星河の覇皇
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第六十五部第三章 連合の元首その一
連合の元首
アッディーンは地球にいた、その中においてだった。
中央議会での演説の後中央政府大統領即ち連合の国家元首であるキロモトとの会談を行った、その時に様々な経済援助や留学生の派遣を認めてもらった。それはオムダーマンにとっては非常に大きなものだった。
だがキロモトは会談の後でだ、大統領官邸において首相のアッチャラーンにこう言った。
「カードは切ったが」
「こちらとしてはですね」
「大したカードではなかったよ」
「トランプで言うと二ですね」
「二のワンペアだね」
その程度だというのだ。
「大した技術を援助していないし」
「留学生の派遣も」
「幾ら認めても」
「こちらとしましては」
「何ともないよ」
「だから各国もですね」
連合を構成する各国である、ここでアッチャラーンが言うのは。
「あちらの要求を特に断らず」
「受け入れていたのだよ」
「経済援助にしても」
「こちらとしては」
「全く以て」
「大した額ではなかった」
そうなのだ、連合中央政府にしても。
「そんなものでいいのかと」
「そうでしたね」
アッチャラーンもこう返した。
「こちらとしては」
「快諾していいものだった」
「そして実際にですね」
「快諾した」
「特に気前がいい訳でもないですが」
「こちらとしては」
「しかしあちらにしては」
アッディーン、そしてオムダーマンにしてはなのだ。
「破格でしたね」
「こちらからのあらゆる援助や承諾が」
「サハラの未来を切り開くものですね」
「ロートルの技術は無償で教えられる」
まさに何でもないというのだ。
「あらゆる技術を」
「しかしそのロートルの技術が」
「我々にとってはそうでもだよ」
「サハラにとっては違うので」
「喉から手が出る程欲しい」
「そしてその技術を無償で供与した」
「随分気前がいいと思っているのだろうな」
キロモトは自分の席でやや首を傾げさせつつこうも言った。
「やはり」
「間違いなく、恩を売ったことになりますか」
「恩か」
「何でもないものを渡して」
「それで恩になるのならよしだな」
「これ以上はないまでの」
そこまでだというのだ。
「そうなりますか」
「恩程高いものはない」
キロモトはビジネスのうえでこの時代でもよく言われることも言った、無償のものは実は相当に高いというのもよく言われている。
「それを売れたな」
「こちらは」
「では何かあればな」
「この恩を返してもらいますか」
「そうするとしよう」
「少なくともサハラが統一され発展し」
「その後だ、問題は」
キロモトがここで言うことはというと。
「エウロパに向かってくれればな」
「その分こちらが楽になるので」
「敵国に他国をぶつける」
サハラが敵でなくともだ。
「それは非常にいいやり方だ」
「夷を以て夷を制する」
「毒には毒だな」
「サハラは我々にとって毒ではないですが」
「それでもだ」
「サハラにはエウロパに向かってもらいましょう」
連合の敵であるこの敵にというのだ。
「その為にも発展してもらいましょう」
「是非な」
「その分エウロパの目がサハラに向かい力もそちらに向けられます」
特に軍事にだ、軍事費というものは歳出だけで収益のない分野なので力を消耗させられるという見方からの考えだ。
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