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悪霊

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第二章

 両手と両足はあらゆる部分が粉々に砕かれ肛門には焼けた鉄の棒は突き刺されていた。胸と腹は激しい殴打を受けたのか膨れ上がり顔も同じだった。顔は苦痛で歪んでいた。
 青木は睾丸を両方共潰され棒の部分は引き抜かれていた。顔は無残に切り刻まれ指の爪は全て剥がれたうえでその指も全て折られてねじ曲がっていた。腹は縦に切られ内臓が取り出されていた。
 肘と膝は逆の方向に曲がっており耳には鉄の棒が突き刺さっている、顔は無残に切り刻まれ首は梅沢のそれの様にねじ切られていた。
 二人共恐怖と絶望で歪みきった顔をしている、警官達はその顔を見て言った。
「首をねじ切ったのは最後だな」
「ああ、どう見てもな」
「一通り嬲りものにしてからな」
「止めに首ねじ切ったんだな」
「えげつない殺し方だな」
「この連中相当なワルだったけれどな」
「この大阪のガンだった」
 そこまでの悪人達だったというのだ。
「親父の金と権力バックにやりたい放題でな」
「悪事も全部揉み消してたからな」
「殺人にレイプにヤクにってな」
「碌でもねえことしてたが」
「しかしその二人を殺した奴は誰だ?」
「それもここまでえげつない殺し方でな」
「神戸じゃこうした事件あったけれどな」
 この街で塾の講師や不良、暴力団員達が惨殺されていた事件は日本中に伝わっている。
「大阪じゃはじめてだな」
「神戸じゃ殺し方のえげつなさのレベルから同一犯って言われてたが」
「これもか?」
「神戸の奴が大阪に来たのか?」
「そうなったのか?」
「ひょっとして」
「それでこの二人を殺したのかよ」
 警官達はこうも考えた。
「この屑共を殺したのはいいけれどな」
「ひでえ殺し方だな」
「まるで徹底的に苦しみを与えて殺す」
「そうしたみたいな」
「とんでもねえ殺し方だな」
「全くだ」
 鮮血に染まった部屋の中で言うのだった、梅沢の会社は彼だけでなく父の悪事も公表され社長は権力の座から追われ逮捕され経営は株価の大暴落と極端な経営悪化及び事業の縮小を経て倒産寸前の状態で別の者の手に渡った。だが梅沢と青木を殺した者は誰かはわからなかった。
 大阪中央区に事務所を置く闇金テリーローンの事務所の中で今恐ろしいことが起こっていた、社員はっきり言えば構成員であるヤクザ者達がだ。
 白昼堂々次々と殺されていた、それこそ片っ端からだ。
「な、何だこいつ!」
「急に出て来たぞ!」
「これから会議で全員揃っていたってのに」
「そこを狙ってきたのか!?」
 構成員達は外に電話をしようとした、だが。
「駄目だ、通じないぞ!」
「電線切られてる!」
「しかも入り口は塞がれて」
「携帯も電波通じないぞ!」
「どうなってるんだ!」
「携帯の電波は妨害しているからね」
 彼等を片っ端から、それも素手で獣の様に殺している白い詰襟の制服の少年が言ってきた。髪の毛は金髪で肌は雪の様に白い。
 今一人を捕らえその右肘を躊躇なく折ってからその腕を引き抜いて絶叫を聞いて鮮血を浴びつつ抑揚のない声で言うのだった。
「通じないよ、君達のことは聞いてるよ」
「な、何をだ」
「俺達は只の金貸しだぞ」
「その金貸しを殺すってのか」
「そうするってのか」
「闇金として多くの人を泣かせてきたね」
 金髪の少年は彼等のこの事実を突き付けた。
「世に出ないその悪事、僕は知っているから」
「俺達を殺すってのか」
「今から」
「そうするのかよ」
「そうだよ、君達全員に死んでもらうよ」
 腕を引き抜いた男の両目を指で潰し口の中に手を入れて舌を引き抜いてから言う。 
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