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小猫救出作戦

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第一章

            子猫救出作戦 
 この時真中俊一と美也子の兄妹は普通に道を歩いていました。
 普通にです、俊一は美也子にこう言っていました。
「最近あまり楽しいことないよね」
「そう?」
「うん、お天気も悪いしカードでも負けてばかりで」
 それでというのです。
「あまりね」
「そうなのね」
「せめてカードで勝てたら」
「カードが悪いの?」
「いや、いいカードどんどん集めてるよ」
 それはしているとです、俊一は美也子に強い声で言いました。
「そうしているよ、けれど」
「それでもなの」
「勝てないんだよ」
 妹に困ったお顔で言うのでした。
「本当に」
「相手が悪いの」
「そうなんだよ、最近いつもね」
「じゃあ簡単じゃない」
 美也子はお兄さんの言葉を聞いて言いました。
「お兄ちゃんが強くなることよ」
「それしかないんだ」
「勝ちたいのよね」
「そう、勝てばね」
 そうなればとです、俊一も答えます。小学六年生として五年生の妹に強い声で言うのでした。
「嬉しいから」
「負け続けているから気分が晴れないのね」
「しかもこんなお空で」
 上を見上げると曇りです、暗い雲がお空を覆っています。
「曇りばかりで、しかも川だって」
「ゴミ多いよね、この川」
 二人で右手の川を見ます、水量は決して多くはなくて浅い川ですが堤防が左右にあるその川は決して奇麗とは言えません。
「前から」
「何でこんなにゴミが多いのかな」
「やっぱり皆が捨てるからじゃないの?」
「だからなんだ」
「そう、こんなにゴミが多いのよ」
「嫌になるね」
「皆でお掃除したら」
 子供心にです、美也子はゴミが一杯あって汚くなっている川を見てそのうえで言ったのでした。
「奇麗になるね」
「そうだね、ただ」
「お兄ちゃんお掃除嫌いよね」
「面倒臭いからね」 
 だからというのです。
「嫌いだよ」
「そうよね、けれどね」
「お掃除はしないとだね」
「お父さんもお母さんもお兄ちゃんも言ってるじゃない」
 家族皆がというのです。
「だからね」
「面倒臭くても」
「お掃除はしないと」
 こうお兄さんに言うのでした。
「本当にね、ただ」
「ただ?」
「お兄ちゃんやる時はやるから」
 そうした子だというのです。
「大丈夫よ」
「お掃除出来るんだ」
「勉強だって出来るし」
 成績はいいのです、むしろ美也子よりずっと点はいいです。
「それならね」
「お掃除だって」
「そう、出来るから」
「そうだといいけれど」
「だからお掃除もね」
「まずはやってみる?」
「そうよ、お掃除したら奇麗になるから」
「じゃあこの川も」
「お掃除してね」
 こうお兄さんに言う美也子でした、二人でそうしたことをお話していましたがここで、でした。
 ふとです、美也子は川を観ていてびっくりしたお顔にになりました。そうして俊一に言うのでした。 
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