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ガンダム00 SS

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ep15 叶わぬ恋路でも着地したい

 
前書き
久々の1st回です。三国家群合同軍事演習の直前、CBの休暇中を描いています。 

 
リヒテンダール・ツエーリーーリヒティはしょぼくれていた。世界に喧嘩を売ったソレスタルビーイングの数少ない休暇に、遊ぶ相手が誰もいない。
「ラッセさんには即答で断られたし、スメラギさんはいつも通りお酒オンリーだし……」
組織のエージェントである王留美が手配した別荘のプールで、リヒティは身体を浮かせて空を見つめる。
ラグランジュ1とアザディスタンの作戦後、メンバーのほとんどは地上に降りて休みを取っていた。テロリストが処罰もされずに呑気な生活ができるのは、どこか背徳感を覚える行いだった。
そのとき、別荘の出入り口から声が聞こえてきた。クリスティナ・シエラだ。
「よし、準備万端!今のうちにやれることはやらないと!」
その隣にいるフェルト・グレイスはコクリと頷き、両手に持っていたハロを地面に置いた。
「行ってくるね、ハロ」
「キヲツケテネ、キヲツケテネ」
そういえば、先ほどのミーティング終わりにクリスがフェルトを買い物に誘っていた。あれはその行く寸前だろうか。
リヒティはプールから出て、ビーチサンダルを履くのも忘れて玄関の方へと走った。
「クリス!フェルト!」
リヒティの呼びかけにクリスが振り返る。
「どうしたの?リヒティ」
「今からどこか行くんだろ?」
「うん、フェルトと買い物」
「それ俺も行っていいかな?」
「え、リヒティも?」
クリスが首を傾げ、眉をひそめる。予想通りの反応だった。何しろ今までは2人でどこかに遊びに行っていたのだ。急にそんな申し出をすれば変に思われて当然だろう。
リヒティは無意識に身振り手振りをしながら説明をする。
「いや、俺も服見たいなーって。それに2人だけじゃ何かあったとき怖くない?男1人いるだけマシっていうか」
「そのときはガンダムが助けてくれるよ」
「ガンダムはナンパに介入しないから」
「うーん。行くのは良いけど、いきなりどうしたの?なんか不自然」
クリスが気になっているのは同行する理由らしい。
ーー行くのは良いんだ。これはあともう少し押せば……。
リヒティはこの会話に勝機を感じ、脳みそをフル回転させる。それから組み上げた言葉を滑らかに発した。
「2人ともどこのショップに行くか分からないけど、車必要だろ?俺、免許持ってるし。荷物多いなら手持ちじゃキツいよ」
「それは言えてるかも。ね、フェルト。リヒティも連れてってあげる?」
リヒティは今まで話を聞いていたフェルトをじっと見た。全ては彼女の答えにかかっている。リヒティは強い視線を彼女に向けた。
フェルトが何を感じ取ったのかは分からないが、彼女は目を伏せて小さな声で呟いた。
「うん、一緒に行こう」
「えっ、本当に?やった!」
リヒティは次いでクリスを見る。彼女はニッと笑ってリヒティを指差した。
「3分以内に準備してここに集合!車は王留美にお願いするから」
「このままじゃダメ?」
リヒティは自身の腹部を叩いて示す。全身を覆うレトロ水着だ。
クリスは半目になり、呆れた調子で手を振った。
「面白いこと言ってないで早く用意してよ。あと2分30秒ね」
「ちょ、ちょっと!」
リヒティは慌てて別荘の自室に向けて駆け出す。身体を張って手に入れたチャンスを無下にするほどバカなことはないのだ。
ゴールは見えそうにないが、いつかはきっとーー。まるで戦争を感じさせない妄想を蓄えて、リヒティは残りの2分に全力を尽くした。


 
 

 
後書き
ご覧いただきありがとうございます。今回は久々のトレミークルーにして個人的に推しているクリス(ついでにリヒティ)のショートストーリーを書きました。自分以外にクリスファンがいると信じていますが、やはり00ファンの皆さんは戦術予報士のナイスバディがお好みなんでしょうか……(笑) 
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