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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第百十五話 第5次イゼルローン攻防戦


あっさりと1話で終わりました。
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第百十五話 第5次イゼルローン攻防戦

帝国暦483年4月1日

■銀河帝国

サイオキシン麻薬密売組織撲滅により多数の貴族士官が退役を余儀なくされた帝国軍は、本来であれば10月に行われる正式な昇進を本日に前倒しした。此は情報により叛乱軍が5月上旬に、実に帝国暦478年以来5年ぶりにイゼルローン要塞を襲撃するとの情報が入ったためである。

今回の迎撃の指揮官は、心臓病という身体上の理由とサイオキシン麻薬密売組織が軍内部に存在した事により責任を取る形で退役した、ヴィルフリート・フォン・ベヒトルスハイム元帥に代わり宇宙艦隊司令長官に親補された、グレゴール・フォン・|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将が練度も良く纏まりも良い1万隻を率いて行く事と成った。

その中には原作で活躍した将帥達が参加してる。殆どがテレーゼ閥の人材であるが。
それぞれが、大佐階級に昇進し代将として300隻の分艦隊をを率いる事に成っている。

ウォルフガング・ミッターマイヤー大佐とフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト大佐はサイオキシン麻薬密売組織撲滅での活躍により中佐へ特進した後、12月にオーディンへ帰還後、中佐の階級ではあるが代将として分艦隊の編成を命じられ訓練を行ってきた。そして本日大佐に昇進したのである。

帰国後ミッターマイヤーは久々の妻と子達との再開に喜び、ビッテンフェルトは黒色槍騎兵《シュワルツ・ランチェンレーター》の結成の話を聞いて浮かれまくったのである。

その後、グリンメルスハウゼン伯爵邸へ密かに呼び出され、テレーゼと会う事になったのである。その際テレーゼ自身から【ウォルフ・デア・シュトルム】の渾名を付けた旗と袖章と艦隊目録を受け取ったミッターマイヤーは、感動し、その日から組織作りを行った。【シュワルツ・ランツェンレイター】の渾名を付けた旗と袖章と艦隊目録を受け取ったビッテンフェルトは、小躍りして喜び、早速艦隊を組織し訓練に入っていたのである。

グリンメルスハウゼン上級大将の高級副官ウルリッヒ・ケスラー准将は臨時にユストゥス・エーベネ中将の秘密研究所でハンス・ノイマイヤー大佐、グリュザンテーメ・グリュツィーニエ造兵大佐達が改装した1万5000隻の旧型艦達の指揮官に任命された。

艦隊参謀長としてはエルネスト・メックリンガー大佐が臨時に任命された。メックリンガー大佐はサイオキシン麻薬密売組織撲滅事件の余波で絵画制作を暫く休んでいたので、任命されたのである。

オスカー・フォン・ロイエンタールは、サイオキシン麻薬密売組織撲滅による士官の全体的な不足による特進という名目で大佐に昇進したあと、イゼルローン要塞艦隊司令部参謀として勤務している。

|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将には今回の迎撃戦が、並行追撃による敵作戦を撃破する事と説明されており、ケスラー准将の部隊がその切り札であると説明されていた。この迎撃戦で武勲を立て自他共に宇宙艦隊司令長官に相応しいと見せるための戦いで有った。

帝国暦483年4月5日皇帝臨御の元、|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将率いる10000隻の艦艇がイゼルローン要塞へ向かった。



帝国暦483年5月6日

■銀河帝国 イゼルローン要塞

この日から同盟軍五度目イゼルローン攻略戦が行われようとしていた。同盟軍は宇宙艦隊司令長官シドニー・シトレ大将指揮下の5万1600隻にも及ぶ艦隊と600万に達する兵員を動員し、イゼルローン回廊を要塞へと向かってきている。帝国軍はスパイ活動により既に同盟軍の動きを読んでいた。

しかし昨年からのサイオキシン麻薬密売組織撲滅により軍内部でも大混乱が生じたために増援艦隊は僅かに一個艦隊1万隻に過ぎなかったが、|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将自ら率いて来た艦隊であり、一騎当千の強者を分艦隊司令官にそろえた艦隊で有る以上、実数以上の働きが期待で来るのである。

更にテレーゼが開所を指示した秘密研究所で改装された旧式艦1万5000隻がイゼルローン要塞へ到着しており、これらの艦隊を駐留艦隊1万3000隻と合わせれば3万8000隻となり充分に同盟艦隊に対抗可能であった。更に|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将には旧式艦を使った特殊作戦が命令されていた。

帝国軍は、イゼルローン要塞に本営を置く、宇宙艦隊司令長官|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将、宇宙艦隊総参謀長グライフス中将、要塞司令官クライスト大将、イゼルローン要塞駐留艦隊司令官ヴァルテンベルク大将達が作戦会議を行いながら駐留艦隊及び増援艦隊を出すタイミングを計っていた。

駐留艦隊は全艦隊1万3000隻がドック内で待機している。また増援艦隊の内出撃しているのは5500隻のみで残りの4500隻もドックで待機していた。何故全艦隊を表に出さないのかは、ケスラー准将率いる1万5000隻の旧式艦艇がイゼルローン前面に待機しているからである。

ケスラー准将の艦隊は旗艦ヴァナヘイム以外は全て無人艦で組織されていた。そして無人艦を楯にするように増援艦隊5000隻と駆逐艦戦隊500隻が遊弋し無人艦の間を縫うように攻撃準備を行っていた。此は、無人艦を有人艦がコントロールするためで、以前鹵獲した同盟軍戦艦の制御ソフトをハンス・ノイマイヤー大佐達が研究した結果、制御システムを開発したのである。

つまり有人艦1隻で3隻の無人艦を制御し、楯として利用するのである。又20回程度の主砲射撃も有人艦からの統括制御で可能であった。駆逐艦戦隊はその間をチョコマカ動き敵に意図を知らさない事が仕事であった。

無人艦を楯にする戦法により人的被害を押さえつつ、シトレが確実にしてくるで有ろう並行追撃戦術を利用して同盟軍に大打撃を与えるの事が、無人艦隊に科せられた使命であった。その中には戦艦イェータランドを旗艦としている、ミッターマイヤー大佐率いる【ウォルフ・デア・シュトルム】が遊弋し、キルヒアイスとラインハルトの乗る新造駆逐艦ナッサーブの姿も見受けられた。

高速戦艦シュワルツティーゲルを旗艦としている【シュワルツ・ランツェンレイター】指令官ビッテンフェルト大佐。シュタイエルマルク少将の分艦隊に所属する戦艦ダルムシュタット艦長ファーレンハイト大佐などは、要塞内で出撃準備を行っていた。


5月6日午前2時50分帝国軍ケスラー指揮下の特殊艦隊は、要塞から3.6光秒、108万キロを隔てた回廊中に布陣した。左右両翼を伸ばして僅かに孤を描いた陣形は、平凡ではあるが、狭いトンネル状の回廊では柔軟性を持たせれば結構応用の利くのである。

午前6時ジャスト、前方に人工の光点が輝きだした、その数5万以上。要塞内では|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将が同盟艦隊の進撃を見ながら作戦の発動を命じた。有人艦5000隻の将兵達は固唾を呑んで作戦の発動を行いはじめる。 

午前6時45分ケスラー艦隊がまず砲門を開き、10万本に及ぶビームを同盟艦隊に対し発砲した。半瞬の間を置いて40万本に達するビームがお返しとばかりに飛来すると、次々に艦艇に命中し爆発が生じる。戦闘は同盟軍が数を頼んで並行前進してくるように見える。

ケスラー准将とメックリンガー大佐が相談し合いながら、順次有人艦を後方へと後退させ始める。
「司令官、敵は段々と並行追撃を行いつつ有ります」
「参謀長、|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》司令長官に連絡を、【我、敵艦隊を吸引しつつあり】と」

イゼルローン要塞の司令室でケスラー准将からの連絡を聞いた|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》司令長官は、待機させている駐留艦隊及び増援艦隊残余に出撃待機を命じた。
「全艦隊、発進準備。トールハンマー第1射後発進、第2射後に敵艦隊を追撃する」

その言葉を放つと、自らの幕僚と駐留艦隊司令官ヴァルテンベルク大将以下のスタッフを連れてドックへと向かっていった。

その頃キルヒアイスとラインハルトの駆逐艦ナッサーブはお姉の憲兵少佐が乗り組む事もなく自由に戦場を走り回っていた。戦闘ではラインハルトが独特のひらめきで指示を出し、それをキルヒアイスが追認すると言う全く上下が反対な状態で戦闘していたが、既に巡航艦一隻を撃沈していた。

その頃原作ならラインハルト暗殺を謀った憲兵少佐殿は宮中警備隊中佐としてベーネミュンデ侯爵邸で夫人とテレーゼから誘われて優雅な朝食をご相伴に預かりながら、世間話をしていたのであるから、オーディンは平和であった。

「シュザンナ様とテレーゼ様、今日もお綺麗ですわ。私も頑張りますわ」
頑張れ。お姉・・・・そう思うテレーゼであったとさ。

午前7時30分ケスラー艦隊は急速後退を開始した。艦隊はその頃、無人艦は既にコントロール不能状態で漂流する艦を合わせて3000隻以上破壊され、有人艦も30隻近くが撃沈され100隻近い艦艇が損傷し後退していた。

「後退するぞ!」
「後退するぞ!」
ニュアンスは違うが、両軍で同じ言葉が発せられた。

ジリジリと戦い続けた帝国軍が、急速後退を行いはじめた途端、同盟軍のシトレ大将が指令をだした。
「全艦、全速前進!敵の尻尾に食らいつけ!」

追撃してくる敵艦隊に対してケスラー准将は手を握りしめながら叫んだ。
「かかった!」

要塞内ではクライスト大将がトールハンマーの発射準備に余念がない。
「トールハンマー発射用意、艦隊が天底方向へ急速転進後発射する」
砲術長が汗をぬぐいながらタイミングを待つ。

同盟艦隊は混乱しているように見える帝国艦隊に肉薄しながらイゼルローン要塞へと近づいてくる。

同盟軍旗艦ヘクトルでは、シトレ大将が副官のヤン少佐に話しかけていた。
「どうかね、ヤン少佐、我が軍は結構良くやっていると思わんか」
「ええ、今のところは・・・・・・」

「では、近い将来はどうだ?」
「私は悲観的です」
「ほう?」

「味方諸共撃つ、と言う決心を要塞司令部がすれば、万事休すです。恐らく彼等は、味方1に対して敵4を破壊する、と言う算術をたてて自己正当化するでしょう」
「君と同様の懸念は私にもある。其処で作戦参謀達に、些か過激な作戦を考案させたのだ。ビームやミサイルでは埒があかないからな」

「無人艦を使う、あれですか」

その様な話がされている間にもトールハンマーの射程内に帝国艦隊と同盟艦隊の混在が続いている。次第に無人艦は要塞からのコントロールに移り、要塞至近の艦艇は順次要塞内の流体金属内へ逃げ込んでいく。指揮艦のケスラー准将が遂に命令を出した。

「全艦急速転進!天底方向へ張り付け!」
その命令と共に無人艦1万隻程を残して有人艦の内未だ要塞へ帰投して居ない3000隻ほどが急速に天底方向へ逃げ散った。

『全艦急速転進!天底方向へ張り付け!』
その通信が要塞司令部へ流れた刹那、クライスト大将は砲術長に発射を指示する。
「トールハンマー発射!」

次の瞬間イゼルローン要塞表面の流体金属を凹面鏡として利用したトールハンマーが白く輝くビームの柱を発生させた。一瞬にして敵味方構わず、数千隻の艦艇が消え去った。驚愕の同盟軍と歓声を上げる帝国軍の差が非常に大きい。そしてトールハンマーは第2射を発射する。その度に艦艇が消え果てていく。更に今まで遠慮していたようにも思える浮遊砲台も次々に攻撃を開始する。

同盟艦隊はトールハンマーや浮遊砲台が敵味方構わず砲撃するのを見て、その破壊力に恐怖を生み、一挙に心理的に敗退の深淵に突き落とされた同盟軍は、指揮官達の制止と叱咤を振り切って、トールハンマーの射程外へ雪崩を打って後退した。それに追い打ちをかけるようにトールハンマーが更なる砲撃を行う。

其処へ、要塞から発進した駐留艦隊1万3000隻、増援艦隊4500隻が急速に追い打ちをかける。トールハンマーで撃ち減らされ大混乱の同盟艦隊は後方からの攻撃を迎撃も出来ずにひたすら逃げる一方である。

「進め!進め!勝利の女神はお前達に下着をちらつかせているぞ!」
ビッテンフェルトの怒鳴り声と共にシュワルツ・ランツェンレイターが全力で追撃を行い次々に同盟艦隊を撃破していく。

ファーレンハイト大佐の戦艦ダルムシュタットも数隻の敵艦を撃破しつつ進んでいる。
「何やってやがる」
同盟戦艦同士が衝突したのを見ながらファーレンハイト大佐は呟く。
そのあと両方とも撃沈する事も忘れない。

「・・・・・・・・・・・・・」
「斉射三連」
「・・・・・・・・・・・」
「ミサイル発射」

アイゼナッハ中佐の巡航艦ヤクストも数隻の敵艦を撃破していく。

急速に同盟軍は撤退していく。ある程度の所で|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》上級大将は追撃を止め、イゼルローン要塞へと帰投させた。これ以上の追撃は危険と判断したのである。
実際、イゼルローン回廊出口では先に撤退した部隊をグリーンヒル中将が纏め上げて迎撃準備を行っていたので|エッシェンバッハ《ミュッケンベルガー》の考えは正しかったのである。

尤もビッテンフェルトはそのまま突撃しようとして、副官のオイゲン大尉から止められて帰投したのである。

帝国軍の損害の殆どは無人の解体寸前の旧式が殆どあった。
同盟軍はまたしても大敗北に終わった。


帝国軍  参加兵力     艦艇       損害     損耗率
             3万8000隻→1万4442隻 38.01%   
ヴァルテンベルク艦隊   1万3000隻→1843隻   14.18%
エッシェンバッハ艦隊   1万隻    →1222隻   12.22%
ケスラー艦隊       1万5000隻→1万1377隻 75.85% 

将兵264万5000名   戦死行方不明35万6571名 13.48% 


同盟軍  参加兵力     艦艇       損害     損耗率   
             5万1600隻→2万8916隻  56.04%
第4艦隊グリーンヒル中将 1万2900隻→5749隻    44.5%
第8艦隊シトレ大将    1万2900隻→4899隻    37.9%
第9艦隊         1万2900隻→8519隻    66.1%
第11艦隊        1万2900隻→9749隻    75.6%  
    
将兵599万4200名   戦死行方不明349万9455名 58.38%

ケスラー艦隊は旗艦以外全て老朽旧式で解体寸前の無人艦であった。
ケスラー艦隊旗艦はヴァナヘイム(Vanaheimr)-北欧神話に登場するヴァン神族の国-ラプンツェル級二番艦483年2月竣工したばかりの新造艦であり、格納庫をワルキューレに変わり雷撃艇格納庫にしているが、今回は格納庫に制御コンピューターを設置し統括制御を大規模に行った。

本来であれば、本艦はローエングラム星系警備艦隊旗艦として建造された艦で有るが、今回の作戦に対応するために改装して利用したモノである。
 
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