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小猫救出作戦

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第二章

「お兄ちゃん、大変!」
「大変って?」
「ほら、あそこ!」
 川のある部分を指差して言うのでした。
「あそこに猫ちゃんが」
「あt!」
 俊一も妹が指差した方を見てびっくりしました、何と川を流れている木の板の上のところにです。
 一匹の白い子猫がいました、子猫が木の板の上でがたがたと震えています。その子猫を見てです。
 俊一は美也子にです、すぐに言いました。
「助けよう!」
「ええ、けれど」
「どうして助けるのか」
「それが問題よ」
 美也子は必死なお顔のままお兄さんに答えました。
「本当に」
「そうだね、川のど真ん中に流れていて」
「あそこまで行くとなると」
 それで、というのです。
「大変だよ」
「そうよね」
「何とかしないと」
 それこそというのです。
「駄目だよ、けれど」
「けれどよね」
「どうしようかな」
「ううん、あれこれ言っている間にも」 
 川を観れば子猫はどんどん流れていっています、早く何とかしないと取り返しのつかないことになります。
「子猫ちゃんが」
「けれど」
「ねえ」
 ここで、でした。美也子は俊一に言いました。
「私に考えがあるんだけれど」
「考え?」
「そう、棒で木の板を引き寄せて」
 子猫の乗っているそれをというのです。
「そうしてね」
「子猫を岸辺まで引き寄せてだね」
「助けよう」
 こうお兄さんに言うのでした。
「そうしよう」
「ううん、けれど」
 俊一は美也子のその言葉に考える顔で言いました。
「それはね」
「駄目?」
「棒もないし」
 それにというのです。
「それに引き寄せる途中で失敗して」
「木の板をひっくり返して」
「そしてね」
 そうしてというのです。
「子猫ちゃんも川の中にだから」
「そうなるから」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「それは無理だよ」
「じゃあどすればいいの?」
「どうしようか」
 妹の提案を駄目としてもです。
「けれど」
「何とかしないと」
「うん、猫ちゃんが大変なことになるよ」
「そうよね」
「このままだとね」  
 俊一は美也子に応えました。
「そうなるよ、けれどどうしたら」
「何とかしたいけれど」
「このままだと板がひっくり返りでもしたら」
 その場合どうなるかとです、俊一は本気で心配して言いました。
「もう猫ちゃんが川の中に落ちて」
「溺れるわよね」
「泳げなかったら、あっ」
 ここで俊一は気付きました、あることに。
 そしてです、美也子にこう言いました。 
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