| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ヘタリア大帝国

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

209部分:TURN20 エルミーの来日その十


TURN20 エルミーの来日その十

 そのうえでだ。潜水艦の中を見回しながらまた言うのだった。
「戦艦、空母、そして潜水艦だな」
「その三つの艦種をですね」
「軸に考えていきたい。巡洋艦もだ」 
 この艦についてもだ。東郷は秋山に己の考えを述べた。
「空母のことを考えてだ」
「防空巡洋艦ですか」
「それも開発できればいいか」
「無論開発中だ」
 平賀はその東郷にすぐに答えてきた。
「安心してくれ」
「そうか。あとはバリア艦に鉄鋼弾装備の駆逐艦だな」
「通常の駆逐艦ではないのか」
「それもいいが鉄鋼弾装備の駆逐艦の方がいいと思う」
 東郷の戦術ではだ。そうなるのだった。
「索敵は駆逐艦に任せてだ」
「見つけた敵艦隊は空母や戦艦で先に打撃を与えるのだな」
「それで残った敵を駆逐艦の鉄鋼弾で止めを刺す」
 東郷はこう平賀に話す。
「その戦術を考えている」
「わかった。では設計、開発はそういったところを重点に置こう」
「頼む。本当に何時までも魚には頼れない」
「魚は強いが癖が強い」
 平賀は久重の口からこうも語った。
「扱いづらさは確かにあるな」
「それは気にならないが?」
「それは君の用兵が優れているからだ」
 東郷の資質はこうしたことにこそ発揮されるものだった。
「戦術も。艦隊編成もだ」
「ははは、俺が優れているからか」
「かといっても過信してもらっては困るがな」
「安心してくれ。それはないつもりだ」
 自信家だが慢心はしない。それが東郷だ。
「俺としても日本帝国軍の戦力のこともわかってるからな」
「そして君自身の資質もか」
「わかっているつもりだ。だからこそだ」
「魚には何時までも頼ってはいられない、だな」
「第二世代までは何とかなる」
 魚でだ。やっていけるというのだ。だがそこから先はだった。
「しかし。ガメリカやエイリスの正規軍と正面から戦うとなるとな」
「魚では辛いな」
「だからこそだ。兵器の設計、開発を頼む」
 あらためて言う東郷だった。
「宜しくな」
「わかった。では任せてくれ」
「ああ。それでこの潜水艦にしても」
「この見学が終わればすぐに取り掛かる」
 そのだ。設計、開発にだというのだ。
「試作型からだな」
「ではまずはこの潜水艦隊を使おう」
「お任せ下さい」
 エルミーは真面目な声で東郷に応える。
「必ず。戦果は出しますので」
「わかった。それじゃあな」
 こう話してだった。彼等は一旦見学を終えた。それからだった。
 東郷はエルミーをその日本帝国軍の主立った幹部達と共に食事に誘った。とはいっても長門の士官室である。そこに入ったうえでテーブルに着くとだ。
 早速だ。山下が憮然とした顔でこう言うのだった。
「陸軍の様に質素にはいかないのか」
「だから国民の普通の食事なんだがな」
「軍人たるもの質素であるべしだ」
 ここでもこう言うのだった。東郷を睨み据えながら。
「それで何故だ。ステーキだの何だのと」
「あの、山下長官」
 秋山もだ。少し唖然として山下に問い返した。
「今時ステーキが贅沢でしょうか」
「陸軍ではそうだ」
「ステーキは焼き魚と同じ値段ですが、秋刀魚等と」
 宇宙の時代だ。今時牛肉は普通だ。だが陸軍はだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧