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星河の覇皇

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第六十六部第一章 新兵器その七

「特に速度だ」
「エンジンが違いますね、これまでとは」
「速度がどの兵器も倍以上になっています」
「駆逐艦や巡洋艦、高速戦艦は特に」
「その速度の上昇は相当です」
「連合軍の艦艇とは比較になりません」
「重歩兵と軽騎兵以上の差が出ています」
 それ位の違いにまでなっているというのだ。
「只でさえ連合軍の艦艇は足が遅く」
「それに対してエウロパ軍の艦艇は高速でしたが」
「これまで以上の開きが出ました」
「まさに」
「連合軍はとかく足が遅い」
 艦艇のそれはというのだ。
「高速戦艦までもがな」
「その重装備、重装甲とです」
「様々な設備を搭載しているうえに大型です」
「駆逐艦でも他の国の巡洋艦程の大きさがあります」
「大男が鎧兜と盾に身を包み剣や槍、駑まで持っている様なもの」
 官僚の一人がこう表現した。
「ローマの重装歩兵以上です」
「あれ以上の重装備です」
「それではです」
「遅いことも当然ですね」
「それを念頭に置いて設計、開発もしていますし」
「連合軍はあえて犠牲にしたのだ」
 クリシュナータも言った。
「速度をな」
「最初からですね」
「それを犠牲にして他の能力を優先させた」
「特に生存能力を」
「ダメージコントロールを」
「連合軍は市民の軍隊だ」
 このことは彼等も言っているその最大の特色だ。
「騎士でもクシャトリアでもマムルークでもない」
「市民ですね」
「選挙に出て国政を左右する」
「そうした者達なので」
「犠牲は出てはならない」
「連合の政治家も嫌うことですね」
「若し犠牲が出ればそれで即座に糾弾になる」
 批判と言ってもいい、政治家達へのそれになるのだ。
「それならばだ」
「犠牲は出てはならない」
「出来るだけですね」
「それ故にですね」
「連合軍は損害を嫌いますね」
「どの軍でもそれは同じですが」
「連合軍は特に」
 その考えが際立っているというのだ。
「やはり市民の軍として」
「損害を出したくないのですね」
「損害を出来る限り抑えて戦う」
「その考えが徹底していますね」
「全体主義国家の戦争は犠牲を躊躇しない」 
 冷静な声でだ、モンサルヴァートは言った。
「そうした国はな」
「かつてのナチスやソ連ですね」
「ああした国はですね」
「犠牲を躊躇しない」
「そうですね」
「国家の為に個人は全てを捧げるべきだと考えているからだ」
 それ故にというのだ。
「犠牲もだ」
「厭わず戦う」
「犠牲なぞ無視してですね」
「国民を戦場に送ることが出来ますね」
「実際にナチスやソ連は躊躇なくした」
 特にソ連はである。
「膨大な犠牲も考慮しなかった」
「最前線に次から次に送りですね」
「そしてですね」
「戦うことが出来た」
「独裁者が統治する全体主義国家は」
「全体主義国家はイデオロギー、それによって治められる国家を絶対とする」
 そしてその頂点に立つ独裁者をだ。 
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