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フルメタル・アクションヒーローズ

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第157話 四郷鮎美の戦い

 一方、その頃。

 日本のどこかにある、山と海に囲まれた巨大な崖の上。
 人里離れたその場所で、一人の女性が佇んでいた。白衣に袖を通す彼女は、憂いを帯びた表情を浮かべてている。

 崖の先に見える大海原は、朝日の輝きを浴びてまばゆい光を放っている。その眩しさを手で覆い隠し、女性は足元に視線を落とす。

 そこには――全てを埋め尽くすような瓦礫や金属片の山が、広範囲に渡って積み上げられていた。
 何に使われていたのか。ここがどんな場所だったのか。それが全く想像できない程に、何もかもが粉々になっている。全てを破壊し尽くされた、廃墟という言葉すら当てはまるかどうか怪しい、「どこか」だった「なにか」。

 ともすれば、ジャンクヤードにすら見えるかも知れない。何も知らない人間が目の当たりにすれば、そう認識してもおかしくはないだろう。

 ――だが、その女性は違う。

 彼女は、全て知っているのだ。

 ここに何があったのか。ここで何が行われたのか。

 ここが、どんなものを生んだのか。

 そして――なぜここが、これほどまでに破壊し尽くされたのか。

「……」

 その悍ましさ。恐ろしさ。それら全てを知った上で、彼女はここに来ていた。思い出すことすら憚られる、悪夢の象徴。自身のみならず、罪のない家族の人生さえも狂わせてしまった、全ての不幸の元凶。

 その古傷を自ら抉れば、耐えがたい苦しみが襲い掛かる。そうと知りながら彼女は、ここに足を運んだのである。痛ましい記憶を掘り返すことになろうとも。苦しむことになろうとも。

 そのリスクに見合うだけの「値打ち」が、ここにあるのだから。

「……本っ当。私も、堕ちるとこまで堕ちたものね。あれだけのことをしでかして、償うためにやることが……これだなんて」

 己の力と頭脳を呪い、非力さを嘆き、口元を悲しげに歪ませて。それでもなお、彼女は瓦礫の山を歩み続ける。どれほど過去の記憶に苛まれようと、この足だけは止めまい――と。

 そして、彼女にとっては永遠のように感じられた、この苦しみの渦中から。やがて這うように歩き続けた、短い旅路の先で――彼女は、この大量の鉄屑の中で転がっていた「巨大な指」を思わせる鋼鉄の物体を目の当たりにする。
 それを視界に映した女性は、自虐するような口調で小さく呟いた。

「誰もが、私を呪うでしょうね。……えぇ、そうするがいいわ。私も、好きにするだけだから」

 ――まるで、自分がこれから「大罪」を犯すことを予見しているかのように。
 
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