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変わる顔

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第六章

「何も疑われない」
「しかし人間は違います」
「殺人ですから」 
 事件で最も重いものであるからだ。
「警察もこれ以上はないまでに真剣に捜査する」
「それなら毒もです」
 未夢がまた話した。
「足がつきにくいものになる」
「だからカンタレラをですか」
「自分で造って使っていたのでしょう」
「そうですか、ただ」
 殺人の動機や何故カンタレラを調合し使ったのかをだ、話してだ。それからであった。
 老人はさらにだ、二人に問うた。
「しかしよくわかりましたね」
「何故彼女が犯人か」
「写真を見て、ですね」
「顔と目を見てわかると言われていましたが」
 このことを話すのだった。
「本当によくわかりましたね」
「あの時お話した通りで」
「その二つでわかりました」
 二人はこのことは自信に満ちた笑みで話した。
「人は顔に出ます」
「そして目に」
「いいことをしても悪いことをしても」
「その生き方が」
「探偵長にもそう言われていまして」
「教えられたんです」
 二人の雇い主であり師匠でもある彼女にというのだ。
「悪い奴は顔に出る」
「特に目に」
「人を何人も殺す様だと」
「全く違うって」
「それでヤマをかけたのでしょうか」
 二人の話からだ、老人はこう考えた。
「そうなのですか」
「いえ、確信でした」
「絶対にと思いました」
 確かな顔でだ、二人はまた老人に答えた。
「これまで見てきた顔、目でしたから」
「人を何人も殺した来た顔と目だと」
「そうしたことをしてきたら本当に異様なものになりますから」
「もう忘れられない位に」
「あの犯人はそうした顔と目でした」
「だから確信しました」 
 絶対にというのだ。
「犯人だと」
「そうだと」
「そうですか、悪事を行うと顔特に目に出る」
 老人は二人の言葉から考える顔と目になって述べた。
「そうしたものですね」
「はい、そうです」
「本当に」
「いいことを教わりました、では報酬のことですが」 
 老人は二人にその話もした、その報酬は老人が出来る限りのもので二人も驚いた、しかし彼女達の上司は笑って受け取った。お金は合法ならば貰えるだけ貰ってくものだと言ってそのうえで。


変わる顔   完


                  2017・7・23 
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