| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界に痛みを(嘘) ー修正中ー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ラブーン

 鯨にメリー号ごと飲み込まれてしまったアキト達
 現在、彼らの前にはみすぼらしい一軒家と晴天模様の空が広がっていた。

「俺達、鯨に飲み込まれたはずだよな?」
「ええそうね、ウソップ。確かに私達は飲み込まれたはずよ」
「じゃあ一体全体ここはどこなんだよ?」

 サンジが最もな疑問を上げる。

 アキト達の眼前には鯨の胃袋とは思えない光景が広がっていた。
 此処がとても鯨の胃のなかだとは信じられない。

「そういやルフィはどこに行ったんだ?」

 アキトは先程、蹴り飛ばしたルフィがいないことに気付く。
 船内のどこにもルフィの姿は見られない。

 この場にいるのはルフィを除いた自分とナミ、ゾロ、サンジ、ウソップの5人だけだ。

「ルフィなら船からはじき出されるのを見たわ」

 どうやらルフィは船外に吹き飛ばされてしまったらしい。
 能力者なのに大丈夫なのだろうか。

「大丈夫か、ルフィのやつ?あいつも俺と同じで悪魔の実の能力者だろ?」
「まー大丈夫だろ、ルフィなら。あいつ何かと悪運強いからな」

 ルフィのことを毛ほども心配していないウソップ達
 
 アキトはルフィに対する扱いの雑さを垣間見た気がした。
 だが、現状ルフィの安否を確認する術はない。

 今はアキトはルフィのことはいったん頭の隅に置いておくことにした。

 やがて雑談を交わしていたアキト達の前に人が現れる。
 一軒家の中から姿を現わしたのは豊かな顎髭を蓄え、眼鏡をかけた初老の男性であった。

 鋭い目つきでこちらを見据えている。
 何より頭から生える10枚の花弁にも似た髪が目を引いていた。

 交錯する視線
 お互いに無言のまま睨み合う。



「いや、何か言えよ!」

 我慢できずにサンジが叫ぶ。
 それでもなお初老の男性は此方を睨みつけてくる。

「こ、こっちには大砲があるんだ!や、戦るなら戦るぞ、おっさん!!」
「少し落ち着け、ウソップ。先ずは、此処がどこなのかを知るのが先だ」
「うっ、そうだな。すまねェ、アキト」

 アキトの一言で冷静さを取り戻すウソップ

「すいません、俺達は麦わらの一味というものなのですが、此処が何処なのかご存知ですか?」

 警戒されないよう当たり障りのない言葉で話し掛ける。
 初老の男性は今なおデッキチェアに腰掛け新聞を読んでいる。

「……ふん、人に質問するときは先ずは、自分の名前を名乗るのが礼儀じゃないのか?」
「……確かにそうですね。失礼しました。俺の名前は……」
「私の名前はクロッカス、この双子岬の灯台守をやっているものだ。そしてここは私のワンマンリゾートだ」
「………」

 沈黙するアキト

 名乗れと言っておきながら此方の言葉を遮り、初老の男性は勝手に名乗り始めてしまった。
 アキトは気を取り直してもう一度質問する。

「……クロッカスさんですね。それで質問ですがここは鯨の胃のなかで間違いありませんか?」
「ここが海に見えるか?周りの空も全て描かれたものだ。よく見てみろ」

 確かに周囲の空は全て人為的な手が加えられていることが伺える。
 だが、何故鯨の胃袋に絵心が加えられているのか依然として謎である。
 本当に此処は何なのだろうか。

「や、やっぱり俺達、鯨に食われちまったのか」
「い、一体どうなっちゃうの、私達……!?」
「先ずは、メリー号がこの鯨の胃液に溶かされ、次に俺達の番だろう」
「現実を叩き付けないでよ!何とかなんないの、アキト!?」

 アキトの服の襟を掴み揺さぶるナミ
 とても必死な様子である。

 現状、手段が無いわけではない。
 アキトの能力を全力で使えばこの鯨の胃袋を突き破ることは容易であろう。
 ただそうしてしまえば鯨の肉塊がその場にできあがることになってしまうが

「出口ならあそこだ。あそこから出ていくがいい」

あるんかーい

 アキトは突っ込まざるを得ない。

 彼は此方の心配を軽い調子で吹き飛ばす。
 確かに彼の言う通り向こうには出口らしき門が見える。

 どうやら出口も完備されていたようだ。
 彼は何の意図を持ってこの場所を作り上げたのだろうか。

「とりあえずこんなところから脱出するぞ!」
「そ、そうね!?行くわよ、皆!」

 途端、大きく揺れるメリー号

「な、何だ!?」
「今度は一体何なのよ!?」
「始まったか。……この(・・)鯨が赤い土の大陸(レッドライン)に頭をぶつけ始めたのだ」
「「「赤い土の大陸(レッドライン)に!?」」」

 そこから語られるこの鯨の長年の執念による行動
 その無謀とも言えるこの鯨の試みに皆一様に言葉が出ない。

 呆然とするアキト達の前でクロッカスさんはいきなり前方の島から胃液の海に飛び降りた。

「おい、あのおっさん胃液の海に飛び込んだぞ!」
「そんなことよりも早くこのなかから脱出するぞ!」

 一刻も早くこの場から脱出を試みるべくメリー号を出口に向かわせる。
 そしてまたしても現状に変化が訪れた。

「ああああぁぁぁ~!落ちる~!」
「今度は何なの!?」

 出口に取り付けられている小さな扉から飛び出してきたのはルフィであった。
 背後に謎の2人組を引き連れていたが

「て、ルフィじゃねーか。何してんだあいつ?」
「ん?おおゾロじゃねーか。とりあえず助けてくれ」

 ルフィは重力に逆らうことなく眼下の胃液の海に落ちた。
 途端、上がる3つの大きな胃しぶきが上がる。



 その後、ルフィと謎の2人組はアキトの手によって無事救出された。
 ルフィと2人組の男の方はメリー号へ適当に放り投げ、水色の髪の女性はお姫様抱っこでの救出の方法だったが

 男女によるこの扱いの差である。

 鯨の暴走も既に治まり、今甲板上では謎の2人組をルフィを含めたアキト達が囲んでいる。
 サンジは片割れの水色の髪の女性にメロメロである。

「この2人組は知り合いか、ルフィ?」
「いんや、知らん。初対面だ」

 ルフィの知り合いではなく、手元にバズーカを持っているとなると一応取り押さえとくべきなのだろうか。

「私の目の前ではラブーンに好き勝手なことはさせんぞ!小童ども!」
「あのおっさん戻ってきたぞ」

 クロッカスさんが出口から姿を現す。
 どうやらこの2人組のことを知っているらしいがとても険悪な雰囲気を醸し出している。
 ただならぬ様子だ。

「フフフ、舐められたものね、Mr.9?」
「そうだな、ミス・ウェンズデー。我々はすでに鯨の胃のなか……」
「「つまり、この胃袋に風穴を開けることだってできるぞ!」」

 突如、謎の二人組のバズーカから砲弾が放たれる。

 狙いは鯨の胃袋
 捕鯨目的であろうか。

 正に怒涛の急展開である。

「奴らめ……!」

 クロッカスさんは鯨を守るべく砲弾に向けて走り出す。
 自身が身代わりになるつもりだろう。

「おい……!?あのおっさん、まさか……!?」
「まさかあの鯨の盾になるつもりなの!?」
「ははは!この鯨は我々の町の食料にするのだ!」
「死にたくなければ大人しくしてなさいっ!」

 彼らは本気でこの鯨を捕獲するつもりのようだ。
 あの砲弾がクロッカスさんに被弾すればただでは済まないだろう。

 無防備なクロッカスさんに砲弾が迫る。

─まあ、当たればの話だが─

 無論、アキトは眼前の砲弾を見逃すつもりはない。

 能力を瞬時に発動させることで砲弾の(たま)は勢いを殺し、眼下の胃液の中に落とすことで爆発させる。
 水面に砲弾とクロッカスさんの胃しぶきが上がる。
 クロッカスさんは完全に飛び込み損であった。

「な、砲弾が!?」
「ど、どうなってるの!?」

 彼らは目の前の奇怪な現象に理解が追いつかず狼狽える。
 腕を振り抜き、ルフィが件の二人組を鎮圧する。

「何となく殴った」
「いやナイスだぞ、ルフィ」
「ん?そうか、アキト?」
「ああ、取りあえずこいつらは縄で縛っておくか」

 その後、謎の2人組は縄で縛られ、クロッカスさんの案内のもとルフィ達は出口へと向かうことになった。







▽▲▽▲







「よっしゃー!脱出だー!」

 鯨の胃から無事脱出することに成功する。

 前方には偽物の空ではなく、本物の空が広がっている。
 天気は快晴、清々しい天気だ。

「で、どうすんだ、こいつら?」
「捨てとけ、捨てとけ」

 件のゴロツキの連中はメリー号から放り投げられる。

「な、何だ!?胃酸の海か!?」
「いや、違うわっ!本物の海よ、Mr.9。どうやら私達はまんまとあの海賊達に嵌められたらしいわ」
「どうやらそうらしいな、ミス・ウェンズデー。だが……」

 何か喋っているようだが無視である。
 最早彼らの存在などどうでもいい。
 今はこの鯨、ラブーンのことを考えるのが先である。

 捨て台詞を残し謎の2人組は泳いで逃げていく。
 本当に彼らは何だったのだろうか。

「いいのか、おっさん?あいつら逃がしても?」
「構わん。あの小童どもを捕まえたところで他のやつらが来るだけだ」
「ん、何だこりゃ?」

 その後、ルフィ達はメリー号を双子岬の沿岸に停泊させることにした。



「はーん、この鯨は50年もそいつらを待っているわけか」
「そうだ、すでに彼らを死んでいるというのにだ。……ラブーンは恐らく待つ意味(・・)を失うことが怖くて、今なおこの赤い土の大陸(レッドライン)に挑み続けているのだろう」
「そんな……」

 それは何と悲しい話しだろうか。
 信じていた存在に裏切られ、それでもなおこの鯨は50年もの間彼らを待ち続けているのだ。
 これではこの鯨が余りにも浮かばれない。

「うおおおおおおお!!」

 ルフィが静寂を破り、突っ走る。
 ラブーンの巨大な口の裏側を山登りの要領で走り抜けている。
 右手にはメリー号のメインマストを担いでいた。

「なあ、あれ俺達の船のメインマストじゃないか?」
「ええ、そうね。私達の船のメインマストね……」

 呆れた声のウソップとナミ
 本当にルフィの奴は何をやっているのだろうか。

「ゴムゴムのォオオオ~"生け花"!!」

 ルフィはラブーンの東部の新たな傷に容赦することなくメインマストを振り下ろす。
 能力込みの攻撃である。

 ラブーンの絶叫が響き渡り、血しぶきが上がる。

「「「何やってんじゃ、お前~っ!!」」」
「船壊すなァ!!」

 外野の当然の突っ込み
 アキトは額に右手を当て思わず天を仰いでいた。

 ルフィはどこまでメリー号を破壊すれば気が済むのだろうか。
 船首然り、メインマスト然りである。

 まだ、偉大なる航路(グランドライン)に入ったばかりであるにも関わらず、メリー号は散々たる有様だ。
 しかもその原因が全て船長となると世も末かもしれない。

 ルフィはラブーンに頭上から振り落とされ地面に叩き潰される。
 クロッカスさんが悲鳴を上げるが、ルフィはゴム人間であるため問題はないはずだ。



「引き分けだ!!」
「俺達が偉大なる航路(グランドライン)を一周したらまたお前に会いに来るから……」
「そしたらまた喧嘩しよう!!」

 どうやら全てはラブーンのことを思っての行動だったらしい。
 ラブーンは嬉しさで涙を流している。

 アキトはルフィの性格を何となく理解した。
 時には無茶な行動をするが、締めるところはしっかり締めるのがルフィなのだろう。

 ただそれでメリー号のメインマストを壊すのは切実に止めて欲しい。
 少しは周囲のことを考えてほしいものである。

 ラブーンの嬉しさによる叫び声が辺り一面に響いた。



「んんっ!よし!これが俺とお前の"戦いの約束"だ!!」

 ラブーンの頭には拙くも麦わらの海賊旗のマークが描かれている。
 ラブーンの頭部を傷全体を隠すほどの大きさだ。

 後方ではその様子をアキトとウソップが眺めている。

「たく、ルフィも無茶なことをするな」
「そうだな、ウソップ。取りあえずメインマストの修理をする必要があるな」
「そうだよっ、チクショー!あいつ勝手に船を壊しやがって!」

 ウソップはメインマストを修復すべくメリー号へ駆け出していく。
 ナミはクロッカスさんからルフィから受け取った記録指針(ログポース)の説明を受けている。

「んナミさァ──ん!エレファント・ホンマグロの料理ができました~!!」

 相変わらずナミにメロメロなサンジが料理を皿に盛り付け、此方に駆け寄ってくる。

「おお、飯か?美味そうだな。」
「てめェのために作ったんじゃねーぞ、クソマリモ。この料理はナミさんのために作ったんだ。そのことを理解してありがたく食いやがれ」

 ゾロには淡泊な反応を見せる。
 実に分かりやすい性格だ。

「これが記録指針(ログポース)……。これが偉大なる航路(グランドライン)を航海するうえで必要となってくるのね」

 左手の手首に巻き付けた記録指針(ログポース)を覗き込む。
 ナミの背後には興味深そうに記録指針(ログポース)を眺めるアキトもあった。

「これが記録指針(ログポース)なのか。初めて見た」
「そうなの、アキト?」
「ああ、前も言ったけど俺は船なしで偉大なる航路(グランドライン)を越えて来たからな」

 アキトは能力で空を飛ぶことが可能であるため、これまで一度も船や記録指針(ログポース)を必要としてこなかった。

 アキトは感慨深けに記録指針(ログポース)を見つめる。
 これからこの記録指針(ログポース)を要に偉大なる航路(グランドライン)を航海することになるのだ。

「ふー、一旦船の修理を休憩するか」
「おお~!飯か!美味そうだな~!!」

 ペンキを落としたルフィが料理の匂いにつられてこちらに駆け寄ってくる。
 既に口から涎を垂れ流している。

 後方にはメリー号の修理を一時中断したウソップの姿もあった。

「ルフィ、ウソップ、てめェらもだ。少しは自重して食えよ」

 サンジは何よりナミに自分の料理を食べてほしいのだろう。
 ルフィ達は料理を食しながら今後の方針を話し合った。







「よし!じゃあ出航だ!」
「ってちょっと待て!何でこいつらもいるんだよ!?」
「ああ、何かこいつら故郷に帰りたいんだとよ」
「いいの、ルフィ!?こいつらラブーンを殺そうとしていたのよ!?」
「船長であるルフィの決断だ。そこまで気にする必要はないんじゃないか?」
「アキト……」
「まあ、もしも何か妙な真似をすれば俺がこいつらを船外に吹き飛ばすから問題ない」

 アキトの言葉で押し黙るナミ
 当事者である2人組は驚愕の表情を浮かべていたが

 次なる目的地はウイスキーピーク
 ラブーンの叫び声を背後にメリー号はリヴァース・マウンテンの麓である双子岬を出航した。







▽▲▽▲







 双子岬から出発し、メリー号はウイスキーピークに向けて舵を切る。
 未だにこの2人を信用しているわけではなかったが

 偉大なる航路(グランドライン)の予測不可能な気候がルフィ達を苦しめる。
 偉大なる航路(グランドライン)は正に未知の領域
 ナミの航海術も意味をなさない。

 甲板の上ではルフィとウソップが雪遊びをしている。
 雪が降っているにも関わらず、軽装のままであったが

 サンジはナミにイイように使われており甲板の雪かきをしていた。
 以前もどこかで見た光景である。

「あいつらこの寒いなかなんであんなに元気なのよ……?」
「まあ、気持ちが天候の過酷さを凌駕してんだろ」

 適当に答えるアキト
 アキトとナミの2人はキッチンで指針のことを話し合う。
 傍には謎の2人組もいたが

「船で航海するのって思った以上に大変なんだな」

 アキトは船で航海する大変さを嚙みしめる。

「……!?天候がいきなり変わった!さっきまで晴天のなか船は進んでいたのに!?」
偉大なる航路(グランドライン)の季節と天候は正にでたらめだな」
「そんなことより、アキト!船の進路を正すわよ!」
「分かった」
「皆、聞いて!メリー号が今逆走してしまっているの!だから今から進路を正すわよ!!」
「「分かった!!」」
「了解だぜ!ナミさん!」

 この騒ぎのなか2人組はテーブルでのんきにコーヒーを飲んでいる。

「貴方達、本当に偉大なる航路(グランドライン)のこと何も知らないのね」
「おい君。この船には暖房設備はないのかね?」

 乗せてあげているにも関わらずこの態度
 実にイイ性格をしている。

 今すぐ船外に叩き出してやりたい気分だ。

「偉そうにしてないでさっさと手伝え!」

 ナミが彼らを容赦なく蹴り飛ばす。
 ナミはなかなかにアグレッシブのようだ。



 偉大なる航路(グランドライン)の航海は困難を極めた。

 天候・季節の全てがこれまでの常識が通用しない。
 唯一信用できるのはナミが持つ記録指針(ログポース)のみである。

「前方に氷山の一角が!」
「何ですってっ!?アキト、よろしく!」
「任せろ!」
「帆を今すぐたたんで!風の勢いに耐えられないわ!!」
「了解だ、ナミさん♡おい、てめェら何ちんたらしてやがる!さっさと手伝いやがれ!」
「ナミ、指針はどうなってる?」
「またズレてる!?」
「何ィィ!?」
「「春一番だ」」
「何で!?」
「おいゾロ!!おめェはいつまで寝てんだよ!」
「そうよゾロ、いつまで寝てるのよ!?さっさと起きなさい!」
「おい、また気候変わったぞ!」
「うそっ!」
「おいクソマリモ、てめェはいつまで寝てやがるんだ!さっさと起きやがれ!」
「何なのよこの海はァ!」

 ナミの指示を受け荒れ狂う天候のなか舵を切り、メリー号を舵を切るのであった。





「ん~、よく寝た。……て、おいおいいくら進路が安定しているからって全員ダラけすぎじゃないか?」

 ふざけたことを(のたま)うゾロ

 とても気持ちよさそうに寝起きの伸びをしている。
 周囲には皆が疲労で倒れている。

 この2人組よりも先にゾロをメリー号から吹き飛ばしてやりたい気分である。

「ん?何でこの2人も船に乗ってんだ?」
「こいつらの故郷に乗せていくことになったんだよ。船長であるルフィの決断だ」

 アキトがゾロの問いに答える。

「ふーん、そうなのか。こいつらもねェ……」

 怪訝な表情で、思案気な様子のゾロ

「何かを知っているのか、ゾロ?」
「いや、どうもこいつらの名前を聞いたことがあるような気がするんだが……」
「そうなのか?」
「ああ」
「まあ、取りあえず後ろには気をつけろよ、ゾロ」
「あァ……!?」

 ゾロに拳が振り下ろされる。
 容赦の欠片もなかった。

 ナミ()の顕現だ。

「あんた、今までよくものんきに寝てたわね。何度あんたを起こそうとしたことか……!」
「あァ!?そりゃどういうい…みィ!?」

 続けての拳骨
 ゾロは余りの痛みに声が出ない。
 当然の報いである。

「皆、聞いて!今やっと偉大なる航路(グランドライン)の海の怖さが理解できた!だけどこれからは私が航海士として何とかしていくわ!!」

 ずば抜けた航海術を有するナミなら今回のことを活かし、今後の航海を何とかしてくれるだろう。
 周囲は未だに疲労で甲板の上に倒れていたが

「おいおい、それで大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。その証拠に偉大なる航路(グランドライン)に入ってからの1本目の航海が終わったわ」

 巨大なサボテンが島を囲む歓迎の町ウイスキーピークが姿を現す。
 見れば島の住民達が大々的に歓迎している。

 途中、2人組がメリー号から飛び降りていったが無視である。
 最後まで彼らは何だったのだろうか。

 こうしてルフィ達偉大なる航路(グランドライン)に入ってからの1本目の航海が終わりを迎えた。



To be continued... 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧