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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その七

「そうしてそのうえでや」
「戦ってやな」
「勝つんや」
「そうするか」
「詭道には王道や」
 こちらで対するというのだ。
「兵とは詭道っていうけれどな」
「王道もやな」
「ええんや、普通に戦って普通に勝つ」
「面白味がないって言われてもな」
「これが一番ええ場合も多い」
「普通、王道こそがか」
「何でもそや。何で王道が残ってるか」
 それはどうしてかも話す芥川だった。
「それが何でも有効やからや」
「戦でも政でもな」
「そや、案外世の中一つの道があってな」
「その道に添ってるとやな」
「成功するからな」
「それで王道は残る」
「詭道は案外廃れやすくもあるんや」
 そうしたものでもあるというのだ。
「それで僕等は今回はや」
「王道やな」
「それで行くで、こうした時はやっぱりな」
「王道やな」
「それや」
 兵が多く装備も優っていて補給も万全である、そうした条件が揃っているのならというのである。
「もうな」
「普通はおもろないって言う奴もおる」
「けど普通がやな」
「かえってええもんや」
「勝てるんやな」
「そして成功する」
 戦でも政でもというのだ。
「奇襲やら奇策は当たったらでかいしそれを狙わなあかん時もあるけどや」
「下手にするもんやないな」
「外れたら大きい、特に見破られて返り討ちに遭うとな」
「自分がいつも言うてる様にやな」
「もうどうにもならん様になる」
 そこまで敗れるというのだ。
「そやからな」
「あまりするもんやなくてか」
「相手が奇襲仕掛けそうならな」
「用心してやな」
「あえて普通でいくんや」
「斥候から多く出して伏兵がいそうな場所も把握しておく」
「そうしていくんや、相手の奇襲や奇策を読むのも大事や」
 そちらもというのだ。
「相手が劣勢でもう後がないとな」
「奇襲、奇策にうって出るか」
「乾坤一擲のな」
「相手はそうした状況って把握してか」
「こっちも備えるんや、そして今はな」
「相手がそうやな」
「そういうこっちゃ、詭道には王道で大してな」
 そのうえでというのだ。
「散々に打ち破るで」
「わかったわ、ほなな」
「高城に向かうで」
「わかったわ、ほな高城の辺りの地図を確かめておこか」
 中里は今度は戦の場の辺りのことを話に出した。
「そうしよか」
「こうなってるわ」
 芥川は早速日向の地図を出してきた、それと共に高城近辺の地図も出してそのうえで中里達に対して話をした。まずは日向の話だった。
「見ての通り日向は南北に長くて東が開けてて西は山が多い」
「豊後から大隅までの道が一直線にあるな」
「僕等は今はその道を進んでる」
 そうしているというのだ。
「順調にな、そしてや」
「その道からやな」
「高城の方に入るで、まあ宮崎の町に向かう形やな」
 その進軍はというのだ。
「そしてや」
「ここやな」
 佐土原を指し示してだ、中里は言った。
「高城は」
「そや、高城を攻めようとして川があるな」
「その対岸に九州の軍勢がおるやろな」
「そして僕等がその軍勢に向かおうとする」
 その時にというのだ。 
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