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星河の覇皇

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第六十六部第一章 新兵器その二十五

「党内のことは君達に任せたい」
「はい、わかりました」
「では党の実務を預かる我等がです」
「党の中をまとめておきます」
「ですから閣下はです」
 ここでは国家主席だった、政治を行うマウリアの国家元首としての立場を念頭に置いて言われたのである。
「政策に重点を置かれて下さい」
「国家元首として」
「そうさせてもらう、ではな」 
 クリシュナータは領袖達の言葉に頷いた、そしてだった。
 領袖達との食事を続けた、その中で。 
 領袖の一人が強烈な、しかし一瞬の辛さを感じてだ。クリシュナータに微笑んで言った。
「この辛さがいいですね」
「強いが、だな」
「はい、一瞬の」
「辛さは続いてもいいが」
「このカレーの辛さはですね」
「一瞬だ」
 例えどれだけ強くとも、というのだ。
「一瞬で消えるからだ」
「いいのですね」
「こうしたカレーもいい」
「強い一瞬の辛さ」
「香辛料によってこうなりますね」
「そういうことだ、そういえばだ」
 ここでだ、クリシュナータは領袖にこうも言った。他の領袖達にもだ。
「マウリアは昔から香辛料には困っていない」
「はい、甘さにもですが」
「香辛料にもですね」
「困っていません」
「むしろ幾らでもあり」
「売れる位ありましたね」
「そうだ、マウリアでは香辛料は何でもなかった」
 ふんだんにあるものだった、実に。
「他国の商人にも平気で安く売ることが出来た」
「そうでしたね、長い間」
「西方にそうして売ってきました」
「アラブの商人達にも」
「そして欧州にも」
「欧州、今はエウロパというが」
 ここでもエウロパの名前が出るが先程とは違う話での名前の登場だった。
「あの国に香辛料はなかった」
「とかくそうしたものは少なかったですね」
「あの栄えてたローマ帝国でも」
「ローマ帝国でも瑚椒は貴重なものでした」
「軍の保存対象にもなる程の」
 戦略物資扱いであったのだ、塩や武器と共に。
「そうした価値がありましたし」
「ローマ帝国分裂以降はでしたね」
「欧州で香辛料といえば」
「途方もない貴重品でした」
「そうだ、我々にとっては何でもないものがだ」
 欧州では、だったのだ。
「途方もなく高価になることもある」
「香辛料の様に」
「まさにですね」
「それもまた世界ですね」
「面白いことに」
「そうだ、そしてだ」
 クリシュナータはさらに言った。
「そのエウロパは今はだ」
「はい、大航海時代ですね」
「再びその時代に入りますね」
「復興の後は」
「暗黒宙域を越えますね」
「間違いなく越える」 
 クリシュナータは断言さえした。
「越えなくては先がないからな」
「サハラは塞がれ」
「中に開拓できる星はエウロパの技術では僅か」
「そうした状況だからこそ」
「何としてもですね」
「暗黒宙域を突破して新天地を手に入れる」
「彼等が生きる為に」
 まさにその為にとだ、領袖達も言うのだった。 
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