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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
  第41話 お泊り会

H14年4月後半 side-Asumi

「えっ!? 壮行会は聞いてたけど、お泊り会とか聞いてないよ!」

「いや、オレも聞いてなかったけど――進藤がオレのとこに電話して来た」

「進藤が? なんて?」

「北斗杯の壮行会のこと塔矢に言ったらしい。そしたら塔矢がウチでしないか?って――」

「塔矢先生の家で!?」「塔矢先生は5月3日まで中国にいるから家には一人らしい」

「で、どうしてお泊り会に?」

「オレが関西から清春も泊まりで来るって進藤に言ったら――オレも泊まりでやるとか言い出して」

「社君は和谷が借りてるアパートに泊める予定だったんでしょ!? あと言っとくけど、私って女の子だよ?」

「わかってるって!! だから俺も断ろうと思って言ったよ!!」

「そしたら倉田さんが出てきて妹弟子のいろはも連れてくるから大丈夫だとか言い始めてさ」

「どうしてそうなった……」

「とりあえずスケジュールの調整よろしく。オレは他のみんなにも連絡するから」

「え? 和谷の研究会の定期リーグのメンバー全員来るの?」

「いや、さすがに伊角さんや門脇さん、冴木さん、中山さん、本田さんに小宮はパス。
 塔矢の家は広いらしいけど、オレと清治に越智の選抜戦ときの面子だけだぜ」

「どうしてこうなった……」「オレも知りてーよ」

「あと倉田さんが代表メンバーのために面白いこと色々と考えてるから楽しみにだってさ。ガンバレヨ」

「進藤は少し遠いから前日の晩から泊まるって話だけど私は朝に行くからね!」

「ああ、清治も前日はオレのところに泊めるし、倉田さんも妹弟子を連れて午前中に行くってさ」

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H14年 北斗杯3日前 塔矢行洋邸 side-Asumi

「おはよー、和谷と社君の二人は早いね。もう来てたんだ」

「いや進藤のお母さんが弁当いっぱい作ったらしくって昨晩から呼ばれた」「そーなんだ」

「っていうか、昨晩から仲良く碁を打ってたのは分かったけど少しは片付けなさいよ。
 もー。私だけじゃなくって、もう一人女の子だって来るんだよ?」

「あ、これお土産の洋菓子ね。塔矢君、冷蔵庫に入れてもらってもいい?」

「ありがとう」「ちょうどいいし、いちど終わりにしようぜ」「せやな」

「あ、そうだ。塔矢、お湯がなくなったんだ」「台所に一緒に来なよ。自分で沸かせるだろ?」

 ピンポーン、ピンポーン

「越智かな?それとも倉田さんたち?」「行ってくるよ」

「よぉ! もう集まってるか?」「よろしくお願いします」「おはよ」

「昨晩から進藤、社、和谷の四人で打ってます。もう奈瀬さんも来てますよ」「フーン」

「今日は何をするんですか?」「とりえず寿司かな?」「え? 寿司ですか?」

「だって壮行会って聞いてたし、まずはみんなで寿司でも食べて士気を高めようかって――」

「あつぽん、朝ご飯食べてないだけでしょ」(ボソッ)

「じゃ、じゃあ。お昼にはちょっと早いけど何か出前を取りましょうか?」

「8人もいるし、時間もかかりそうやな」「あ、オレは寿司は三人前ね」「……」

「あと並な! 上は嫌いなんだ!」「わたしは特上で」「ボクも特上」

(こいつら何気に遠慮ないなァ)(越智も特上なんだ)

「あ、倉田さん! おはよーございます」「あ……おはようございますっ」

「って、もうこんにちはやないの?」

「お、関西の社か。選抜戦での奈瀬との碁は教えて貰ったが面白かったな」

「あ、はい。ありがとうございます」

「代表を選ぶ大事な一局で初手に5の五を打ってくるようなヤツは好きだぜ」

「でも言っとくけどな。天元や5の五もまだ研究不足の手だ。今のおまえの力じゃ手にあまる」

「……はい」「ま、痛い目みて自覚してるんならいいけどな」「あつぽん偉そう」(ボソッ)

「倉田先生、お昼の後は?」「二つの碁盤を使って1手10秒の超早碁勝ち抜き戦」

「勝ち抜き戦!?」「まあオレは参加しないけど」「え、どうしてですか?」「働きたくないの?」

「ま、代表メンバーの順番を決める参考にな」

「奈瀬と対局したのは昨年の天元戦だけだし、進藤は手合いを2~3見ただけだからな」

「そういえば大将・副将・三将はどうやって決めるんですか?」

「団長が決めて対局開始直前に審判長メンバーを渡すってことになってる」

「あ、事前発表じゃないんだ」「珍しい方式ですね」

「ま、初めての大会だしな。メンバー選びのサプライズも戦略ってことらしい」

「まァ、でも強いヤツから順に名前を書くだけさ」

「一番弱いヤツを捨て石の大将にして残り2戦を勝ちに行くようなマネは、ジュニアの棋戦じゃ、やっぱり良く思われないからな。韓国や中国も力の順だろう」

「あつぽんがそんなこと気にするなんて」(ボソッ)

「いや、だって安太善のヤローに『あれ? 倉田さん負けるのが怖くて逃げたんですか?』とか言われたくねーしな」

((なんか、この人って器が小さい?))

「うちの大将は実績・実力から見て塔矢だ」

「ぶっちゃけ塔矢を大将にしなかったら団長のオレは何を言われるかわからん」

「じゃあ副将は?」「まァ、選抜戦の結果や実績・実力でいうと奈瀬だな」「やっぱそうなるか」

「ま、しょせんは女流がとか言ってるバカもいるけどな」「いるんだ」

「副将かー」「ん?」「いや中国チームの趙石に以前負けたのでリベンジしたいなーと」

「へー、打ったことあるんや」「年下のヤツに負けたんだ」「院生のときだし!」

「それに中国棋院の小さい和谷には勝ったもん!」「小さな和谷?」

「そうそう! 楽平っていう和谷のそっくりさんがいてさー」「奈瀬っ!」「ぷっ」

「それで趙石というのは中国チームの何番手?」「三番手だから三将だろうな」

「倉田さん、中国は陸力が大将、王世振が副将といったころでしょうか?」「そうだな」

「韓国の大将は高永夏?」「マチガイないだろう。副将に林日煥、三将は洪秀英だな」

「ここまで進藤は何かある?」「ある」「……あるんや」

「オレ、大将ダメかな?」「進藤が大将!?」「何言ってんだよオマエ」

「ただ大将になって目立ちたいだけとちゃうんかい」

「違うっ! ――大将は韓国戦だけでいいから!」「ガキっぽい」(ボソッ)

「韓国戦? 高永夏?」「洪秀英じゃなくて?」

「洪秀英?」「ああ、進藤は院生時に一度対局してるんだぜ」「和谷!?」

「どっちが勝ったんだよそれ」「進藤です」「塔矢!?」

「海王の尹先生から聞いたよ。キミとスヨンの一局は」「ボクも塔矢に教えてもらった」

「もういいよ! 文句をいったオレが悪かったよ!」

「ま、こんなこともあろうかと夕食の後からは面白いことやるし」「面白いこと?」

(((すげー)(とても)嫌な予感がする(ぜ)(だ)(な)(よ)))

「ま、それは後からのお楽しみってことでな」

「とりあえず超早碁勝ち抜き戦でお前たちの調子とか力量を見てからだ」

「おまえら勝ち抜き戦でずっと塔矢や奈瀬が居座るような状況つくるなよ」

「おう!」「任せとけ!」「リベンジや」「ボクは負けない!」「飴玉舐める?」 
 

 
後書き
少年漫画を意識した大人数でのお泊り会です! 
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