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函館鎮守府 ~競馬場で会いましょう~

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函館鎮守府 第一章
  第一話 ~函館11R 函館スプリントS~

 
前書き
提督が鎮守府に着任します。

更新は気まぐれです。 

 
 
 「まもなく函館空港に着陸します。シートベルトを締めてお待ち下さい。氷上提督殿」
 
 『赤レンガ』が用意した海軍士官専用航空機、三菱リージョナルジェット『MRJ90ER』に乗って、私は東京からこの北の大地の玄関口、函館にはるばるやって来た。

 私は2週間前、横須賀の総司令部で辞令を拝領した。

 内容は『函館鎮守府』への着任。

 正直言って驚いた。ついこの間まで海軍特務士官学校の生徒だった二十代の若造が提督になるのだから。
 


 話はちょっと昔になるが、七年前、後に『深海棲艦』と呼称される謎の生物は突如として現れ、各国沿岸を攻撃し、各国のシーレーンの殆ど壊滅した。
 
 一方で、かつての軍艦の魂を持つとされ、深海棲艦に唯一対抗しうると期待されている、少女のような謎の存在『艦娘』が発見されたのも同じ頃である。

 各国政府はこの艦娘を有効に活用し、深海棲艦を打破するべく、艦娘による軍隊の編成と、指揮官の育成を急いだ。

 日本に艦娘指揮官育成の為の『海軍特務士官学校』が置かれたのは六年前のことである。

 三年間で艦娘指揮の全てを叩き込まれる特務士官学校に、私は四期生として入学し、今年の三月に卒業したばかりだ。

 問題なのは、慣例として、卒業生は一年間、横須賀の総司令部での勤務するはずなのだ。
 
 だが、私は半年も経たず横須賀を去るのみならず、小規模の警備府や泊地ではなく、鎮守府の司令官として赴任する。

 士官学校での成績は決して良くない私がだ。

 『左遷』の可能性も考えたが、卒業後に不手際があった覚えは無いし、若造を警備府とか泊地ではなく鎮守府に赴任させるのだから、左遷と言うには豪華すぎる。

 

 そんな事を考えていると、いつの間にか飛行機は函館市内上空を飛んでいた。

 夏だからか、浜辺には多くの人の姿が見える。

 かつては当たり前だと思っていた光景も深海棲艦の影響で見ることが出来なくなっていた。

 だが、去年から、鎮守府付近だけではあるが、海水浴場が開かれた場所もある。

 眼下に映る人々を守る為に、私は提督として着任する。

 

 函館空港に着くと、すでに迎えの人が待っていた。

 一人はセーラー服の少女で、もう一人はセーラー服を着ているものの眼鏡がお似合いの大人の女性だ。

 こちらから歩みよると、すぐに気づいてくれた。

 ??「はるばるご苦労様です、氷上提督。軽巡洋艦の大淀と言います。宜しくお願いします。」

 ??「綾波型駆逐艦の曙よ。今日は貴方の護衛に来たわ。くれぐれも私から離れることの無いように。」

 「今回、提督として着任する氷上です。わざわざのお迎え痛み入ります。」

 大淀「いえ、当然の事をしたまでです。では、御車の方は準備してありますが、早速鎮守府に行かれますか?」

 「うむ、どうしようか……」

 曙「……何処か行きたい所でもあるわけ?」

 大淀「曙さん! 提督に対してそんな言葉遣いは……」

 提督「いや、別に大丈夫ですよ。」

 大淀「ですが……」

 提督「まぁ、とりあえず鎮守府に向かいましょう。」

 大淀「了解しました。」

 【第壱話 終わり】 
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