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英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
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第12話

4月21日、演習地出発――――



午後6:30――――



~第Ⅱ分校・分校専用列車停車駅~



演習地出発の夕方、生徒達が分校専用の駅構内で出発の準備をしている中、ある程度準備を終えたリィン達教官陣は顔を合わせて今後の事について話し合っていた。

「そろそろ時間かな……?」

「ええ、第Ⅱ分校専用の特別装甲列車……機甲兵やヴァリマール、それにパテル=マテルも数機分運べるそうですね。」

「機体の搬入に物資や装備の積み込み……夜9時の出発らしいがなんとか間に合うのかね?」

「問題は肝心の装甲列車がいつ来るかですけど……」

ランディの疑問に続くようにセレーネが呟いたその時、列車のクラクションが駅構内に聞こえ

「クク、その噂の列車が来たようだな。」

「うふふ、どんな列車なのかしら♪」

クラクションを聞いたランドロスとレンはそれぞれ興味ありげな表情をした。

「おっしゃあ、来たでぇ~!」

「ぁ――――」

一方リィン達同様列車のクラクションに気づいた生徒達も列車が来る出入り口に視線を向けると先頭列車に第Ⅱ分校の紋章がある第Ⅱ分校専用、特別列車―――”デアフリンガー号”が姿を現し、駅に到着すると停車した。



「……キレイ……!」

「銀色の列車か……」

”デアフリンガー号”を初めて見たティータはデアフリンガー号に見とれ、クルトは目を丸くした。そして停車した列車から作業員が次々と出てくる中、クレア少佐も列車から姿を現した。

「え――――」

「あれっ………!」

「あの方は………」

「ほう?」

クレア少佐の登場にリィンとトワ、セレーネが目を丸くしている中ランドロスは興味ありげな表情をし

「―――フン、来たか。」

「おいおい、マジかよ。」

「うふふ、まあ”鉄道”―――それも”軍”が関わっているのだから、”彼女”の登場もそんなに驚く事はないわよ。」

ミハイル少佐は鼻を鳴らし、驚いているランディにレンは小悪魔な笑みを浮かべて指摘した。

「ふふっ………――――初めまして。第Ⅱ分校の生徒と教官の皆さん。鉄道憲兵隊少佐、クレア・リーヴェルトといいます。第Ⅱ分校専用、特別装甲列車、”デアフリンガー号”をお渡しします。」

そしてクレア少佐は第Ⅱ分校の面々を見回して微笑んだ後敬礼をして自己紹介と目的を説明した。



「―――よし、こちらは大丈夫だ。物資の搬入に回ってくれ。」

「了解だ。」

「はあはあ……がんばりますっ!」

数時間後生徒や教官達が協力して準備を続けている中、リィンは生徒達に新たな指示を出し、指示を受けた生徒達と入れ替わるようにクレア少佐がリィンに近づいてきた。

「あ………クレア大尉―――いえ少佐。お久しぶりですね。」

「ふふっ………ええ………3ヵ月前のバルヘイム宮での年始のパーティーの送迎以来でしょうか?第Ⅱ分校への就任、本当におめでとうございます。就任の経緯を考えると、私からの言葉ではご迷惑かもしれませんが……」

リィンに祝福の言葉を述べたクレア少佐は複雑そうな表情を浮かべ

「いえ、そんな事はないですよ。まさかクレア少佐が受け渡しに来てくれるなんて夢にも思いませんでしたが。」

クレア少佐の言葉に対して謙遜した様子で答えたリィンは苦笑しながらクレア少佐を見つめた。



「ふふっ………ミリアムちゃんとレクターさんに先を越されてしまいましたから。――――というのは冗談として今回の計画では、演習地の確保も含め鉄道憲兵隊がバックアップしています。現地までの連絡要員として同行しますので小姑と思って我慢していただけると。」

「小姑って……はは。」

クレア少佐の冗談を交えた説明にリィンが苦笑したその時

「やれやれ………”氷の乙女(アイスメイデン)”とも知り合いとか、マジでお前やロイドの綺麗なお姉様方と次々とお知り合いになれる強運を分けて欲しいぜ。」

ランディがランドロスと共に二人に近づいてきた。

「いや、意味がわからないんだが………」

「ふふっ……―――――オルランド准佐とこうして会うのは初めてになるでしょうか?レクターさんから、オルランド准佐の噂はかねがね伺っています。」

ランディの言葉に疲れた表情で答えたリィンの様子を微笑ましく見守っていたクレア少佐は気を取り直してランディに視線を向けた。

「あの”かかし(スケアクロウ)”からねぇ……大方”かかし(スケアクロウ)”の事だから俺の事もさぞ、面白おかしく伝えたんだろう?」

「フフ、多少脚色を加えた噂である事は否定しません。――――第Ⅱ分校への協力、本当にありがとうございました。」

「ま、半ばウチのリア充皇帝共のせいによる強制だったけどな。心配せずとも、振られた仕事はきっちりこなすつもりだし、アンタらが怪しむような”仕事”をするつもりはないぜ。――――アンタらがあんまり悪辣なことをしない限りはな。」

クレア少佐に感謝の言葉を述べられたランディは苦笑しながら答えたが、すぐに意味ありげな笑みを浮かべて辛辣な言葉を口にした。



「ええ………肝に銘じます。」

(まあ、エレボニアとクロスベルの状況を考えれば、ランディの態度も当然と言えば当然か……)

ランディの言葉をクレア少佐が素直に受け取っている様子をリィンは静かな表情で見守っていた。

「そして貴方が………」

「よー、あんたがあの名高い”氷の乙女(アイスメイデン)”か!俺は仮面の紳士ってもんだ、よろしくな。」

そしてクレア少佐がランドロスに視線を向けたその時、ランドロスが先にクレア少佐に声をかけた。

「え、ええ。……………えっと、リィンさん、ランドルフ准佐。分校の教官陣の件を知ってから聞く機会ができたら聞こうと思っていたのですが………こちらのランドロス教官もクロスベル出身の方……なのですよね?」

「へ………」

「おい……まさかとは思うが、気づいていないのか?」

困惑の表情をしているクレア少佐の質問にリィンが呆けている中、ランディは信じられない表情でクレア少佐に確認した。

「………?何にでしょうか。」

「えっと……”仮面の紳士”―――ランドロス教官の正体です。」

「勿論正体は知りたいですがその………こちらの変質者―――失礼。随分と変わった趣味の仮面を被った方が一体何者なのでしょうか?」

「変質者って、テメ――――」

「そこの仮面のオッサンはギュランドロス皇帝だぞ!?アンタがまだクロスベルが自治州だった時、”合同演習”の件で脅すつもりが逆に脅されて”鉄血宰相”に対する”宣戦布告”までした”六銃士”の”紅き暴君”ギュランドロス・ヴァスガンだ!」

リィンの指摘に対して戸惑いの表情で答えた後必死に遠回しな言葉を探しながら答えたクレア少佐の問いかけを聞いて驚いたランドロスが声を上げかけたその時、ランディが疲れた表情でランドロスの正体を答えた。



「ギュラン、ドロス皇帝………こちらの、変わった趣味の方が……?――――っぷ、クスクスクス、レクターさんから聞いていた通り、ランドルフ准佐はムードメーカーとしてその場の雰囲気を明るくする事にとても長けているのですね。そもそも、クロスベルの皇帝陛下の一人がこんな場所にいるなんてありえませんよ。」

「だったよなぁ……はっはっは………」

ランディの答えを聞いて呆けてランドロスを見つめたクレア少佐だったがすぐに可笑しそうに笑って答え、ランドロスもクレア少佐に続くように笑っていた。

(…………おい、マジで気づいていないみたいだぞ?)

(……そうみたいだな。正直、まさかあれで本当に騙せる人がいるなんて想像もしていなかったな……それも”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人を。)

(そ、そう言えば以前お父様の話でエルミナ様も今回の件同様”仮面の紳士”として正体を隠していたギュランドロス陛下の正体に気づかなかった話を聞いた事がありますわ……)

(エルミナ皇妃は、雰囲気や性格からして相当真面目な女性だったわよね?エルミナ皇妃という”前例”を考えると真面目過ぎる人程、真面目に考え過ぎてギュランドロス皇帝のような”あまりにもわかりやすすぎる変装”に騙されるかもしれないわね……)

(あっはははは!こりゃ、傑作だ!まさかあんなバレバレな変装に騙される大馬鹿がいて、それもクロスベルに戦争を仕掛けようと考える奴の下にいる幹部クラスの一人がその大馬鹿とはね。こんな大馬鹿は間違いなく、ルファディエルの”策”に利用されまくって、その”策”に対抗して自滅するタイプだね。)

一方クレア少佐の反応に冷や汗をかいてリィンと共に表情を引き攣らせたランディは信じられない表情でリィンに小声で囁き、リィンは戸惑いの表情でクレア少佐を見つめ、表情を引き攣らせて呟いたメサイアの念話を聞いたアイドスは苦笑しながら推測を口にし、エルンストは腹を抱えて笑った後口元に笑みを浮かべてクレア少佐を見つめていた。



「―――ここにいたか。リーヴェルト少佐。」

するとその時ミハイル少佐がリィン達に声をかけ、トワやレン、セレーネと共にリィン達に近づいてきた。

「……アーヴィング少佐。お役目、ご苦労様です。トワさんにセレーネさん、それにレン皇女殿下も本当にお久しぶりですね。」

「あはは………NGO絡みだったから、半年ぶりでしょうか?」

「ふふっ、わたくしとお兄様は年始のパーティー以来ですわね。」

「レンは去年の夏至祭にバルヘイム宮のパーティーに呼ばれて以来になるわね♪」

「再会の挨拶は後にしたまえ。そろそろ定刻だが………分校長や博士はどうした?見たところ報告にあった彼女の専用機も未だ分校にすら移送されていないようだが……」

「専用機……ですか?」

(サンドロッド卿専用の機甲兵……俺達も初耳だな。)

(え、ええ………レン教官でしたら、ご存知のような気もしますが……)

(うふふ、リアンヌお姉さんの”専用機”を知ったら、リィンお兄さん達も絶対驚くでしょうね♪)

クレア少佐とトワ達の再会の挨拶を中断させたミハイル少佐の疑問を聞いたトワは不思議そうな表情でミハイル少佐に視線を向け、セレーネはリィンと共に戸惑いの表情をした後レンに視線を向け、視線を向けられたレンが小悪魔な笑みを浮かべたその時

「――――それには及びません。」

リアンヌ分校長がシュミット博士と共にリィン達に近づいてきた。



「ご無沙汰しております。シュミット博士。そしてお初にお目にかかります、リアンヌ卿。」

「フン、TMPの小娘か。」

「ええ。これで”七日戦役”で戦死した貴族連合軍の”総参謀”を除けば”鉄血の子供達(アイアンブリード)”全員と(まみ)えたことになりますから、”子供達”の中で(まみ)えたのは貴女で最後になりますね、”氷の乙女(アイスメイデン)”殿。特別列車の引き渡しと現地までの同道、感謝致します。」

「もったいないお言葉。」

「そ、それよりも分校長、機体を運ばないというのは……」

「必要がないからです。――――今回の演習に私と博士は同行しませんから。」

ミハイル少佐の問いかけに対してリアンヌ分校長は驚愕の答えを口にした。

「………!?」

「ええっ!?そ、そうだったんですか!?」

「て、てっきり来られると思って計画書をまとめたんですけど……」

「ま、待ってください……それでは約束が違うでしょう!?現地での戦力計算は貴女の存在も見込んでいて――――」

リアンヌ分校長の答えにクレア少佐とセレーネは驚き、トワは戸惑いの表情でリアンヌ分校長を見つめ、ミハイル少佐が声を上げて反論をしかけたその時

「だからこそ、です。獅子は子を千尋の谷へという諺もあります。私が同行しては真の意味での成長も望めません。既に情報局にもメンフィル帝国政府を通して伝えてはいますが?」

「フン、地方での演習など私の研究に何の意味がある?各種運用と記録は弟子候補に任せた。微力を尽くしてくるがいい。」

「クク、なかなかガキ共の事をわかっているじゃねぇか。さすがは現代の”鉄騎隊”を育てた女の言う事だけはあるなぁ?」

「ったく、洒落になっていねぇぞ………ハア、あの正真正銘ドチートクラスの強さの”鋼の聖女”が味方だから、戦力面で言えば大分楽ができると思っていたんだがな……」

(くっ………)

(……そろそろ定刻です。後の対応は分隊に任せて出発するしかないかと。)

リアンヌ分校長の言葉にランドロスが感心している中、ランディは疲れた表情で肩を落とし、リアンヌ分校長とシュミット博士の正論に反論できないミハイル少佐が唇を噛みしめているとクレア少佐がミハイル少佐に助言をし

(……了解だ。ええい、なんと厄介な……!)

クレア少佐の助言に頷いたミハイル少佐は疲れた表情で呟いた。



午後8:55――――



そして出発の定刻が近づくと、集合した生徒達はリィン達教官陣とクレア少佐が見守っている中リアンヌ分校長と、見送りの為に現れたアルフィンとエリゼの激励の言葉を聞いていた。

「―――入学より3週間、いまだ浮き足立つ方もいるでしょう。ですが、先日の機甲兵教練も経て貴方達の扉は更に開かれました。そして古来より旅を人を成長させるともいいます。貴方達が一回り大きくなって還ることを期待しています――――以上です。」

「イエス・マム!!」

「皆さんが全員無事に帰って来る事を心より祈っております。皆さんに女神達の加護を……」

「―――いってらっしゃいませ。どうか、御武運を。」

「はいっ!!」

リアンヌ分校長とアルフィン、そしてエリゼの激励の言葉に生徒達は力強く答えた後次々と列車に乗り始め、リィン達教官陣も生徒達に続くように列車へと向かい始めた。

「ハーシェル教官、マーシルン教官、オルランド教官、ランドロス教官。雛鳥たちのことはよろしくお願いします。」

「……はい!お任せください!」

「うふふ、最低でも”特別カリキュラム”始まって早々”戦死者”を出すような無様な結果を持ち帰ったりはしないわよ♪」

「ま、大船に乗ったつもりでいな!」

「まあ、色々ありそうだが微力は尽くさせてもらうぜ。」

列車に乗る直前で呼び止めたリアンヌ分校長の言葉にトワ達はそれぞれ力強い答えを口にし

「そしてシュバルツァー教官とアルフヘイム教官。貴方達も既に気づいていると思いますが、エレボニアの”流れ”は北方戦役の終結を切っ掛けに変わりました。巨いなる力を持つ者達として流れを見極めてきなさい。己と向き合い―――時に周囲に頼りながら。」

「分校長………」

「…………」

リアンヌ分校長の言葉にリィンとセレーネは呆けていたが

「ええ―――承知しました!」

「はい!」

我に返るとすぐに力強く頷いた。

「兄様……どうか、お気をつけて。セレーネも無理せず、私達の代わりに兄様が無理をしないようにしっかり見ていてね。」

「はい、お任せください……!」

「ハハ………――――ベルフェゴール、リザイラ。俺達がいない間の二人の事は任せたぞ。」

エリゼの言葉とエリゼの言葉にセレーネが力強く頷いている様子を苦笑していたリィンはエリゼとアルフィンの背後を見つめて答え

「ふふふ、言われるまでもありませんよ。それが今の私達の”為すべき事”なのですからね。」

「うふふ、その代わり帰って来たらたっぷり可愛がってもらうわよ♪」

リィンの言葉を聞いて二人の背後の空間から姿を現したリザイラは微笑みながら答え、ベルフェゴールはウインクをし、ベルフェゴールの答えにリィン達は冷や汗をかいた。

「あの、リィンさん………本当にベルフェゴールさんとリザイラさんも連れて行かなくてよかったのですか……?演習は”何が起こるかわからない”との事なのですから、それを考えると生徒の方達の為にもお二人も連れて行くべきだと思うのですが……」

「心配しなくても大丈夫だ。いざとなったらメサイアやアイドスがいるし、俺達教官陣もついている。だから、安心してくれ。」

心配そうな表情で問いかけたアルフィンの言葉に対して優し気な微笑みを浮かべて答えたリィンはアルフィンの頭を優しくなでた。



「ぁ…………」

「……………」

「うふふ、久しぶりに出たわね、リィンお兄さんお得意の”無自覚笑顔での頭なでなで”が♪」

「さすがご主人様♪釣った魚にもちゃんと餌をあげ続けるというマメな事をしているからこそ、ハーレムの維持をできる上、更に増やす事ができるのよ♪」

「というか結婚をしていても未だに無自覚は治ってないんだね、リィン君……」

「だぁっはっはっはっはっ!さすがはあのヴァイスハイトに娘を”自分の女”にする事を認められた男だ!」

「ふふふ、相変わらず私達の期待を裏切りませんね。」

「ア、アハハ………」

「こっの、兄貴族が……ッ!これから”戦場”になるかもしれない場所に向かう俺達に見せつけやがって……!これだからリア充は……ッ!」

「フフ………」

リィンに頭を撫でられたアルフィンが呆けている中エリゼはジト目で二人を見つめ、レンとベルフェゴールはからかいの表情で、トワは疲れた表情で、ランドロスは豪快に笑い、リザイラは静かな笑みを浮かべてそれぞれ答えてリィンを見つめ、セレーネは苦笑し、ランディは悔しそうな表情でリィンを睨み、リィン達の様子をリアンヌ分校長は微笑ましそうに見守り

「―――はい!旦那様達の無事を信じて、旦那様達の帰りをお待ちしておりますわ!―――――ちゅ♪」

「ムッ………―――いってらっしゃいませ、兄様。――――ん……」

我に返ったアルフィンは誰もが見惚れるような笑顔を浮かべてリィンを見つめた後リィンの唇に軽い口づけをし、アルフィンの口づけを見たエリゼは頬を膨らませた後アルフィンのようにリィンに軽い口づけをし、アルフィンとエリゼの行動を見たランディやトワは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「は、はわわわっ!?え、えっと………1年半前よりも更に仲良くなったんだね、リィン君達……」

「畜生―――――ッ!ロイドといい、リィンといい、リア充局長やギュランドロスのオッサンといい、何で俺の周りの野郎に限ってリア充野郎が多いんだよっ!?頼むから、お前達のそのリア充力(パワー)を俺にも分けやがれ!」

「ア、アハハ………(未来のキーアさんの話だとランディさんの未来の伴侶の方はミレイユ大佐との事ですから、あの様子だとまだミレイユ大佐とはお付き合いをされていないようですわね…………というか、ワジさんも一部の層の女性達にとても人気のある方の上課長はソーニャ准将と夫婦だったとの事ですから、よく考えてみたらランディさんの仰る通り特務支援課の男性の方達はランディさんを除けば全員女性と縁がある方達ばかりでしたわね……)

我に返ったトワは頬を赤らめて慌て、ランディは悔しそうな表情で声を上げてリィンを睨み、その様子をセレーネは苦笑しながら見守っていた。

「機甲兵の運用と整備については一通り教えた通りだ。小破程度の通常整備なら何とか一人でやり切るがいい。Z・C・F(ツァイス中央工房)の誇りに賭けてな。」

同じ頃シュミット博士はティータに出発直前の指示を出した後激励の言葉をかけ

「はい………!お任せくださいっ!」

博士の言葉にティータは力強く頷いた。その後リィン達は列車に乗り込み、機甲兵やヴァリマール、そしてパテル=マテルを収納したデアフリンガー号は演習地に向けて出発した。



「フン………物は言いようだな、聖女?生徒、教官合わせて27名―――何人無事に戻ってくることやら。」

デアフリンガー号を見送っていたシュミット博士はリアンヌ分校長に視線を向けて指摘し

「フフ………―――激動の時代に”終焉”を告げる時は迫っています。彼我(ひが)も、(くに)も、老若男女の違いもなく……乗り越えられないのであればどのみち”明日”はないでしょう。」

シュミット博士の指摘に対して静かな笑みを浮かべたリアンヌ分校長は静かな口調で答えた後その場から去っていった―――――




 
 

 
後書き
え~……今回の話でおわかりかと思いますがまさかのクレアが仮面の紳士の正体が本気でわかりませんwwまあ、エルミナの例を考えたらクレアは予想している人もいたかもしれませんが(笑)それと今回エリゼとアルフィンはお留守番ですが、2章から参戦予定となっています。ちなみに二人の護衛を担当しているベルフェゴールとリザイラはアルフィンとエリゼと仮契約状態です。……え?どうやって契約したかって?それは勿論それぞれのキャラ同士とリィンを交えてエウシュリーシリーズ恒例の性魔術で……ゲフンゲフン! 
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