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とある3年4組の卑怯者

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39 追行(ストーキング)

 
前書き
 テレビの旅番組を観て広島に興味を持ち、書店で広島に関する本を見つけたリリィ。購入するために家から金を持って再び現れるが、目的の本を上級生の女子たちに立ち読みされる。笹山や店主の協力もあり、手に入れるが、その上級生に待ち伏せされ、笹山はリリィが買った雑誌の入った紙袋を上級生に差し出してしまった・・・!! 

 
 笹山はリリィの手を取り、急に走り出した。リリィは笹山が自分が折角手に入れた雑誌を差し出た事に文句を言う。
「笹山さん、酷いわよ、折角買ったのに・・・」
「いいから、リリィさんの家はどこ?」
「えっと・・・」
 リリィは笹山に自分の家の順路を教えた。その時、後ろから目当ての本を貰ったはずの女子がなぜか追いかけてきた。やや遠回りしながら、何とか巻いてリリィの家にたどり着いた。
「はあ、はあ、笹山さん、酷いわ・・・。折角買ったのに・・・、どうして裏切るようなことするの・・・・?!」
 リリィは怒っていた。
「はあ、はあ、大丈夫よ・・・。はい・・・、中を見て・・・」
「・・・え?」
 笹山はリリィに紙袋を差し出した。リリィが空けると中には渡したはずのリリィが買った本『広島まちめぐり』だった。
「え?じゃあ、さっき渡したのは・・・?」
「ええ、あの時すり替えたの」
 笹山はリリィの手から紙袋をひったくった時、紙袋を入れ替えて自分が買ったものを犠牲にしたのだった。
「そうだったの・・・、ごめんなさい、疑って・・・、それに笹山さんが買った雑誌を手放す事になって・・・、弁償するわ」
 リリィは自分のために犠牲になった笹山に済まなく思った。
「いいのよ。持っている友達に見せてもらうわ」
「うん・・・、お礼に家に上がって。お詫びにお茶やクッキーご馳走するわ」
「え?いいの?」
「ええ、あの人たちもうろついているかもしれないし・・・」
「そうね・・・」
 こうして笹山はリリィの家で紅茶やクッキー、ケーキを食べる事になった。

 夕方になり、笹山は帰宅する事になった。自分が楽しみにしていた雑誌をクラスメイトのために仕方なく手放す事になってしまうとは、やや悲しかった。
 
 翌日、リリィは学校に着いた途端、後ろから誰かに怒鳴られた。
「おい、そこの外人!!」
 リリィは嫌な気がして振り向いた。昨日の二人組の上級生の女子だった。
「昨日はよくも騙してくれたな!」
「あ、・・・う・・・」
「ふざけんじゃねえぞ、オラ!」
 昨日茉友と呼ばれていた女子がリリィの服の襟を掴む。リリィは何も言えずに凍りつく。

 藤木が校門に入ると、一つの光景を目にした。リリィが上級生に掴みかかられていた。
(リ、リリィがいじめられている・・・?)
 藤木は慌てた。面倒だと思い、そのまま見て見ぬふりして行くのは卑怯でリリィに悪いと思った。だが、自分で追い払えるのか不安だった。
(卑怯なことはしたくない・・・!助けなきゃ!!)
 藤木は決心した。
「や、やめろ!!」
 藤木は叫んだ。リリィと二人組の上級生が藤木の方を向く。
「あ、何だてめえは?」
 昨日理子と名乗っていた上級生が聞いた。
「僕はその子のクラスメイトだ!頼むから放してくれ!」
 藤木が懇願した。
「るせえな、引っ込んでろ!」 
「でも、暴力なんてそんな酷いことを・・・!!」
「あ!?オメエには関係ねーよ、バーカ!!」
 藤木はどうするか迷った。ここでリリィを救うために上級生を殴ったら、反抗と思われる上、相手は女子であるので、逆に自分が悪者になるのではないかと思った。しかし、何もしないで上級生達が止めるはずがない。
「な、なら先生呼ぶぞ!!ここは校庭だから大声で呼べば職員室にも届いて先生たちが駆け付けるぞ!それでもいいのか!!」
「あ、やれるもんならやってみろ!」
 藤木は挑発に乗り、大声で助けを求めた。
「やべ、本気で呼びやがった!!」
「チッ!!」
 上級生たちは乱暴にリリィを放して校舎へかけて行った。
「藤木君、ありがとう・・・」
「あ、いや・・・、でも何があったのかい?」
「実は昨日買いたい本をあの人達に立ち読みされて、で、何とか買えたんだけど、その後よこせって迫ってきて・・・。その時は笹山さんが買った雑誌を身代わりで差し出して逃げたんだけど・・・」
「え・・・?笹山さんが買った雑誌をかい?」
 藤木は驚いた。
「ええ、笹山さんが自分の買った本を犠牲にしてくれたんだけど、申し訳なくて・・・」
「それであの上級生たちがつけ狙っているわけなんだね」
「うん・・・、それに笹山さんの雑誌を弁償したいんだけど・・・」
「何なら僕も半分出すよ!」
「いいの?ありがとう・・・」
 藤木はこの時ばかりは紳士的に振舞った。

 笹山は給食当番で他の当番と共に給食室に行っていた。その時、急に横から腕を掴まれた。昨日の女子二人組だった。
「おい、昨日は卑怯なことをしてくれたな!」
「え、あの、その・・・」
「な、何だよ!?」
 一緒にいたはまじが上級生に向かって吠えた。
「暴力はやめるブー!」
 ブー太郎も止めに入った。笹山の腕を掴んでいた上級性が面倒になると思ったのか笹山の腕を放した。
「覚えてろよ!」
 そう言って上級生たちは離れた。
「笹山、大丈夫か!?」
 はまじが心配して聞いた。
「う、うん・・・」
「でも卑怯なことしてくれたって失礼だね!笹山さんは藤木と違って卑怯なことしないよ!」
 まる子が笹山を庇う発言をしたが、笹山は昨日相手を騙して逃げたことに卑怯かもしれないと感じた。

「え、笹山さんもやられたの?」
 昼休み、リリィは笹山から給食を取りに行く途中で上級生に絡まれたことを聞いた。
「怖いわね・・・」
 藤木は二人の話に耳を傾けていた。
(そうか、あの時は笹山さんもいたんだ・・・。何か可哀想だな・・・)
 次の授業は音楽だった。音楽室に行く途中、リリィが後ろから頭を殴られた。振り返ると、例の上級生二人組だった。
「おい、テメエ!今日あの本持って来い!」
「う・・・、それより笹山さんが渡した雑誌はどうしたの?」
「あ!?んなもん捨てたに決まってんだろ!」
「そんな、酷い!」
「あ!?ひでえのはテメエだろ!!」
 その時、藤木が再びリリィが絡まれているのを目撃した。
(あの上級生たち・・・またリリィをいじめているのか!!)
 藤木は思わず叫ぶ。
「い・・・、いい加減にしろ!!」
「あ!?またオメエか!!引っ込んでろ!!」
(う・・・、こうなったら逃げるしかないな・・・、リリィ、ごめん・・・)
 藤木は走り出したと思ったらリリィの手を掴み、音楽室へ逃げた。
「おい、逃げんじゃねえよ!卑怯だな!!」
「藤木君!?」
「ここは逃げるんだ!!」
 二人は音楽室へ逃げ込んだ。上級生たちは追ってはこなくなった。
「はあ、はあ、もう大丈夫だよ・・・」
「うん、ごめんね、藤木君まで巻き込んで・・・」
「いや、そんなことないさ!」
 藤木はリリィに気を使わせまいと笑って誤魔化した。

 リリィと笹山は共に下校していた。
「笹山さんが買った雑誌捨てられちゃったって。ごめんね。藤木君もお金出してくれるっていってたからやっぱり弁償するわ」
「え・・・?藤木君が・・・。でもやっぱり悪いわ」
 笹山は藤木も気にしてくれていることに恩を感じたが、申し訳ない気もした。
 曲がり角を曲がろうとした途端、上級生たちが待ち伏せしたかのように現れ、立ち塞がった。
「おい、オメエら!」
「う・・・、お願いだから、もういい加減にしてください・・・」
 リリィが怖がりながら懇願した。その時片方の女子が笹山の腕を掴み、笹山が「キャッ!」と悲鳴を挙げた。
「あの本面白かったか?」
「え、ええ・・・」
「なら今すぐ持って来いよ。茉友たちも読みたいからさ」
「読みたきゃ、自分で買えばいいじゃないですか」
「うるせえ!茉友たちは小遣い使っちまったから立ち読みするしかなかったんだよ!」
「じゃあ、入荷するまで待てばいいじゃないですか」
「嫌だね!オメエが持ってんならそれを貰うよ。それなら立ち読みする必要ねえからよ」
「オ、いいじゃん、理子ものんびり読みてえな!おい、今すぐ『広島まちめぐり』を持って来い!向こうの神社で待ってるからよ!それまでこいつは預かるぜ!」
「え・・・、そんな、今日ピアノのお稽古あるから許して・・・!」
 笹山は解放を求めた。
「んなこと知ったこっちゃねえよ!」
 リリィは窮地に立たされた。
「わ、分かったわ。持ってきます・・・」
「あ、そうそう、このこと他の奴に行ったらこいつどうなっても知らねえからな!」
 上級生は脅迫した。リリィは折角手に入れた本を手放さなきゃならいことに苦しい思いで走った。 
 

 
後書き
次回:「人質」
 笹山を人質に上級生に本を持って来いと要求され、諦めて差し出しに約束の公園へと向かうリリィ。その途中、藤木に山根と出会い・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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