだ、ナンパされとる。そりゃあされるわなあ。藤峰有希子さんだもんなあ。でもまあ時間の無駄だしさっさと助け舟出すかね。新ちゃんから目を離すのが怖い。

「ママ―、お昼食べ終わったよ」
「ま、ママ?」
「うん、僕のママだよ?ねえ、ママ?」
「え、ええ。そうよこの子は私の息子の龍斗よ。コブ付きをナンパするつもり?」
「……っち。なら最初からそう言えよ」

そういうと悪態をつきながら男は仲間と一緒に離れていった。はあ、夏だねえ。

「ごめんねえ、龍斗君。ナンパを躱すために一芝居打ってもらっちゃって」
「いいよー。それにしても有希子さんモテモテだね」
「そりゃあ、私ですから。でもどうしてここに?」
「食べ終わったから呼びに来たんだ」
「そうなの?じゃあ戻りましょうか」

そして、戻った俺達が見たのは誰もいなくなった寂しい席だった……おいおい。

「もう、勝手に動くなって言ったのに!!」
「ごめんなさい、俺が離れなければ……」
「あ、ああ。いいのよ龍斗君!悪いのはうちのバカ息子だから」
「うん……じゃあ、分かれてさがそ?多分ナンパならさっきみたいに逆に子供を探しているって言えば諦めるだろうし」
「そうね、30分探して見つからなかったら一度ここに集合しましょう」
「わかった!」

そういって、俺は有希子さんと別れ二人を探すことにした。さてと俺も行きますかね。30分探し、有希子さんは蘭ちゃんの方は見つけたみたいで新ちゃんを探すように伝えたそうだ。……ふむ、あんまり人がいる所で力、今回は聴覚のリミッターを外すのは痛いからあんまりしたくないけど。流石に時間かかってるしね……『ねえねえ、一緒に遊ぼうぜ…』『あー、きっもちいい!!』『やっぱ、海と言えば焼きそば!』『今夜は…』『ボ、ボクは…工藤新一!シャーロックホームズの弟子だ!』お。これかな。場所は……蘭ちゃんも近づいるな……!?っち!










「小僧!さっきはよくもやってくれたな!!」
「あんたらが焼きそばの容器にハエを入れてただ飯食おうとしてたのがわるいんだろうが!」

ほう、このボウヤ。さっきのことといい、本当に面白いな。無鉄砲で真っ直ぐで正義感があって。それに好奇心旺盛で疑問に思ったことは知るまで追及をやめない姿勢……っふ。誰かを見ているようだな。
だがこのような輩にそんな言葉を投げかければ……

「お前がチクんなければばれなかったんだよ!」

全く、子供相手に無茶をする。ここは止めるかね……ん?後ろから少年が走って……っ!!?絡んでいた男の後ろにいた仲間の頭に飛び乗っただと?!なんて跳躍力!!それに少年が乗ったことにきづかないのはどういうことだ!?いや、それは後回しでまずはこの男からだ。

「悪いが、このボウヤは俺の連れでね……」










「悪いが、このボウヤは俺の連れでね。手出しは無用に願いたい。それでもというなら、相手になろう……目をえぐられ、そして君の連れはその少年に頭蓋を砕かれる覚悟があるのならね」
「え?」

そう、帽子の男性がいうと全員が俺の方に目を向け驚愕していた。そりゃそうだ。小1の男の子が大の男の上に立ってすぐにでも拳を振り下ろせる体勢でいたのだから。

「し、失礼しました―――!」

男たちはそういうとしっぽを巻いて逃げて行った。俺は逃走を始めた男の頭の上からひらりと飛び降りると蘭ちゃんと新ちゃんの前に飛び降りた。

「あいかわっらず猿みたいな身のこなしだな龍斗」
「猿……まあ関係もなくもないかな」
「は?」
「いやなんでもないよ。それにしても新ちゃん。有希子さんから席で待ってるように言われてたでしょうが」
「……あ。い、いやオメーが悪いんだぞ。あの説教のせいで完全に忘れてたじゃねえか!!」
「え、へ、あ。な、なんかごめん?いや、おかしくないかそれ?」

どうやら、あの説教のせいでその前に言われた有希子さんの話がすっぽり抜けてしまったらしい。

「さてと、頭に乗っていたボウヤ。すごい身のこなしだったね。何か武術でもやっているのかい?」

俺が新ちゃんと話していると蘭ちゃんと話していた帽子のお兄さんが話しかけてきた。耳に入ってた会話によると、彼はジークンドーの使い手なのか。

「あれは猿武だよ」
「猿武?」
「とあるおサルさんたちばかりの所で盛んな、細胞の一つ一つをすべて同じ意志に統一して力を受け流す技術……だったかな。これで重力?ってのを僕は受け流したからあの男の人の上にのっていてもあの男の人は僕の重さを感じなかったのさ。こんな風に!」
「!!確かに何の重さも感じない……しかし、バカなありえん」

俺はそういって帽子のお兄さんの肩に乗った。「猿武」のおかげで俺の重さはほぼ0だから驚いているのだろう。新ちゃんをかばってくれたみたいだしこれくらいはサービスかな?

「よっと。それから帽子のお兄さん。新ちゃんを守ってくれてありがとうございました!僕は緋勇龍斗って言います!ほら、新ちゃんもお礼を言いなさい」
「あ、ありがと」
「あ、ああ。構わないよ。流石に大人として見逃せなかったしな……そうだ、ボウヤ達スマンが妹の相手をしてやってくれないか。妹は友達が欲しいらしい……」
「いいけど…」

新ちゃんがそういい、八重歯が特徴的な女の子と一緒に遊ぼうとすると遠くから車のブレーキ音と何かがぶつかった金属音が聞こえた。

「「「「「!!!!!」」」」」

崖の上からガードレールを突き破り、車が落ちてきた!車が海に着水し、そのまま沈んでいく。それを見た帽子のお兄さんが海へと飛び込んでいった。二人以上乗ってたら彼一人じゃ荷が重いか。

「二人とも!ライフセーバーか、監視員の人を呼んできて!!」
「おい、龍斗!!」

俺は、返事を聞かずに海に飛び込んでいった。海の中では先に飛び込んだお兄さんが救助を行っていた。俺が来たことに驚いていたが運転手の男性の様子を身振り手振りで聞くと首を横に振った……ダメか。車の中を見るとどうやら一人だけだったようだが車の後部座席にブランド物の時計が大量に入った鞄があった。お兄さんの指示に従ってお兄さんが車から男性を引きずり出しているのを横目にするりと後部座席に滑り込み、鞄を肩からかけて浮上することにした。

「ぷっは」
「ふう」
「お兄さん、龍斗。戻ってきたな!だいじょーぶか?」
「うん、なんとかね。帽子のお兄さんは?」
「ああ、オレも大丈夫だ。しかし君は大人顔負けの身体能力を持っているんだな……」

浮上すると新ちゃんが近づいてきて声をかけてきた。男性の安否を聞いてきたがダメであること、鞄がこの件の重要な手がかりであることをお兄さんが伝えた。その後、その場にいた子供三人(蘭ちゃんはライフセーバーを呼びに行ったらしい)にそれぞれ指示をだし、俺達はそれぞれその指示に従った。



なんやかんやがあり、事件は帽子のお兄さんが無事に解決してくれた。お兄さんたちは警察の事情聴取を俺たちに任せてさっさと姿を消した。
新ちゃんは別れ際に八重歯の子―母親らしき人に真純と呼ばれていた―に何かを言われてたみたいだけど。いやーモテモテだね新ちゃんは♪……真純で八重歯?ま、まさかね?








「工藤新一、それに緋勇龍斗か。いつかまた、会いたいものだ」 
 

 
後書き
赤井さんの内面の描写とか、口調とか難しすぎます。皆さんの彼のイメージとずれていなければいいですが。

あと、主人公の力の開放は情報過多になるのが分かっているときは使いたがりません。情報処理で頭が痛くなるので。

実は、最初ヒロインは世良真純を想定していました。原作で幼馴染カップルができているとそこから崩れることがないのでなら浮いている、真純は主人公とくっつけてしまえと…あの人が登場するまでは。 
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