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ドリトル先生と春の花達

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第七幕その二

 先生は皆と一緒にお鍋を楽しんで、でした。そのうえで。
 その次の日も学校に行きました、ですがこの日はです。
 雪が降っていました、それで動物の皆も研究室に入ってから言うのでした。
「まだ雪?」
「四月なのに?」
「四月に雪なんて」
「日本で四月に雪は」
「ちょっとないんじゃ」
「うん、ないね」
 実際にというのでした。
「三月でも珍しいよ」
「何ていうかね」
「それだけ寒いってことだよね」 
 オシツオサレツは日本に来てからのことを思い出しつつ言いました。
「今の日本が」
「神戸にしてもね」
「本当にこれだけ寒いとね」
「桜咲くか不安だよね」 
 チープサイドの家族も言います。
「だからね」
「どうなるかしら」
「和歌会の場所は温室も使うからいいにしても」
 トートーは温室なら咲くというのです。
「学園の他の場所の桜は大丈夫?」
「日本の童話には花咲か爺さんがあるから」
 ガブガブは童話をお話に出しました。
「咲くんじゃないの?」
「あれは昔のお話よ」
 ダブダブはすぐにそのガブガブに注意しました。
「だから今は花咲か爺さんはいないわよ」
「桜が咲くのが遅れたら」
 チーチーは腕を組んで言いました。
「日本の人達は残念がるからね」
「そこが問題なのよね」
 ポリネシアも言います。
「日本の人達にとっては」
「桜をいつもの時に観たい」 
 ホワイティもこのことはよくわかっています。
「ありきたりだけれど切実な願いだよね」
「うん、日本の人達にとってはね」 
 ジップはホワイティに応えました。
「春には欠かせない願いだね」
「さもないと春じゃないってね」 
 最後に老馬が言いました。
「そこまでのものだね」
「そうなんだよね、ここまで寒いと」
 先生はお茶を飲みながら窓の外の雪を見て思うのでした。
「本当にね」
「桜が心配だよね」
「お鍋が美味しいにしても」
「まだ冬の感じでね」
「どうにも」
「うん、ただ春雪は」
 この言葉はといいますと。
「奇麗な言葉だよね」
「うん、そうだよね」
「その言葉自体はいい言葉だよね」
「奇麗でね」
「かなりいい言葉だね」
「そうだね、確かに春の雪は困るけれど」
 それでもというのです。
「奇麗な言葉だね」
「日本語独特のね」
「奇麗な響きの言葉だね」
「結構以上にいいよね」
「流石日本語っていうか」
「見事だね」
「日本語の奇麗さ、美しさはね」
 まさにというのです。
「漢字と平仮名が合わさっていてそれ自体がね」
「それ自体?」
「それ自体っていうと?」
「どうだっていうの?」
「詩、和歌だね」
 これになるというのです。 
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