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黒髪

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第二章

「本当に」
「私達の前にそうした人はいましたか?」
「いたんじゃないのか?先生はこの学校に入って三年だけれどな」
「皆黒髪だったんですか」
「だからそうした話は知らないけれどな」
 この先生はというのだ。
「けれど学年主任の先生はこの学校で十五年働いておられるからな」
「こうしたこともですか」
「ご存知だと思うぞ」
「じゃあ聞いてみますね」
「ああ、そうしろ」
 こう話してそしてだった。
 ひかりは今度は学年主任の先生に髪の毛の校則について聞いた、すると学年主任の先生はこう答えた。
「そうした子は昔いたけれどな」
「地毛が茶髪だったりハーフの人が」
「先生もその時の校長先生や教頭先生もな」
 学校の責任者達はというのだ。
「いいってなっていたな」
「そうですか」
「だって仕方ないだろ」 
 これが学年主任の先生の言葉だった。
「地毛だとな」
「それならですか」
「無理に染めさせたりしてもな」
「地毛だからですか」
「仕方ないだろ」
 こう言うのだった。
「それこそ」
「無理に染めさせる学校もありますよね」
「そんなことはここはしない」
 このことはひかりにはっきりと言った学年主任だった。
「うちの中学校はな」
「地毛ならですか」
「黒髪にこだわらないぞ」
「けれどですよ」
 学年主任のその言葉を聞いてだ、ひかりは校則の話をした。
「校則では黒髪出ないと駄目だって書いてますよ」
「それか」
「はい、でしたら」
「だったら校則変えるか」
「黒髪だけにはしないんですか」
「ああ、そうしよう」
 こう言うのだった。
「それじゃあな」
「そうしてくれますか」
「さもないとおかしくなるからな」
「地毛が黒髪じゃない子が困るからですね」
「そうなるからな」 
 こうひかりに答えて実際にだった、学年主任の先生は実際に職員会議で校則のこのことを話してだった。
 それで校則が変わった、校則は黒髪限定から地毛のままでいる様にとなった。その校則の話を聞いてだった。
 ひかりは微笑んでだ、こう言った。
「これはよかったわね」
「そうね、やっぱりね」
「地毛が黒髪じゃなかったらね」
 その時はとクラスで友人に話した。
「困るからね」
「そう、だからね」
「変わってよかったわ」
「そうよね、若しもよ」
 ここでこう言った友人だった。
「校則が茶髪限定だったら」
「黒髪じゃなくて」
「ひかりちゃんも私も困っていたわ」
 見ればこの友人も黒髪だ、ショートヘアにしているがひかりのそれにも負けない位にツヤのある奇麗な髪の毛だ。
「絶対に」
「そうよね、本当に」
「逆にね」
「一つの色限定だとね」
 ひかりも友人の言葉に頷いていた、自然に。
「困るわよね」
「その色じゃないとってなったら」
「地毛でその校則だったら」
 それこそというのだ。
「大変だったわね」
「黒髪限定が逆に金髪限定とかになったらって思ったら」
「困ってたわ、アメリカとかでそんな校則ある学校あるかしら」
 白人つまり髪の毛の色が黒とは限らない国ではというのだ、無論黒髪の白人もいるが黒髪とは限らない。
「どうかしら」
「ないでしょ」
「やっぱりそうよね」
「そんな校則アメリカであったら」
 それこそとだ、友人はひかりに話した。 
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