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夢幻水滸伝

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第三十九話 熊本城孤立その六

「伏兵置いたりして奇襲を仕掛ける」
「そうして勝とうとするからやな」
「こっちが万全の状況やとな」
「それでやな」
「伏兵がいそうな場所がわかったらな」
「そこに気をつけるか」
「そうする、九州の連中は絶対に伏兵を仕掛けて来るわ」
 このことは間違いないというのだ。
「それかこっちを攪乱させるか惑わせてな」
「そうしてぜよ」
「一気に攻めて来るわ」
 中里は正岡にこう返した。
「突撃を仕掛けてな」
「突っ込まれたらうちは勝てないぜよ」
 自分達の軍勢はとだ、正岡は自分達の軍勢の兵の強さから言った。
「九州の軍勢は隼人、強さは日本どころか太平洋でも相当ぜよ」
「大体日本の兵は強いってされてるけどな」
 実は関西の軍勢も太平洋では強い部類だと言われている、草原のモンゴル騎兵や密林で戦うベトナム兵と並んでだ。他には台湾の高原地帯出身の者達も精強だと言われている。
「九州はその中でもやな」
「攻めるなら九州ぜよ」
 そして守るなら東北だと言われている。
「だからぜよ」
「攻めさせたらあかんな」
「そうなったら本当にこっちの負けぜよ」
 正岡は腕を組んだ姿勢で述べた。
「だからそこは気をつけるべきぜよ」
「その通りや、ほんまに」
「奇襲、攪乱に気をつけるべきぜよ」
「伏兵のいる場所を警戒しつつです」
 織田も言ってきた。
「空船で上から動きを見ていきましょう」
「決戦の時もだね」
「はい、伏兵がいても彼等が動けば」
 その時はとだ、織田は玲子に話した。
「茂みにしても動きがあります」
「そうそう、しっかりとね」
「そこに鳥がいれば羽ばたきます」
 伏兵の動きに追われてだ。
「そうなりますので」
「だから空からもだね」
「見ていきましょう」
「そうだね、あと夜はね」
 玲子は目を鋭くさせて述べた。
「戦わない方がいいね」
「地の利はあっちにあるしのう」 
 山本は玲子の今の言葉に目を鋭くさせて返した。
「それでじゃ」
「そうだよ、夜に戦おうとすればね」
「空船で上から見ていてもじゃ」
「見えないからね」
 言うまでもなく夜の闇のせいでだ、上から照らしたり松明や灯りの術を使ってもそれでも限りがあるのだ。
「だからだよ」
「それでじゃな」
「夜に戦うべきじゃないよ、今度の戦は特にね」
「わしとかは夜でも見えるがのう」
 井伏は自分の種族であるオークのことから話した。
「多くの種族のモンは違うわ」
「だからだよ」
「夜での戦はじゃな」
「今回は絶対に避けるべきだよ」
「そうじゃな」
「まさに負ける戦になるわ」
 井伏も山本も玲子のその言葉に頷いた。
「だから今回は昼に戦う」
「それに専念すべきじゃな」
「進軍中も夜は警戒を厳しくしとく」
 中里は三人の話を受け入れてこう決めた。
「事前に奇襲とかも仕掛けて来るかも知れんしな」
「そうすべきやな、とにかく伏兵には気をつけてな」
「夜もやな」
「絶対に戦わへん」 
 そうするというのだ。
「普通の戦をする様に心掛ける」
「普通のか」
「そや、奇を衒ったものやなくてな」
「向こうが奇で来るならか」
「こっちは王道や」
 そちらを選ぶというのだ。 
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