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星河の覇皇

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第六十六部第一章 新兵器その三十四

「エウロパは追いつけるか」
「それがどうなるか」
「そのことがですね」
「困難ですね」
「その通りだ、果たしてだ」
 また言ったクリシュナータだった。
「あの国は独自で出来るか、そしてだ」
「エウロパは倒れるべきか」
「そのこともですね」
「考えるべきですね」
「このことも」
「結論から言うとあの国は存続すべきだ」
 マウリアから観て、というのだ。
「連合の暴走、独壇となることを止める抑止力だからな」
「例え国力が開いていても」
「それでもですね」
「あの国は連合の宿敵だからこそ」
「崩壊してもらっては困りますね」
「破綻してもらっていても」
「発展が失敗してもらってもだ」
 クリシュナータは冷静な声のまま領袖達に答えた。
「困る」
「マウリアとしましても」
「あの国には復興してですね」
「発展してもらわないとならない」
「そして連合と対立してもらう」
「この構図は変えるべきではありませんね」
「連合は敵が必要な国だしな」
 クリシュナータはこのこともわかっていた。
「非常に雑多な国だ、その国を纏める為にはな」
「敵も必要ですね」
「連合の全市民共通の敵が」
「古典的な方法だ」
 国家の市民全てに共通の敵を設けそこに目を向けさせ団結させていくこの政治的な方法はというのである。
「実にな、しかしだ」
「それでもですね」
「この方法は効果がありますね」
「それは市民が政策をわかっていてもいい」
 敵を意図的に作る政策ということをというのだ。
「別にな」
「それでもですね」
「重要であるのは敵がいること」
「その敵をその国家の誰が見ること」
「そのことがですね」
「連合は最初からエウロパと対立している」
 それこそ宇宙進出の頃からだ、決定的になったのはブラウベルグ登場以降からだ。
「国家形態も同じ民主主義にしてもだ」
「連合は大衆型の地方分権で」
「エウロパは貴族がいる中央集権ですね」
「そこも違いますし」
「その他にもですね」
「何もかもが全く違うので」
「国家と国家の衝突でもあり文明と文明の衝突でもある」
 連合とエウロパの対立はというのだ。
「だからだ」
「あの国はですね」
「エウロパと自然にいがみ合う」
「エウロパもそうですし」
「連合という敵が必要なので」
「いがみ合ってくれればいいしだ」
 そしてこの対立の構図をというのだ。
「このままで維持したい」
「そしてエウロパには倒れてもらわない」
「発展してもらうのですね」
「そういうことだ、今は党内もマウリアも人類社会もだ」
 その三つの世界全てがというのである。
「調和の時だ」
「このままでいるべきですね」
「ヴィシュヌであるべきですね」
 マウリアの神話、ヒンズー教での調和の神だ。三大神の一つであり最も力が強いと主張する信者も多い。
「破壊、創造ではなく」
「人類社会はですね」
「調和の時代であるべきですね」
「サハラは戦乱が終わり国家を建設するがな」
 統一されたそれをというのだ。 
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