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星河の覇皇

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第六十五部第三章 連合の元首その三

「戦争も起こらない」
「いがみ合いがあろうとも」
「何故戦争が起こるのか」
 こうしたこともだ、キロモトは言った。
「それは生きる為だ」
「土地と資源の奪い合いですね」
「戦争は命を賭ける」 
 このことは言うまでもない、古来より戦争はまさに命と命のやり取り、それはまさに殺し合いだ。戦争は究極的に言えば大掛かりな殺し合いだ。
 しかしだ、その殺し合いが起こる理由はというと。
「そうしなければならないからだ」
「人が、国家が生きる為に」
「殺し合いをしてでもだ」
「資源と土地を手に入れる必要がありましたね」
「だから戦争が起こってきた」
 古来からそうだったというのだ。
「サハラはあってもだがな」
「あそこは宗教的な理由ですね」
「確かに土地と資源の奪い合いもあったが」
 サハラの中でもだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あの国は一つになる」
「その必要があってこそでしたね」
「戦争を続けている」
「今も尚」
「統一国家を作る為の戦争もある」
 これは古来の中国の動乱期から統一に至る流れも同じだ、ここに天命という言葉が付与されることも常だった。
「しかし連合の様な国家だとだ」
「統一されていてそれでいて分権である国は」
「また違う」
 そうだというのだ。
「土地と資源があればな」
「もうそれで、ですね」
「戦争はそうは起こらない」
「後は中央政府の舵取りですね」
「それがしっかりしていればいい」
 連合は安定する、それがキロモトの基本的な考えだ。だから連合の様に非常に豊かな土地や資源があることを喜んでいるのだ。
「この国は恵まれている」
「土地と資源に」
「それだけで奪い合いにならない」
「満腹になるだけのものがあるからこそ」
「人は満腹になれば争わない」
 そして家に財産が満ちていればだ。
「生きなければならないから戦争になるのだからな」
「生きていられると」
「戦争にはならない」
 また言うのだった。
「人の欲望には限りがないというが」
「殺し合いまでして満たす欲望は」
「そこまで強い欲望の持ち主は滅多にいない」
 人も国家もというのだ。
「そうはな」
「それが現実ですね」
「野心的な人間、国家はいる」
 キロモトは今度はそうした人間について語った。
「そうした人間はだ、連合ではな」
「選挙に出て、ですね」
「私の座に就くか」
「それぞれの目指す場所にですね」
「就くことを目指せばいいしな」
 選挙なり何なりだ、戦争以外の方法を通じてだ。
「それでだ」
「そうなりますね」
「国家もだ」
 今度は連合内の国家について話した。
「中央政府がいる」
「その下の各国政府になりますと」
「色々な国があるがだ」
「各国同士でのせめぎ合いも盛んではありますが」
 戦争はない、だがそれでもなのだ。
「その各国間の盟主になろうとすれば」
「これまたな」
「何かとまとまりませんし」
「三百以上の国がいて各国が合従連衡し続けている」
 そうした状況だからだというのだ。 
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