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レーヴァティン

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第二十二話 東の島その五

「本当にな」
「わかった、ではだ」
「では?」
「俺も東の島で何とかしよう」
「ああ、あんたそういえば」
 ここで船乗りは英雄の腰に気付いた、そこにある刀がどういったものかはわからなかったが刀があることはわかった。
「刀持ってるな」
「東の島の刀になるな」
「やっぱりそうか、巨人もだな」
「倒してきたと言ったな」
「それでか」
「東の島でもそうさせてもらう」
「わかったぜ、頑張りなよ。そしてな」
 船乗りは笑ってこうも言った。
「手柄を立ててな」
「そうしてだな」
「大名になりなよ」
「領主にだな」
「ああ、お公家さんや坊さんも領主になってるけれどな」
 しかしというのだ。
「何ていってもな、領主さんっていったらな」
「大名か」
「お侍さんならそれだよ」
 何といってもというのだ。
「あんたの刀見て思ったぜ」
「それならだ」
「ああ、大名を目指しなよ」
「まずはな」
 英雄は船乗りに応えた、そしてだった。
空の船旅をした、その中ではその酒も飲んだがこの時に飲んだ酒は濁った方で彼は飲みつつこう言った。
「濁酒もいいな」
「そうだろ」
 共に飲む船乗りも濁酒を飲みつつ応えた。
「米で造った酒もな」
「いいな、濁酒ははじめて飲んだ」
「へえ、そうなのかい」
「こちらの世界でもな」
「こちらの世界?まさか」
 ここでだ、船乗りも気付いて英雄に問うた。
「あんた他の世界から来たのかい」
「そう言えば言っていなかったな」
「ああ、他の世界から来た人間だったのか」
「そうだ」
「へえ、まさかこの目で会うなんてな」
 意外といった顔でだ、船乗りも応えた。
「思わなかったぜ」
「俺は異邦人だ」
 英雄は自分で言った。
「この世界には本来はいない人間だ」
「やっぱりそうか」
「最初は西の島にいた、一年以上な」
「長いな、それはまた」
「そして色々なことを学んだ」
「学者さんじゃないよな」
「剣士になるな」
「剣士か、ってことはお侍だな」
 そうなるとだ、船乗りは英雄をそれだと話した。
「持ってる刀もよく観たらこっちのだしな」
「日本刀だな」
「それだしな」
 だからだというのだ。
「あんたはお侍か」
「こちらの世界だとそうなる」
「成程な、よくわかったぜ」
 船乗りは英雄のその言葉に納得して頷いた、そのうえで彼にあらためて言った。そしてここで英雄の杯が空いているのに気付いて酒を入れた。
「あんたのことが少しはな」
「そうか」
「少しにしてもな、しかしな」
「それでもか」
「あんた、東の島で何するか決めてないんだな」
「まだ何もな」
 実際にとだ、英雄は船乗りが入れてくれた酒を飲みつつ答えた。 
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