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ヘタリア大帝国

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208部分:TURN20 エルミーの来日その九


TURN20 エルミーの来日その九

「ではこの後で」
「お願いしますね」
「そうさせてもらいます」
「さて、ではだ」
 平賀がまた言う。久重の口から。
「早速試作型潜水艦の設計、開発もはじめよう」
「問題は誰が艦隊の指揮を執るかですね」
 秋山はこのことについて考える。
「誰がいいでしょうか」
「〆羅だな」
 東郷はまず彼女の名前を出した。
「あの娘は向いているな」
「ではまずは」
「そうだ。それにだ」
「それに?」
「もう一人欲しいな」
 東郷は艦内を見回しながら秋山に話す。
「潜水艦隊の司令官はな」
「その一人は誰にしますか」
「少し考える」
 今すぐにだ。結論は出さないというのだ。
「待っていてくれるか」
「わかりました。では」
「さて、新しい戦力が加わった」
 東郷はこのことに対して素直に喜んでいた。
「後はだな」
「平良提督の復帰も近いです」
「そして憂国獅子団からだが」
 平良と同じくだった。
「台湾駐留部隊から一人抜擢したいな」
「誰をですか?」
 日本が東郷にその抜擢する人物について尋ねた。
「台湾さんのところといいますと陸軍でしょうか」
「いや、海軍からだ」
「というと提督ですか」
「そうだ。福原いづみ少佐だ」
 日本帝国海軍で才媛と言われているうちの一人だ。人間的にも生真面目なことで知られている。
「あの娘を抜擢したい」
「そうですね。福原少佐なら」
「祖国さんもいいな」
「賛成です。ただ平良少将は」
「どうもな。韓国に行ったことは正解だったが」
 だがそれでもだとだ。東郷は難しい顔で述べる。
「予想以上にな」
「御考えが変わられたというのですね」
「国粋主義から妙に融和路線になったな」
「憂国志士団自体がそうなりましたね」
「台湾、韓国のことを知りな」
 そうしてだ。彼等は変わったというのだ。
「平良は少し韓国贔屓に過ぎる」
「いいことではないか」
 山下は東郷に対してだ。韓国贔屓はいいと述べた。
「少なくとも差別よりは遥かにいい」
「それはそうだが過ぎるとな」
「バランスが悪くなるというのか?」
「陸軍も韓国には優しいな」
「我々は公平なだけだ」
 陸軍は公平であることを誇りとしている。確かにそれは海軍以上である。
「誰であろうが優秀ならばだ」
「用いるんだな」
「貴様等海軍とは違うのだ」
 山下はここでも真面目に、生真面目なまでに言い切る。
「我が陸軍は差別なくだ。優秀な者は用いるのだ」
「それはいいが。日本と台湾、韓国のバランスを考えていかないとな」
 国家同士のだ。それをだというのだ。
「あまり台湾、韓国を贔屓するとそれはそれで祖国さんの立場が微妙なものになるからな」「私は別に気にしませんが」
「連合国家だとそれが問題になる」
 差別はよくないが贔屓も同じだけよくないというのだ。
「まあそこも考えていくか」
「左様ですか」
「解決案は必ずあるからな」
 東郷はこの微妙な問題にも悲観していなかった。最悪の事態は想定していたが楽観ではあった。何ごとも前向きに考えるのが彼の長所と言える。
 
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