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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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アルバレス編
  カラコール島

 
前書き
ヒーローズが更新されなくなって丸1年ですね・・・
ちゃかさん何をやってるのやら・・・ 

 
「おい、押すなよ」
「お前がノタノタしてるからだろ?」

先ほどメストさん(旧ドランバルトさん)にエルザさんが連れていかれたのだが、どこに行くのか気になった俺たちは隠れてそのあとを追っている。

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」
「エルザさんしか入っちゃいけないってメストさんいってましたよね?」

先頭を行くナツさんとグレイさんにルーシィさんとウェンディが心配そうにそう訪ねる。実は今俺たちが来ているギルドの地下はエルザさんしか入ってはいけないらしい。でも、気になったのでこっそりあとをついてきているわけだ。

「バレたら謝ればいいよ」
「そうね。すんなり入れたわけだし」
「気にしない気にしない~」

俺とシャルル、セシリーは彼女たちのような心配は別にしていない。なんやかんや今まで色々悪さはしてきたわけだし、今回も大丈夫な気がするからだ。
そのまましばらく進んでいくと、階段が終わり床にギルドのマークが書かれた広いスペースに出る。その奥にある扉をメストさんが開くと、中のものを見てエルザさんが驚愕していた。

「うわ!!」
「きゃあ!!」
「ばかっ、押すなっ」
「どこさわってんのよー!!」
「あぎゃー」

よく見えなかったこともあり身を乗り出してみると、全員のバランスが崩れて壁から体が出てしまう。おかげで、2人が俺たちが尾行していたことに気付いてしまった。

「おまえたち」
「代々マスターにしか入ることが許されない・・・と説明するつもりだったんだが」

やれやれといった表情ながらも許してくれたメストさん。やっぱりなとか思っていると、調子に乗ったナツさんが立ち上がって喧嘩腰になる。

「ずりーぞ!!俺たちにも教えろ!!」
「まぁまぁ、落ち着いて」

悪びれる様子のない彼の姿にどこか安堵しつつもそれを止めようとすると、俺たちはエルザさんたちの目の前にあるものを見て動揺した。

「なんだこれは・・・」
「初代・・・ですよね?」
「なんでこんなとこに初代が?」

それは魔水晶(ラクリマ)の中に初代が入れられていたから。ナツさんが興奮して鼻息を荒くしてガン見していると、ルーシィさんに目を塞がれていた。

「これって初代の肉体?」
「生きてるの~?」
「なんでギルドの地下に水晶に入った初代が・・・」
「どういうことなんだ?メスト」

おかしな光景に目を丸くしていると、エルザさんが唯一事情を知っているであろうメストさんに話しかける。だが、彼は1拍間を置いてから話し始めた。

「俺にもこいつの正体はわからねぇ。だが、これがとてつもなく重要な何かであるのは間違いない」

どうやらメストさんにもこれが何なのかわからないらしい。するとナツさんが彼に迫る。

「それよりもじっちゃんはどこだ!?知ってんだろ!?」
「それよりって・・・」

これも気になるけどマスターが今どこにいるのかも気になるのはわかる。ただ彼の言い分に呆れていると、突然頭の中で見に覚えのない記憶が映し出される。

「え?何これ・・・」
「頭の中に・・・」
「映像?」
「俺の記憶だ」

メストさんの記憶。それは今から10年前も前に遡るものだった。
メストさんは本来は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だったのだが、彼の記憶操作の魔法を買われてマスターから評議院に潜入するように指示が出ていたらしい。

その際により潜入しやすくするために自分の記憶も消していたとかで、彼の記憶を呼び起こし“西の大陸”についての情報を尋ねに来るマスターを訝しく思ってしまい、S級昇格試験に潜入することになってしまったらしい。

それから7年間は俺たちが凍結封印されていたため記憶を呼び起こされることはなかったのだが、復帰してからはマスターが定期的に彼から“西の大陸”の情報を聞き出し、1年前の冥府の門(タルタロス)との戦いでギルドが破壊された際、マスターはある決断をすることを決めたらしい。

西の大陸にある大国“アルバレス帝国”その国は以前この大陸(イシュガル)に侵攻してきたことがあったらしい。その理由が今俺たちの目の前にある魔水晶(ラクリマ)に入った初代、『ルーメン・イストワール』を手に入れるため。

アルバレスの侵攻は当時の評議院が保有していたエーテリオンによる脅しにより食い止められたが、1年前、評議院が全員殺されたことでエーテリオンは放てなくなり、さらにはフェイスという切り札もなくアルバレスの侵攻が再び始まるとマスターは危惧したらしくギルドを解散させることになったらしい。

ただ、それだけだとなぜギルドを解散させる必要があったのかわからなかったが、アルバレス帝国の真の姿を聞き、納得した。

大陸(イシュガル)には約500の魔導士ギルドが存在しているが、西の大陸にはそれを上回る730のギルドがある。それら全てを統一して巨大な帝国を作り上げ、出来上がったのが超軍事魔法帝国アルバレス。

その巨大な帝国相手にギルド1つでは相手にもならない。だからマスターは彼らの侵攻を遅らせて評議院の建て直しの時間を稼ぐため、アルバレス帝国に交渉にいっているそうだ。

「じゃあじっちゃんはその何とかって国に行ったきり、帰ってきてねぇのか?」
「アルバレスですよ、ナツさん」
「ギルドの解散も全ては私たちのために・・・」

ギルドが残っていては交渉が失敗した際に真っ先にここが狙われる。負けが見えている戦で仲間たちを傷つけないためにも、当時の最善手はそれしかなかったのだ。

「1年間連絡がねぇのか?」
「あぁ」
「メストは止めなかったの?」
「止めて「ハイ、わかりました」って言うと思う?あのマスターが」
「頑固なところあるもんね~」

たぶんメストさんは止めただろうけど、それで止まるようなら苦労はない。アクノロギアと対峙した時もマスターは自身を犠牲にしてでも止めようとしてたし、俺たちのことになると自分のことなんてちっぽけなものだと思ってるのかも・・・

「無事なのかしら・・・」
「心配ですね」
「交渉を続けているのか・・・幽閉されているのか・・・あるいは・・・」
「その先は言うな」

最悪の事態もありうるこの状況下では誰も口を開くことができない。メストさんはそこからこの1年の経緯を話し始めた。

マスターの提案によりウォーロッドさんに頼み聖十大魔道を中心とした評議院を立ち上げたこと。
その中でもアルバレス帝国の脅威についての認識は共通しており、すぐさま防衛戦を張ったこと。

「じいさんの時間稼ぎは成功したってことか。だったらもう帰ってこれるじゃねーか」
「本来なら。この情報が6代目の耳に届いていないのか・・・帰ってこれない状況なのか」
「だから助けに行く。だろ?」

ナツさんのその問いに全員がうなずく。もちろんメストさんも始めからそのつもりだ。

「あぁ。マスターに言われた通り評議院は復活させた。ここからは俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士として動く」
「ギルドのメンバーが揃えばどんな敵だって怖くないよ!!」
「そうだそうだ~!!」
「みんなで行きましょう!!」

仲間たちが揃ったことで俺たちの自信は何倍にも膨れ上がっている。エクシードトリオもそれに同調し気合い満点いざ出発と思ったところで・・・

「待て」

エルザさんに制止されてしまった。

「マスターほどの人が勝てないと見込んだ相手だ。無策で突入する訳にはいかん」
「俺たちは1年で強くなった!!どんな敵だろーが負けたりしねぇ!!」
「マスターが身を挺して作った時間、私たちへの想い、無駄にするつもりか?」

相手がどれだけ強かろうが俺たちだって成長してきている。それでも、新たにマスターとなった彼女は冷静に判断していた。

「ギルドを立て直し仕事を再開し妖精の尻尾(フェアリーテイル)を復活させる。再び集まったみんながいつも通りに笑っていてほしい。これが私の・・・7代目マスターとしての考えた」
「ウソでしょ?」
「エルザさん・・・」
「オイ・・・そりゃあ―――」

自分たちのために1人を犠牲にする・・・今までの彼女ならばありえない判断に思わず震える。

「だが、1人のギルドメンバーとしての考えは違う。必ずマスターを救出しなければならない!!だからここにいるメンバーのみで行動する」

それを聞いた瞬間、全員が安堵した。やっぱりエルザさんはエルザさんなんだと。

「少人数がいい。アルバレスに潜入してマスターを救出、そして脱出する」

俺とウェンディは小さくうなずく。彼女はこちらを向いて全員に釘を指した。

「これは戦いではない。潜入・・・救出作戦。無駄な戦いも騒ぎも一切起こさない」

彼女の冷静さには頭が上がらない。その作戦に1人納得してないものもいたが、彼女は彼に詰め寄る。

「いいか、ナツ」
「お・・・おう。必ずじっちゃんを助け出す!!」

こうして俺たちはマスターを救出するために行動することになった。そんな時地上では、俺たちの会話を盗み聞きしていた男が別行動に出ようとしていたが、俺たちはそのことをこの時は知るよしもなかった。













「ウップ・・・」
「船で行くのかよ・・・」

俺たちがいるのは船の上。そこでは俺とナツさんが安定な船酔いを起こしていた。

「何で行くと思ってたんだ」
「ホラ・・・メストの瞬間移動でピューッと」
「そんなに長距離は無理だ」
「そんな・・・」

今にも死にそうな俺たちは助けを求めるためウェンディを頼ろうとした。しかし、ここで予想だにしない出来事が起こる。

「ウェンディ・・・助け・・・」

トロイアをかけてもらおうとしたところ、彼女も真っ青な顔で海に顔を向けて吐き気を抑えていたのだ。

「「ウェンディ!?」」
「すみません・・・なんか私も・・・乗り物に弱くなっちゃったみたいで・・・」

俺たち同様乗り物酔い中の彼女は慣れていないかともあり動くこともできない様子。

「大丈夫?」
「こうなるとウェンディにもトロイアは使えないわ」
「魚食べる?」
「余計気分悪くなっちゃうよ~」

このままでは戦力にならないので到着するまで寝室で休ませてもらうことになった俺たち。グレイさんが運んでくれたのだが、寝室につくまでに服がどんどん脱げていたけど、風邪引いたりしないのかな?

「ウェンディも乗り物に弱くなったんだね」
「ごめんね、シリル」

寝室で横たわっていると少しは気分もよくなる。それにしてもウェンディまで乗り物酔いになってしまうと・・・今後乗り物に乗るのがますます厳しくなってしまうような・・・

「見えてきた、カラコールだ」
「ホラ、下船の準備しろ」

それからしばらくすると第一の目的地、カラコール島が見えてきたらしく引きずり出される。確かスターマンゴーが美味しかった・・・う・・・食べ物のこと考えたらますます吐き気が・・・

「待て。あの船は何だ?」

島が見えてきたところでエルザさんが何かに気が付いた。巨大な黒塗りの船。そこに描かれているのは見たこともないマーク。

「アルバレス帝国軍の船だと!?」
「なんでこんなところに」
「観光地だったはずだよね~?」
「ええ。カラコールはアルバレスの領土じゃないはずよ」

その正体はアルバレス帝国の船。自分たちの領土ではないのに、なぜこんなところにアルバレス軍がいる理由がさっぱり検討もつかない。

「港で何か検閲をやってるようだ」
「これじゃ島に近づけねぇぞ」

望遠鏡を片手に島の様子を伺うメストさん。それの手助けではないけど、俺たちも島の様子を聞いてみることにした。

「スパイの仲間を探してるみてーだ」
「スパイさんも捕まってはないようです」
「それを探すために島中を封鎖してるようです」
「え?あんたたち港の声が聞こえるの?」
「かすかにだけど・・・」

この1年で成長した分五感がさらに鋭くなった。でも、しゃべったことでより気持ち悪さは増してるけど・・・

「どうする?」
「奴らに諜報員が捕まる前に接触せねばな」

虎穴に入らずんば虎児を得ず。俺たちはスパイさんと合流するためにカラコール島へと降り立った。

















「港は一時的に封鎖する。島に入るもの、出るもの、全ての身分と荷物を検査する」

港に入るとすぐさま怪しげな仮面を被っているアルバレス軍の兵隊たちが観光客たちを取り調べていた。

「いいかナツ。おとなしくしてるんだぞ」
「わかってるよ」
「次」

小声でナツさんにエルザさんがそう言うと、ちょうど俺たちの順番が回ってきた。

「あたしたち、観光でこの島来ましたー!!」
「あい!!」
「この島のスターマンゴーが絶品と聞いてな」
「楽しみだね、お姉ちゃん」
「早くスターマンゴー食べたーい!!」

全員で水着に着替えて変装はバッチリ。俺がセシリーやシャルルの妹役なのは腹が立つけど、ここはそれを飲み込んでおこう。

「お姉ちゃんって・・・」
「そんなキャラ設定いるか?」

後ろからお兄ちゃん(笑)2人が何か言ってるけど気にしたら負けだ。このまま通過できるかな?と思っていると、軍人さんはルーシィさんの手を見て質問してくる。

「その紋章はギルドのものか?」
「魔導士ギルド化猫の宿(ケットシェルター)です」

ギルドマスターであるエルザさんの権限により一時的にギルドマークを変えている。それにしてもこのマーク本当に懐かしいな、心がワクワクしてくるよ。

「聞いたこともねぇギルドだな」
「そもそもイシュガルのギルドなんか数えるくらいしか知らねーよ」
「「・・・」」

アルバレスの兵隊たちの言葉に思わず無言になる。確かにずいぶん前になくなったギルドだから知らないだろうけどそんなこと言わなくてもいいんじゃないかな?

「どうする?魔導士は特に厳しくチェックしろと言われてるし」
「いや・・・そもそもスパイさんもの仲間がギルドの紋章つけてやって来るか?」
「確かに」

俺たちを通過させるかどうかで揉めている兵隊さんたち。このままではらちが明かないとルーシィさんとエルザさんが勝負に出る。

「ねぇ、早く通してくれる?」
「スターマンゴーが売り切れてしまうではないか」

2人で胸を押し付けあって色気を出すと、兵隊たちは照れてしまい荷物をささっと確認してあっさり通過させてくれた。

「さすがだな~」
「全く、おそれいるぜ」
「人間のオスも大したことないわね」
「本当だね~」
「2人とも・・・たぶん私たち役に立ってないよ」
「まさしくそれ」

スクール水着で得意気なシャルルとセシリーに浮き輪を携えているウェンディと人魚の踵(マーメイドヒール)の水着イベントでの水着を無理矢理着せられている俺は落ち込みながらそう言う。ハッピーが人型のシャルルにガッカリしてるけど、そこはどうでもいいや。

「それにしても町中にも兵隊がうろついてやがるな」
「うかつなことはできんな」

関門を突破しても油断はできない。俺たちがおかしなことをすればすぐにでも至るところにいる兵隊たちが襲ってくるだろう。

「ナツ、おとなしくしててよ」
「なんで俺ばっかり」
「お前が一番潜入の意味を理解してないからだ」
「わかってるってあれだろ!?俺の好きな忍者みたいなもんだ!!」
「ナツさん、逆に怪しいです」

マフラーで顔を隠している彼は不審者以外の何者でもない。アルバレスに職務質問される前に直させようとしたところ、俺たちの目にあるものが入った。

「お父さんを返して~!!どこにつれてったの~!!お父さ~ん!!」
「親父に似てこのガキも反抗的だな」

恐らく先程の検問で捕まってしまったであろう父親を取り返そうと兵隊たちに泣きついている少年。それを見てナツさんが動こうとしたが、エルザさんが制止する。

「ガマンするんだ、ナツ」
「絶対に奴らに手を出してはいけない」

泣き叫ぶ少年には申し訳ないがここで手を出すわけにはいかない。俺たちにも守らなければならないものがいるから・・・そう思っていた。しかし・・・

「黙らねぇと殺すぞ!!」

剣を振り上げ少年を貫こうとする兵隊を見た瞬間、俺たちは動いた。
彼を取り巻く兵隊たちを一斉に凪ぎ払う。その瞬間、町中全ての視線が俺たちに集まった。

「もう大丈夫だからね」
「やっちまった・・・」

少年を無事に保護するウェンディと冷や汗が止まらないメストさん。やってはならないことをしたが、俺たちには一切悔いはない。

「忍法、ぶっとばしの術だ」

もうこうなったら逃げも隠れもしない。ここにいる敵を全員凪ぎ払ってやるぜ!!



 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
もうこの辺はどんどんぶっ飛ばしていきます(笑)
ご注意ください。 
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