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突き指

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第三章

「うん、気持ちはわかるけれどね」
「はい、我慢ですね」
「あと数日はね」
「それで完治してからですか」
「部活は頑張ってね、さもないとね」
「また怪我をしてですね」
「繰り返しになるからね」
 つまりまた怪我をするからだというのだ。
「注意してね」
「わかりました」
 やはり憮然として答えた敦子だった、そしてだった、
 敦子はそのまま数日我慢した、部活のそうした練習には参加しないまま。そうして完治してからだった。
 ボールを受けた、そうして部の仲間達に話した。
「この感触がいいのよ」
「やっとよね」
「ボール受けられたわね」
「待ちに待ったって感じね」
「本当に」
「それにしても敦子ちゃんよく我慢したわね」
「うずうずしてたけれど」
「だってね、一回やったから」
 こう答えた敦子だった。
「一回突き指して治ってすぐにね」
「またボール受けて」
「それでなの」
「そう、突き指繰り返したから」
 それでというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「こうしたことは慎重なの」
「それで無理はしなかったの」
「そうしたら我慢する時間が余計に長くなるから」
 それでというのだ。
「我慢してたの」
「同じ間違いは繰り返さない」
「そういうことね」
「だからじっとしていた」
「そうなのね」
「そう、もうあんな思いはしたくないから」
 だからと答える敦子だった。
「待ちに待ったわ、そして待っただけに」
「楽しむのね」
「こうした練習も」
「そうして遅れを取り戻すのね」
「そうするわ」
 こう言って実際にだった、敦子は部活を楽しみそうしつつこれまでの遅れを取り戻そうと頑張った。我慢して辛い思いをしたその分だけ。


突き指   完


               2017・10・25 
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