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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  Misscreate/正義の味方



今までのあらすじ

風が吹いた
彼らが来た

一号から始まり、RXまでの14人のライダーが


セルトマンは知らない。
たとえかかわりがあろうとも、あくまで彼らはその中ではゲストだった。

メインである彼らを知らない。


その彼らの戦いが、始まった。



------------------------------------------------------------



「か、仮面ライダーだとぉ・・・・・なぜだ、この世界の仮面ライダーは全部で」

「お前はアーカイヴを見ていただけで、仮面ライダーを知っていたわけじゃないってことだ」

「なに!?」

そこで、彼は思い出す。
そうだ。確か最初の章で結合しなかった世界が二つあった。

「奴」の欠片が倒されてしまったか、若しくはその時間もなく決着がついたか。

一つはクウガ。
「奴」の欠片がクウガによって消滅され、当初は結合しなかった。


そして、もう一つ。
蒔風が訪れながらも、結合しなかった世界。

その彼らならば、即座に彼の味方についてもおかしくはない――――!!!


「仮面ライダー・・・・・そうか、貴様らがいわゆる・・・・」




「開翼!!!」

セルトマンの納得とともに、蒔風の翼が開かれる。
同時に、十四人のライダーの希望が収束され、蒔風の身体が回復していった。



「大丈夫か」

「はい・・・皆さんのおかげで、何とかです!!!」

「よし―――ならば、行くぞ!!」

『オォッッ!!!』

一号の掛け声とともに、ライダーたちが構えて走り出す。

同時、セルトマンが広げた腕から魔力が垂れ落ち、地面に浸透する。
そして描かれる魔法陣が、紅に光って発動する。


「あれは!?」

「敵を召喚するつもりです――――おそらく、皆さんの知る何者かを!!!」

新たなる世界の結合。
今からそれを解析し、封印するには時間がない。

ならば、新たな手駒をそこから召喚して対抗するしかないのだ。


そして、現れたのは――――


「「「「「「ギィィイイイイいい!!」」」」」」

「ショッカーライダー!!!」

総人数六人、マフラーと手袋の色の異なる六体のショッカーライダーが、それぞれライダーを相手に交戦を始めた。





「トォ!!」

「ギィッッ!!」

掛け声とともに、V3とショッカーライダーNo.3が飛び上がる。
同時、足元によって来ていたライダーマン、スーパー1へと、体内に内蔵していた小型爆雷をばらまいていった。


「ネットアーム!!」

「チェーンジ、冷熱ハンド!!」

ばらまかれる雷撃。
だが、それらが散らばるよりも早くライダーマンのネットアームがすべてを回収し、空中にあるうちにスーパー1の超高温火炎が焼き払い、爆破させる。


その爆風に押され、V3のダブルタイフーンが回転し、全身にエネルギーが充填され

「V3スクリューキィック!!!」

「ガギッ!!?」

爆風に身を任せて身を翻し、回転を加えたキックを浴びせるV3。
そして落下してきたショッカーライダーを迎えるのは、

「ロープアーム!!」

ライダーマンのロープアーム先端のフックがひっかけられ、振り回されたショッカーライダーは再び空中へ。
そうして放り出されたのちに、スーパー1のキックが炸裂するのだ。


「スーパーライダァー!月面―キィック!!!」

「ゴビャ!!」

その一撃に、ついにはショッカーライダーが砕け散り、スーパー1が着地するころには体内に残っていた爆雷とともに、粉みじんに吹き飛んでいた。

「同じNo.3だとしても、貴様では俺たちには勝てん!!」






ショッカーライダーNo.5
放電を可能とするこのライダーの相手をするのは

「スカァイキィック!!」

「ギィッ!!」

スカイライダーのスカイキックを、しかし腕の動きで流して反撃するショッカーライダー。
足先に内蔵されたナイフがスカイライダーの肩口をかすめ、その鋭さを主張していた。

「まだだ!!大回転――――!!!」

空を飛ぶスカイライダーが距離をとり、身体を回転させて勢いを乗せていく。
が、その隙を見逃すショッカーライダーではない。

全身から迸る雷撃をもって、空を往くライダーを撃ち落さんとチャージを始める。


迫るスカイライダー。
どの方向から来ようとも、全方位にまきちらされる殺意の雷から逃れる術はない――――

だが、それは

「ギッ!?」

自分以上の電撃使いがいない場合に限る。

流れる放電。
全方位に向かうはずだった閃光は、ある一点―――それも地上の一人に向かっていく。


「へっ、この程度かよ。まあ、お古いままのショッカーライダーじゃこの程度がお似合いか」

「ギィィイイイ!?」

「電撃ってのは、こうやってぶち込むんだぜ?食らいな。エレクトロファイヤー!!」

電気改造人間・仮面ライダーストロンガーに奪われた電気エネルギーが、火柱となって地面を走る。
そしてショッカーライダーの足元から全身へと駆け巡り、それを得意とするはずであるそいつの回路を完全に焼き切った。


そのタイミングで、その体を完全に破壊するキックが空から落ちて

「大 回 転――――スカイキィック!!!」

ドッッ!!!

「ギゥエッッ!!!」

胸元に命中し、その体をバラバラに吹き飛ばす。
スカイライダーが地上に降りるころには、その破片すら消滅してしまっていた。

「ま、こんなもんか」







ショッカーライダーNo.6が相手にする仮面ライダーは

「ッケー!!」

「――――!!!」

野獣の雄叫び。
アマゾンとシンの爪や牙を相手に、ショッカーライダーは為す術もなく解体されていく。

指先からのロケット弾も、足先のナイフも当たらない。
獣の感性と俊敏性をもつこの二人のライダーに、そんな攻撃が当たるはずもない。


翻弄され、周囲の二体を追い、そしてついにショッカーライダーの腕が、シンの腕を掴みとり

「ギィァッ!!?」

その腕が千切れた。
無論、ショッカーライダーのが、である。

シンの腕から生えている突起に触れたショッカーライダーの腕は、その破壊微振動によって触れただけで粉砕されてしまったのだ。

さらに、その背後に迫るもう一匹の獣が


「ガァアアアウ!!!」

「ギ」

「大、切、断!!!」

「ギャゥッ!!」


ショッカーライダーの右肩に振り下ろされた大切断が、股から抜けて首を残して右半身を切り落とす。

そのまま倒れるショッカーライダー。
だが、口のクラッシャーが開いてそこから溶解液が吐き出された。

いかに改造人間とはいえ、これを食らえば患部が解ける。
修復不可能になるほどの傷になる、それを真正面から食らったシンは


ガシリと、ショッカーライダーの頭部を掴んで、握力のみで握りつぶして粉砕した。
見ると、溶解液のかかった胸元はすでに再生しており、一切の負傷は消えていた。


仮面ライダーシン。
変身後は一切を語れぬ彼だが、その再生力はライダー随一。

全身の87%が無事ならば、0.1秒以内に肉体を再生する脅威の生命力をもつライダーだ。

「―――――」

「オレ達、ニセモノ負けない!!」





「行くぞ、J!!」

「ああ!!」

「ギぃ――――ア!!」

ドゥン!!と、大地を揺るがす振動。
両拳を振り上げ、地面に叩き付けたショッカーライダーNo.4による地割れが、ZOとJの二人に向かって走っていく。

それをジャンプで回避し、ZOのライダーパンチが放たれる。
そのパンチに合わせてショッカーライダーの拳が真正面からぶつかり、二人の身体が弾かれた。

両手両足を地につけ、滑りながら着地するZO。
対し、ゴガッと地面を一度跳ねながらも、両足で立つショッカーライダー。


「ハァ!!」

「ギィッ!!」


そこに飛び掛かっていくJ。
両手で肩に掴みかかり、そこから一気にショッカーライダーの身体を持ち上げて投げ放つ。

宙にいれば、地割れも何もありはしない。
飛んできたショッカーライダーを、ZOのライダーパンチが上空へとさらに打ち上げる。


そして落下してきたところに、息を合わせた二人のライダーキックが炸裂する。


「「ライダー、キック!!」」

「グゥエ!!!」

ガッ!!と叩き込まれる二撃。
ただ力強さのみが残るその攻撃を食らい、体の各部から火柱を上げながらショッカーライダーは爆散する。

「大地を割る程度で、俺たちを倒すことはできない!!」








紫色の、煙に覆われている。
いかにも毒々しい色をしたそれは、違うことなく毒霧だ。

生命を奪い、肉体を腐食させる強力な毒霧。
全身からそれを吹きだすショッカーライダーNo.2が、自らの敵であるライダーを探していた。

マスクの複眼部がキラリと光り、額のOシグナルがチカチカと点滅する。いかに仮面ライダーとはいえ、この霧の中で長くはいられないはず。
ならば、仕掛けるなら一瞬。その瞬間が、敵の最後だ。


紫の視界の中を進むショッカーライダー。
だが進めども進めども、敵の姿が発見できない。

いや、そもそも・・・・・自分はこんなにも広範囲に毒霧を散布しただろうか?

本来ならとっくにそのエリアを出ているはず。
だというのに、視界が晴れることはない。

マズイ

そう感じた時には、もうすでに遅かった。


「十字手裏剣!!」

ギュルルルルルルル!!と、回転音を発しながら飛来してきたZXの十字手裏剣が、ショッカーライダーの左腕を切り落としてどこかへと飛んでいく。
さらに二度、三度と襲いくる十字手裏剣。

それを回避し、飛んで行った先へとライダーキックを放つショッカーライダー。
その先に、敵を見た。


ZXだ。
そのベルトが光り輝き、この空間にホログラフィーを投影し――――

「よくやった、村雨」

ZXの名を呼び、ショッカーライダーのキックを受け止めるロッド。
その担い手―――Xライダーが前に出て、握りしめるロッド・ライドルを回転させて一気に霧を晴らしていった。


「ライドルバリア!!」

その回転によって発するエネルギーと風圧で、一気に晴れていく紫煙。
ZXもまたホログラフィーを切り、完全にこの場から煙が消えた。


「行くのはまずいと思ってな。そちらから来てもらうことにした」

「うまくいったな、神さん」

「ああ。行くぞ、ZX!!」

「任せろ!!」

ガシィッッ!!


ライドルバリアに弾かれたショッカーライダー。
その身体を宙でキャッチし、後ろから抱きかかえて頭部から落としていく。


「真空――――」

そして、そこから地面を蹴って再び落下。

「地獄車ァ!!!」

そうして幾度も跳ねては叩き付けを繰り返し、最後に放り投げてから

「ZX――――キック!!!」

そのショッカーライダーを、ZXキックが貫いて爆散させる。
バラバラに砕けるその姿を眺めながら、ZXは叫ぶ。

「俺はお前たちとは違う。二度と負けん」








そして、最後に残ったのは

「トゥア!!」

飛び掛かっていくRX。
そのまま相手の身体を地面に倒し、さらに投げて転がす。

彼は知っているのだ。
そうして敵が起き上った地点。そこと自分との距離が、もっとも戦いに適していると。

仮面ライダーBlack RX
歴代すべての仮面ライダーの歴史上、最も長く、悪の組織とメインで戦い続けてきた男の経験値は違う。


「ギィイ!!」

ショッカーライダーNo.1の指先が動く。
向けられたその十指の先から、ロケット砲が打ち出さされRXへと向かっていく。

爆発する地面。
その爆風にあおられながら、RXは別の姿へと変化した。

「RX、バイオライダー!!」


怒りの王子・バイオライダーへと変身したRXは、即座にその身をジェル化させてロケット砲を無効化、一気に敵との距離を詰めていく。
それを狙うショッカーライダーだが、命中してもロケット砲はRXの身体を通過していくだけ。

攻撃に意味はない。
そう悟ったのか、ショッカーライダーは自らバイオライダーへと駆けて行った。


「バイオブレード、スパークカッター!!」

幾度かの体当たりを経て、ショッカーライダーの前に実体化するバイオライダー。
そして手にしたバイオブレードで逆袈裟に切り裂いていく。

これで終わりだと、振るわれた剣。
だがショッカーライダーはあえてその剣に向かっていった。


抱きしめるように剣を身体に押し付け、最初の接触だけでそれ以上の振り抜きを許さない。


「なに!?」

「ギ!!」

ガショ!とショッカーライダーのクラッシャーが開く。

噛みつきか!?と勘繰るバイオライダーだが、それ以上にショッカーライダーの攻撃は彼に対して効果が出ていた。



「グァああ!?」

炎だ。
その口内から噴出されたのは、鉄をも溶かす火焔であった。

ほぼすべての攻撃に強いバイオライダーだが、熱や光には弱いという弱点がある。
ジェル化で逃げることも可能だが、決まったと思えた攻撃を押さえつけられて隙ができてしまったのだろう。


肉を切らせて骨を断つ。


だが、RXにはまだ別の姿がある。

「RX、ロボライダー!!」

再びRXの身体が輝く。
メカニカルなボディへと変貌したRXは、今までの苦しみようが嘘だったかのように易々とショッカーライダーの拘束を弾き飛ばし、わずかな距離が開いた瞬間に専用武器を取り出してその銃口を向けた。

「ボルティックシューター!!」

「ギィャウ!!!!」

バシュウバシュウと放たれる光弾は、容赦なくショッカーライダーの装甲に命中して火花を散らす。

悲しみの王子・ロボライダー。
炎は俺のエネルギーだと豪語するその言葉に、一切の偽りはなかった、ということだ。


「ハッ!!」

「グゥエ!!」

ロボティックシューターの銃撃で距離を放したところで、RXの姿が元に戻る。
そしてベルトの前に手をかざし、そこから出現した杖を掴みとりエネルギーにて輝かせる。


「リボルケイン!!!」

もはや杖というよりは剣の形状だが、これが光の杖・リボルケイン。
そして、これを取り出した以上、もはや敵に勝利は訪れない―――――


「トゥア!!」

「ギ――――!!!」

「リボル、クラァッシュ!!」

一気に跳躍。
その一跳びでショッカーライダーの懐まで到達し、腹部へとリボルケインを突き刺す。

深々と押し込まれたその先端が。ショッカーライダーの背中から飛び出し輝きを全身へと送り出し――――


「フンっ!!」

引き抜く。
そして全身から火花を吹きだすショッカーライダーを背に、堂々とリボルケインを振り上げるRX。

自らの名である「RX」の字に振り切ると、それが合図のようにショッカーライダーが地面に倒れ、爆散して果てる。

「俺は太陽の子!!生ける者すべてを守る!!」








「おおおおおおおおおお!!!」

走り、突っ込んでいく蒔風。
殴りかかる拳をセルトマンがひょいと回避し、蒔風がそのまま走りぬける。

だがそれを追うよりも早く、二号のライダーパンチが放たれてきたためにその迎撃に当たらざるを得なくなる。


セルトマンの蹴りとライダーパンチが正面衝突して、円状に大気が震えていった。
その足を二号が掴み取り、セルトマンが踏ん張るよりも早く背を向けて投げていき

「ライダー返し!!」

足を掴んでの投げつけ。
グワンと持ち上げられたセルトマンの身体は、顔面から地面に押し付けられるように叩き落とされていく。

だが、そんな攻撃を食らいながらもセルトマンの突き刺すような足が、二号の上腕を掠めてスーツに切れ込みを入れていく。

「くっ、本郷!!」

「大丈夫だ!!」

退がる二号が、向かう一号へと声をかける。

その一号がセルトマンのもとへと到達するころには、ブレイクダンスのように回って起き上がるセルトマン。
ブォッ!!と殴りかかる一号に対し、それを紙一重で回避して靴底を胸板に押し付けるセルトマン。

押し出すように蹴りこみ、一号を押しやってから手のひらを向けて魔弾を放つ。
が、一号の目の前に蒔風が滑るように入り込み、手刀の振り上げでその魔弾を真っ二つに切り裂いて後方へと飛ばしていった。


その隙に、セルトマンの背後から殴りかかる二号。
一号にしたように対応するセルトマン。だが、彼はやはり知らなかったのだ。

姿かたちがいくら一号と似ていても、やはり彼は別のライダーなのだ。
一号に通用したからと言って、この「力の二号」に対して、同じように紙一重で回避したところで


「ぐむっ!!?」

風圧で押し切られるだけだ。


そして、トトンとたたらを踏んで下がったセルトマンの身体を、一号が掴み取り頭上へと持ち上げ。

「うぉ!?お、おい!!」


「行くぞ一文字、蒔風君!!!」

「おお本郷!!」

「オッケーです!!」


「ラ イ ダ ァ―――――」


「ハッ!!」

「トゥ!!」


「きりもみシューーーーート!!!」


振り回されるセルトマン。
一号の頭上で振り回されるセルトマンによって、一号の頭上には小さな竜巻のような旋風が出来上がっていた。

そして、その回転のまま投げ飛ばされる。
竜巻の中で上下もわからぬセルトマンの目の前に飛び込んできたのは、回転の段階で跳び上がっていた蒔風と二号の握りしめられた拳であった。


「打滅星――――」

「ライダァー・・・・」

「グッ、くそっ!!!」


「「ダブル、パァンチ!!!」」


ゴシャッッ!!という音と、ゴォンという音がして、セルトマンの両腕と顔面を潰したダブルパンチが放たれる。

その一撃でセルトマンの身体は大きく吹き飛び蒔風たちから離れていった。
だが、セルトマンは内心これでよかったと思っていた。


落下すれば痛いだろうが、このまま回復すればまた仕切りなおせるからだ。
あのまま接近戦を続けられたら、大丈夫だろうが何もできなくなってしまう。

だが

落下できるなどと思っていた時点で、セルトマンの考えは甘かったと言わざるを得ない。



「本郷さん!!」

「頼むぞ!!」

ダブルパンチを放った蒔風が、翼を開いて飛翔している。
その両手には、一号と二号がそれぞれつかまっていて


「行きますよぉおおおおおおお!!――――ダァッ!!」

「「オォッッ!!」」

蒔風が翼を広げ、そこにライダーが足をつける。

翼の面は、地面に対して垂直。
つまり、セルトマンに向かって真正面に向かっており


そこから跳躍するということは、こちらに一直線に向かってくるということだった。



「「ライダァァアアアア!!!」」

「ハッッ!!!」

足場になった蒔風が、加速開翼で即座に飛来して二人に並ぶ。


そして、三者そろっての一撃を


「「「トリプルキィック!!!」」」


ゴバゥッッ!!!

セルトマンの全身に衝撃が走る。
叩き込まれた異常なほどの衝撃とエネルギーが全身を駆け巡り、その激痛と苦痛に悶えようとした。


だが、彼の身体を吹き飛ばす勢いはその体の自由を認めず、妙な角度にひん曲がった身体のままで、「EARTH」ビル方向へと吹き飛んで行った。








爆発したかのように煙を上げる「EARTH」ビル。
その地点は、なんの偶然か蒔風の執務室――――ようは局長室だ。


スタッと着地した三人。
そこに、ショッカーライダーを撃破したほかのライダーと、回復したのかアリスも駆けつけて並ぶ。

「EARTH」ビルの麓、というほど近いわけではなく、かといって離れているともいえない距離。

セルトマンがぶち込まれたのは、「EARTH」ビル三階の局長室。
そこを見上げるでもなく、少し首を傾ければ眺めることのできる距離。

「EARTH」ビル前、というのがあっているような、そんな位置で彼らはセルトマンの吹き飛ばされた跡を見上げていた。


数秒して、たいして待つこともなくその地点が爆発した。


ビルの穴からセルトマンが出てきて、そのまま歩いて落下して着地する。
バサバサと、蒔風の部屋にあったものであろう書類が宙に舞って落ちてきた。


「あぁ、すまんね・・・・久々にキレちまってよ。爆発させてもらった」

「イラついて魔力放出してたんじゃこの先持たないぜ?」

「魔力に底はねーよ」

青筋を立てるセルトマンが、十六人を眺めて睨みつける。
そして手のひらを地面に向けて振ると、そこに新たに七つの魔法陣が


「なるほど、わかった。お前らの相手は少々分が悪いみたいだ」

「じゃあ、どうする?」

「時間稼ぎ」

そして、召喚が完了する。

七体の怪人。
だが再生怪人とはいえ、侮ることはできない。

おそらく、あれにはセルトマンの魔力が耐えられるだけ詰められているのだろう。



「――――――」

「どうする蒔風君。あいつには我々の攻撃が効かないのか?」

一号の言葉に、コクリと無言で頷く。
そうだ。結局、それがわからなければセルトマンは倒せない。

あれだけの攻撃を叩き込んでも、セルトマン本人は依然として無事なのだから。

「改造人間!!結構だ。秘密結社の犠牲者たちの魂、見事だ!!だが、貴様らが人間である以上、俺の命に手を伸ばすことはできないんだよ!!」


ギリッと歯を食いしばる。
セルトマン曰く「たとえお前らの中で最新式のRXですら、俺の命は奪えない」


一体何が彼の強さの源なのか。

何か見落としている。
何かないのか。

蒔風が悩んでいると、目の前にひらひらと書類の一枚が落ちてくる。
邪魔だとそれを払い、足元に落とす。

だが気になってしまい、チラリと目を向けた。


そこには―――――



「――――――――まさか」

「どうした?」

「なんですか?ってこれ、古い書類ですね~」

「・・・・ひと月ほど前のだな」

「うち、報告書とかたくさん来るんで一か月前の書類なんて古いんですよ」

「なるほど」

「・・・・・・・・みなさん、とアリス」

「なんだ?」


「怪人の相手をお願いしてもいいですか」


「構わんが・・・君は?」

「確かめたいことがあります」

「・・・・わかった。周りの奴らは任せておけ。われわれが相手をしよう」

「お願いします」


「作戦会議は終わったかい?じゃあ――――イケヤァ!!」



召喚された怪人が、一斉にライダーたちへと駆けだしていく。

たかが七体だが、セルトマンは無限に召喚してくるはずだ。
それこそ、数が尽きるまで。今度は、魔力をパンパンにして。


「セルトマン――――お前の化けの皮、はがさせてもらうぞ」

駆けながら、蒔風が呟く。
セルトマンには聞こえぬように。


この道は、きっと正解に向かっている。







------------------------------------------------------------



「ぐ・・・む・・・・・」

意識を取り戻す。
真っ暗だな、と思っていると、目を閉じているからだと思い至った。


ゆっくりと瞼を開くと、そこは真っ白な空間だった。


死んだのか、自分は。
自慢じゃないが、自分なら英霊の座に来るかもしれない(反英霊としてだが)。

ここはそこか?嫌に身体がはっきりしてる。

と、倒れながら自分の手を目の前に盛ってくると、はっきりと見えるそれに驚く。
ここまでしっかりと実体化するものか?


と、俯せのまま首を回して周囲を見ると、倒れている人間が見えた。


ググッ、と身体に力を込めて立ち上がり、近づいていくとそこにいたのは



「スーーーーー」

寝息を立てている、綺堂唯子だった。
さらに見回すと、少し離れて翼刀もいた。


「・・・・英霊の座にしちゃ、ちょっと違うか」

直感だが、なんとなくそうだと思う。
ここは座ではない。

とはいっても、死後の世界だとかそんなところとも思えない。

正直言って、ショウは死後の世界を信じていない。

信じているのはライフストリームとあの「死後の学園」だ。
ここはそのどちらとも違う。

白だけの世界。
一面の真っ白。

何も書かれていないメモ帳のように真っ白だ。
何のラインも図形も色もない。

だがおかしなことに影はあるようで、それがないと自分が浮いているのか立っているのかもわからないほどだった。



足元の翼刀を見る。
しゃがんでゆすり、起こそうとしたがなかなか起きない。

ダメージのせいかと少し待つことにするが


「―――――ショウさんマジ賞賛もの・・・プフッ」

なんの夢を見ているのか、そんな寝言を呟いて笑っていた。


「・・・フッ!!」

パァンッッ!!

「ッタァッッ!?なんだなんだ!?」

「よう」

「あ、ショウさん・・・ぷっ」

パァンッッ!!

「あぶしッ!?」

「痛いか?」

「いたいれふ」

「そうか。じゃあ夢じゃないみたいだな」


それだけ言って、周囲を見回しながらショウが離れる。
翼刀が頬をさすりながら唯子を起こしに行くのをみて、とりあえず大丈夫そうだと一息つく。

直後、再びパァン!!という音がして唯子が起きた。
振り返ると、翼刀のさする頬が、片方のみから両頬になっていた。


「・・・・ぐずっ」

「あ、あんたねぇ・・・寝起きにあんな近づいた顔があったらああするでしょ!?」

ハァ、と溜息をついて頭を振り、ショウが再び歩を進める。


「ショウさん、ここどこですか?」

「さあ?」

カクン、と首を傾けて放心気味にぼやくショウ。
本当に何もわからないようだ。





「オレ達はセルトマンの一撃を防ごうとした。そうだよな?」

「そっすね。俺が槍薙巳で飛ばそうとして」

「俺は食おうとしたんだが」

「私は後ろに隠れてました!!」

「あ?」

「う、嘘だよぅ・・・舜さんのガードしてたんだよ」

「ふむ・・・・・お」


顎に手を合って考えるショウ。
そうしながら歩を進めていると、何かが先に見えてきた。

それをみて、翼刀と唯子が笑う。
このまま何もなかったら、どうしようかと思っていたところだ。

その二人に、ショウは語り掛ける。


「なあお前ら。あれ、なんだと思う?」


そう言って、それらを指差す。
唯子と翼刀にはまだ見えていないが、ショウの目にははっきり見えていた。

あれは本棚だ。
ここからだと一点(目を凝らせば六列の何か)にしか見えないが、あれは並んだ本棚だ。

なんでこんな広大な空間に、たったあれだけ(とはいえ、なかなかの量だ)の本棚なのかは不思議だが。




そして、ショウが言ったのはその内容だ。


並んでいるのは本だけではない。

それはディスクの入った箱であったり、本とはいっても漫画だったり小説だったりとそのメディアの種類は様々。
本棚のいくつかには、テレビまで備え付けられている。


そこに並ぶタイトル。
ショウはそれに見覚えも聞き覚えもあった。


当然だ。




かつて彼は―――彼らは
それらの世界をめぐっていたのだから。


「ショウさん・・・ここ・・・・」

「ああ。ここは―――――」



ショウの話を聞き、答えが出る。
そう、ここは



「ここはアーカイヴだ」






to be continued
 
 

 
後書き

ライダー大活躍!!
そして蒔風が発見したのは!?


一方、消えていたショウたちはアーカイヴにいた!!
イメージはまんまWの「星の本棚」

フィリップ
「さあ、検索を始めよう」

六列とはいえ、あくまでショウたちから見てですので、奥行きにまだいくつかあります。


それにしても翼刀の受難
唯子もなんか勝手にかわいくなってた

ショウが完全に保護者。



ショッカーライダーは適当に召喚されてたみたいですが、ここから召喚されてきた再生怪人は、その個体が耐えられるぎりぎりまで魔力強化を施されたやつらですからね。
無尽に魔力を扱えるセルトマンだからできる、ぜいたくな召喚です。


もちろん、ライダーに勝てるものではないですが・・・・
時間稼ぎにはもってこい!!もしその間に彼らのアーカイヴを解析されたら彼らも封印されるわけですし。


RXもチートですけど、シンもかなりチートですよね。
全身武器に加えて、あの再生力だし。

ちなみにシンさん、変身すると声でなくなっちゃうんですけど・・・きっと頑張ってあれくらいは出せるようにしたのでしょう

蒔風
「そもそも声帯なくなくなるから頑張るとか無茶なんだけどな・・・・」

ほら・・・・シンさんの再生力ハンパないから。

蒔風
「マジすげぇ」




別案では、ショウたちのほうを先に、ライダー登場を後に、という考えでした。
アーカイヴ探索をしているショウたちの前に、新たな本棚がうっすらとあらわれていき――――みたいな。


まあこっちにしちゃったわけですが。



さて、次回からはアーカイヴ編。
はたして、ここで出来ること、できないことは何なのか!!

ショウ
「次回。アーカイブに仕掛けられたモノ」

ではまた次回

 
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