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悪霊

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第一章

                 悪霊
 評判の悪い男だった、梅沢勲は大企業の社長である父の威光と権力と金を傘に着てそのうえ手下に大柄で怪力を誇る青木和博を持っていてだ。
 やりたい放題をしていた、暴力に女に金にとだ。気の赴くままに悪事を重ねていた。
 その梅沢はこの日もだった、夜に通り掛かりの女子高生を青木に拉致させていた。そうして青木に薬で眠らせたその少女を見下ろしつつ言った。今彼は自分のマンションの部屋にいる。
「じゃあ今からな」
「この女をですね」
「犯してやる、そしてな」
「ヤク漬けにして」
「風俗に売り飛ばすか」
「そうしてですね」
「俺が小遣い手に入れるんだよ」
 風俗での売り上げをピンハネするというのだ、赤く染めた長い髪にちゃらちゃらした外見だ、目は濁り淀んでいる。
「いつも通りな」
「それじゃあ」
「ああ、そしてな」
「後で、ですね」
「御前にもくれてやる」
 青木にもというのだ。
「そうしてやるからな」
「それではそれまでは」
「ああ、遊んでな」
 青木の岩石の様な顔を見つつ言う、岩の様な顔で体格はゴリラそっくりだ。
「酒でも何でもな」
「そうしてきます」
「それじゃあな」
 梅沢は服を脱ぎはじめた、そうして薬で眠らせている少女に迫ろうとした。その後ろにはまだ青木がいたが急にsだった。
 後ろから呻き声がした、梅沢はその声に振り向いたが。
 青木が蹲っていた、梅沢はその彼を夜の灯りを点けていないベッドルームで見て怪訝な顔になって彼に聞き返した。
「どうしたんだ、一体」
「簡単なことだよ」
 梅沢の知らない声が答えてきた。
「それはね」
「?誰の声だ」
「すぐわかるよ、彼はね」
 青木は両手で股間を抑えて蹲っていた、そうして動けなくなっていた。その彼の後ろにだった。何者かがいたのだ。
 その何者かがだ。梅沢にさらに語った。
「僕が睾丸を後ろから蹴り潰したんだよ」
「何っ、タマをかよ」
「そうだよ」
 その通りだという返事だった。
「両方共ね、そしてね」
「そして、何だよ」
「君もだよ」
 その何者かが動いた、姿は暗い部屋の中ではよく見えない。だが影の様に素早く動き梅沢の右目に指を入れてだった。
 その目をくり抜いた、梅沢は目をくり抜かれた衝撃と激痛に思わず絶叫した。
「があああああああああああっ!!」
「梅沢ホールディング常務、社長の息子梅沢勲」
 何者かは絶叫する梅沢にさらに言った。
「父親の権威を傘に殺人、暴行、窃盗、薬物、強姦とやりたい放題しているね」
「が、があああああ・・・・・・」
「そこにいる青木和博はその手下」
 何者かは青木にも顔を向けて言った。
「君達の悪事は知っているよ。父親の悪事も全世界にネットで公表するけれど」
「ぐはっ!」
 何者かは今度は梅沢の顎を下から蹴り飛ばした、そこで顎を砕き口から血を噴き出させた、顎を砕くと同時に歯を何本も折ったのだ。
「君達には神罰を与えるよ。今からね」
「ぐぐぐ・・・・・・」
「生きてきたことを後悔して最後の審判まで魂が激痛と恐怖と苦痛で苦しむ死を与えてあげるよ」
 何者かは梅沢に近付いた、そうして神罰を開始したのだった。
 翌日の昼通報を受けた警察は少女を助けると共にだった、梅沢と青木の無残な骸を見て吐き気を催さんばかりになっていた。
「何だこれは」
「無茶苦茶な殺し方だな」
「こんな酷い殺害現場ははじめて見たぜ」
「俺もだ」 
 梅沢の両目はくり抜かれ鼻はそぎ落とされて髪の毛の部分は全て剥がれていた、そのうえで首はどう見てもゆっくりと怪力でねじ切られていた。 
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