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後ろに立つと

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第三章

「とにかくその迷惑な癖はなおせ」
「なおせなくてもか」
「そうだ、なおせ」
 こう言うのだった。
「さもないと御前もっと大変なことになるぞ」
「そうか」
「そうだ、全く変な癖だな」
 人が後ろに立つと殴るそれはというのだ。
「何でそんな癖が身に着いたんだ」
「俺にもわからない」
 呉瑠後自身もというのだ。
「しかし身に着いてしまった」
「気付いたらか」
「そうだ」
「訳がわからないがなおせ」
 先生の言うことは一つだった。
「迷惑千万で御前にとってもよくないからな」
「・・・・・・・・・」 
 呉瑠後は頷きはしなかった、だが。
 彼自身なおす様に努力をした、しかしその努力が実ることはなく。
 広島県の比婆山に遠足で登山中いきなりだ、後ろにいる者を殴るので最後尾に追いやられていた
呉瑠後が後ろに気配を感じて後ろにいる相手を殴ると。
 何とヒバゴンだった、共にいたクラスメイト達はこれには流石に仰天した。
「ヒ、ヒバゴンだ!」
「凄いや、ヒバゴンは本当にいたんだ!」
「というかヒバゴン殴ったぞ!」
「これやばいだろ!」
 殴られたヒバゴンは左頬に一撃を受けのびていた、だが。
 仲間達が周りからうじゃうじゃと出て来た、そのうえで子供達に襲い掛かって来た。
「ウガアアアアアアアア!」
「やばい、怒ってる!」
「冗談抜きでやばいぞ!」
「逃げろーーーーーーーっ!」
 彼等は必死に逃げた、それで全員何とか助かったが。
「だから何でも殴るな!」
「後ろにいるのをな!」
「さもないとまたこうなるだろ!」
「ヒバゴン殴るな!」
 比婆山から出たところで呉瑠後に言うのだった、だが呉瑠後は。
「・・・・・・・・・」 
 無言のままだった、とかくだ。
 彼のこの癖は厄介なものだった、しかもこの癖があらたまるかどうかは難しいところだった。その彼がこれからどうなるかは神のみぞ知ることだった。


後ろに立つと   完


                 2017・3・18 
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