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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
  第29話 来ない三人

H14年1月後半 日本棋院会館

「新初段シリーズのトップバッターは伊角さんかァ」

「和谷の相手は乃木九段だっけ?」「ああ」

「乃木九段は碁聖位に続いて天元位も争ったけど惜しかったな」

「石橋天元は棋聖位にも挑戦だろ? 勢いがあるよな」

「天元と言えば奈瀬は?」「女流棋聖も控えてるから今日はパスだって」

「女流棋戦とはいえタイトル挑戦かァ」

「ま、北斗杯が一枠にならなくって良かったな。塔矢はもう代表決定なんだろ?」

「実績考慮で奈瀬も選ばれるならボクだって勝率は似たようなものだよ!」

「は! こないだ奈瀬に負けてたクセに」

「あ、あれは不本意な一局だ!! 本因坊戦は名人戦に続いて二次予選に上がったぞ!」

「へー にしても小宮って奈瀬の対局でもチェックしてるのか?」

「ま、同期だしなァ」「ふーん。じゃ、不調って噂はホントなの?」

「ちぇっ、結果だけ見たら天元戦の後は不調だろ。
 女流棋聖の初戦の負けもそうだけど、他の女流棋戦で新入段の女流にも負けてるし――」

「たしかに女流タイトルの初挑戦ってことで緊張もあったかもしれないけどアレは酷かったな」

「ん? 新入段の女流って香川いろはだろ? 彼女なら勝つことだってあるだろ?」

「ふーん。そういえば和谷ってプロ試験で女の子に負けてたよね。その子って強いの?」

「うるせー。えらそーなこと言ってる小宮も負けてるよ!
 ってかオマエもプロ試験のときは奈瀬に負けただろっ!!」

「とりあえず落ち着けって和谷」「で、実際にどうなの?」

「プロ試験では伊角さんと半目争いだった」「本田さんは勝ったんでしょ?」

「いや、あれはヤバかった。こっちのヨセが会心の出来だったってだけだ」

「足立や福井にはヘンな負け方したみたいだけど、残りの負けは惜しい碁だったぜ」

「ふーん。好不調の波があるタイプ?」「ま、どうせ対局の機会もあるだろ」

「それにしてボクが抜けたからって外来に荒らされるのは院生としてどうなのさ?」

「うっせーよ!」「外来の高崎学って人は元高校MVPだったらしいよ」「へー」

「で、結局は院生同士のヒサンな星のつぶし合いで三位争いをしてたってわけだね」

「話し戻すけど本因坊戦の二次予選なら進藤も上がってたよな?」

「というか18歳以下じゃ実績少なくて差別化は無理だろ」

「だよな。今年からプロになった和谷だって対象だろ?」

「今年からプロっていうといえば、関西棋院に有望なのがいるらしいってさ」

「社清治か?」「知ってるの本田さん?」「ヤシロ? どんなやつ?」

「師匠の家で関西棋院の吉川八段と一緒に来て対局した」「対局もしたんだ」

「年は三つ下って言ってたから進藤と同い年か。対局は初手天元で負けた」「初手天元?」

「アノ対局の影響で打つヤツが増えたってのは知ってるけどソイツもかよ」

「天元の中央一間ジマリなんかに比べたら、初手天元はプロでも全く打たれないってわけじゃないしな」

「どちらにしろ難しい碁にはなるよね?」「越智は打ったことあるのか?」「ボクはないね」

「とにかく中央の石を見事に働かされて負けた。完敗だったよ」

「ふーん。ま、ボクなら負けないだろうけど注意しとくよ」「……オレだって!」「和谷?」

「越智や奈瀬や進藤に1年遅れてプロなったけど足踏みしてたわけじゃない。
 森下師匠はオレがまだまだ伸びるって言ってくれる。奈瀬だってプロ初年で化けた。
 見てろよ! この新初段シリーズだって――」

「そうだな。オレたちだってまだまだこれからだ!」「ああ!」

「ま、せいぜい頑張ってね。どのみち北斗杯のメンバーはボクで確定だけど」「越智ぃ」

「ってか進藤は?」「そーいえば、進藤おせーな。」「門脇さんもまだだな」

「まさか二人で遊んでるわけじゃないよな」「ないない。知り合いじゃないんだから」

「……知り合い?」「“知り合いじゃない”って言ったんだよ!」「――そっか!進藤だ」
 
 

 
後書き
※この話で名前が登場する「高崎学」はギャグ漫画の『日常』に登場する囲碁(サッカー)部の顧問で元高校囲碁(サッカー)MVP。名前だけの登場です。
 
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