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とある3年4組の卑怯者

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36 拒絶

 
前書き
 ところで、実際のアニメでまる子達がリリィと再会したら、リリィは花輪クンには好意的になるとは思いますが、藤木の事はどう思うんでしょうか・・・?この作品では藤木との仲は良好ということになってはいますが・・・。 

 
 みどりは堀と下校していた。
「あの、堀さん。私は今まで学校に友達がいなかったんですが、別の学校には友達がいるんです」
「へえ、そうなの?」
「はい、私のおじいちゃんの友達の孫でまる子さんっていうんです。明日会いに行きませんか?」
「いいわね。会いたいわ」
 みどりは堀が承諾してくれた事で、心の中で喜んだ。
「あとそのまる子さんの学校には私の好きな人がいるんです」
「好きな人?」
「は、はい・・・」
「へえ、吉川さんも恋するのね!」
「あ、はい・・・」
(ついでに藤木さんにも来てもらうようにしよう・・・)
 みどりは藤木に会えると思うと、緊張した。

 夕方、さくら家に電話がかかってきた。まる子の母が電話に出る。
「もしもし、さくらです」
『あ、あの、みどりですけど、まる子さんいますか?』
「ああ、ちょっと待っててね」
 まる子の母は居間にいるまる子を呼ぶ。
「まる子、みどりちゃんから電話よ」
「ええ!?ああ、うん・・・」
 まる子は電話に向かった。
「もしもし、みどりちゃん?」
『あ、まる子さん、みどりですけど、明日まる子さんの家へ遊びにいってもよろしいでしょうか?』
「え、いいけど・・・」
 まる子には断る理由はない。
『ありがとうございます!あの、私学校で初めて友達ができたんです。是非まる子さんにも紹介したいと思いまして・・・』
「へえ、そうなんだ、みどりちゃん、よかったね!」
『はい、それでお願いがあるんですが・・・』
「お願い?」
『はい、ぜひ藤木さんにも来て頂きたいんです・・・。まる子さん、藤木さんをお誘いしていただけますか?』
「ええ!?わ、わかったよ・・・」
『ありがとうございます!では失礼いたします』
 みどりはそう言って電話を切った。
「はあ、自分で誘えばいいのに・・・」
 まる子は溜め息をついた。

 翌日、学校で藤木はまる子に声をかけられた。
「あのさあ、藤木」
「さくらか、何だい?」
「今日みどりちゃんがアンタに会いたいって言ってんだけど、ウチに来てくれない?」
「ええ、みどりちゃんがかい!?」
 藤木は嫌な予感がした。一緒にデパートに行って以来、対面はないのだが、後日彼女から貰った手紙を思い出した。またどこかへ一緒に行かないかと誘われるのではないかと心がざわめいた。
「うーん・・・」
「何か予定あんの?」
「ないけど・・・」
「んじゃ、よろしく~、待ってるよ~」
 まる子はそう言って自分の席に戻った。
(はあ~、みどりちゃんと関わるのなんてもう嫌だよ・・・。もし僕がみどりちゃんとどこかへ一緒に行ったなんてリリィや笹山さんに知られたらどうしよう・・・。僕がみどりちゃんを好きだとでも思うだろうな。せっかく二人に好きだって打ち明けられたのに色んな女の子と軽く遊ぶ最低な男だと思うに違いない・・・。どうすればいいんだろう・・・)
 藤木は思い悩んだ。

 理科の授業で理科室へ移動する途中、藤木はリリィに声をかけられた。
「藤木君」
「あ、リリィ」
「今日私の家に行かない?ママがお気に入りの製造者(メーカー)の新作のケーキを買うって言ってたから藤木君にもご馳走するわ」
「え、僕でいいのかい?」
「ええ、もちろん!」
「あ、ありがとう、是非行かせてもらうよ!」
(よし!別の予定ができたぞ!これでみどりちゃんに会わなくて済むぞ!へへへ・・・)
 藤木はみどりを避ける理由ができて喜んだ。
(藤木君、喜んでる・・・。嬉しい・・・)
 リリィは藤木の喜ぶ顔を見て嬉しがった。実は彼女は既に花輪も誘っていたのだが・・・。リリィは花輪のような爽やかな男子に惹かれているのは事実だった。しかし、藤木に好意を寄せられていることを知っていて、彼の想いを断る気もなかった。リリィは藤木が自分にも優しくしてくれるいい人だと思い、卑怯には見えないのだ。そんな藤木にもリリィは自分の別荘に彼を誘うなどのアプローチをかけていた。以前、城ヶ崎や永沢と散歩に行った時、帰りにまる子から藤木に優しくしてやるように言われたことがある。以前から好意的に接しているつもりではあるが。
「待ってるわね!」
「うん!」
 二人は理科室へ向かった。

 それから暫くして昼休みとなり、藤木はたまえと話しているまる子に話しかけた。
「あの、さくら」
「あれ、藤木、何?」
「ごめん、やっぱり僕行けなくなったよ」
「はあ、何で?!」
「リリィに誘われて、リリィの家に行く用が出来ちゃったんだ。みどりちゃんにはごめんって伝えといてくれよ!それじゃあ!」
「あ、ちょっと、藤木!」
 まる子は止めようとするも、藤木は慌てて教室を出ていった。
「あの卑怯者!!」
「まるちゃん、どうしたの?」
 たまえが聞いた。
「みどりちゃんが今日遊びに来るんだよ。それでみどりちゃん、藤木も誘ってくれってアタシに頼んでさあ、でもアイツ、後からリリィと遊ぶ約束作って断ったんだ!」
「うーん、それはちょっと卑怯だよね」
「ちょっとどころかすごい卑怯だよ!!」
 まる子は激怒していた。

 藤木はまる子に追われまいと校庭に避難していた。そして遠くでリリィが笹山や城ヶ崎達と縄跳びして遊んでいるのが見えた。
(僕が好きなのは、笹山さんとリリィなんだ・・・。好きでもない女子(みどりちゃん)と一緒に遊ぶなんて、御免だからね・・・)
 その時、どこからか永沢が現れた。
「藤木君・・・」
「な、永沢君!?」
「一体どうしたんだい?そんなところでボーっとして」
「何でもないさ!」
「君、もしかしてリリィ達と遊びたいんじゃないのかい?」
「そ、そんなことないさ!」
「そうか・・・」
 永沢はそう言って去った。
(僕にはリリィの家に行くという用事があるんだ。ちゃんとした理由があるから断ったのさ・・・)
 藤木は己を正当化していた。

 その後、藤木はまる子を避けるように行動していた。みどりに会う約束を断ったことで文句を言われたくない為である。下校時も急いで帰った。
「藤木~、アイツ、逃げやがって・・・」
 まる子は藤木への怒りに満ちていた。
「まるちゃん・・・、何なら私が藤木の代わりに行ってあげようか?」
「いいの?ごめんね、たまちゃん・・・」
 まる子はたまえに謝った。
「いいよ、会っておいた方がみどりちゃんも安心するんじゃないかな?」
「さあ、どうだか・・・、みどりちゃんは藤木と会いたがっているからねえ・・・」
 まる子は頭を悩ませていた。

 まる子は家に帰るとみどりにどう言い訳するべきか悩んだ。そしてたまえがやってきた。
「まるちゃん・・・」
「あ、たまちゃん・・・」
「大丈夫だよ、私がいるから」
「うん、ごめんね・・・、とにかく、居間に行こう!」
 まる子とたまえは居間に行った。そしてみどりがやって来た。
「こんにちは」
 まる子は出迎えに行った。みどりがお辞儀をした。そして見知らぬ女子がいた。
「や、やあ、いらっしゃい、みどりちゃん」
「まる子さん、こちらが私の友達です」
「初めまして。堀こずえです。よろしく」
 堀もお辞儀した。
「あ、どうもどうも、上がって・・・ハハハ」
 まる子は作り笑いをした。みどりと堀はまる子によって居間に連れられた。そこにはたまえがいるが、藤木の姿がない。
(あれ・・・?藤木さんは・・・?)
「こんにちは、みどりちゃん!一緒にいるのは誰?」
 たまえが聞いてきた。
「私の初めての学校の友達です。最近転校してきたんです」
「あ、みどりちゃん、堀さん、どうぞ座って!」
 まる子は座るよう促した。みどりと堀、そしてまる子は腰かけた。
「堀こずえです。宜しくね」
「私は穂波たまえ、たまちゃんって呼んでね」
「アタシはさくらももこ、みんなからは『まる子』って呼ばれているんだ!」
「へえ、どうして名前はももこなのに『まる子』なの?」
「それは、丸顔で女の子だから『まる子』になったんだ」
「そうなんだ。『ももこ』もいい名前だけど、『まる子』も可愛いわね!」
「えへへ、ありがとう・・・」
 まる子が堀と会話している中、みどりが口を挟んだ。
「あの、まる子さん、ところで藤木さんはどうしたんですか?」
 まる子は藤木の事を聞かれて気が動転した。
「ご、ごめん・・・、みどりちゃん・・・、藤木は今日来られなくなっちゃったんだ・・・!」
「え・・・、う、う・・・」
 みどりは泣き出してしまった。

  藤木はリリィの家に到着していた。
「こんにちは」
 リリィとその母が出迎えた。
「藤木君、待ってたわ」
 その時、一台の車が停車した。花輪家の執事、ヒデじいの車だった。
「Hey、お邪魔します」
「花輪クン、こんにちは!」
(は、花輪クン!?)
 藤木は驚いた。花輪も誘われていたとは思いもしなかった。
(やっぱりリリィは花輪クンの事が好きなのかな・・・?)
 藤木は項垂れた。花輪が入る。リリィは動かない藤木を心配した。
「藤木君、どうしたの?」
「あ、いや、なんでもないさ・・・!」
 藤木はリリィと二人きりでいたかったという本心を隠して靴を脱いだ。
 藤木と花輪はダイニングでケーキを待っていた。リリィとリリィの母が紅茶と共に運んできた。
「はい、どうぞ」
 藤木にとっては見たことないケーキだった。形は長方形で、生クリームは茶色だった。
「アーモンドケーキよ。生クリームの中にアーモンドが入っているの」
 リリィの母が説明した。
「へえ、いただきます」
 藤木と花輪はケーキをご馳走になった。アーモンド味の苦さが感じたが、その苦さがまた美味しかった。
「アーモンド味も美味しいですね」
 藤木は賞賛した。
「とてもDeliciousです。僕もこんなcake初めて食べました」
 花輪も感想を述べた。
「ありがとう、二人とも気に入ってくれたならとても嬉しいわ」
 リリィの母が感謝して言った。藤木は花輪がいたもののリリィの家に行く事を選んでよかったと思うのであった。 
 

 
後書き
次回:「謝罪」
 リリィと会うことを優先した藤木は、翌日まる子からみどりが悲しんでいたと知らされる。藤木はさすがにみどりに申し訳なく思い・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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