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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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68部分:第七話 関羽、山で三人の戦士と会うのことその一


第七話 関羽、山で三人の戦士と会うのことその一

             第七話  関羽、山で三人の戦士と会うのこと
「涼州からの人材ですわね」
「はい、麗羽様」
「その通りです」
 田豊と沮授が袁紹に対して述べていた。
「そして匈奴の勢力圏からもです」
「他にも青州等から再び」
「最近実に多いですわね」
 袁紹は二人の軍師の言葉を聞きながら述べた。
「次から次にと」
「しかもどれも他の世界の人材です」
「この世界の者ではなく」
「この時代のこの世界の我が国だけではなく」
 袁紹もこのことは既に把握していた。彼女の下に来るその人材がそのことを何よりも雄弁に物語っていた。そういうことだった。
「日本という国にアメリカという国」
「他にも多くあります」
「今度はモンゴルという国の者もいます」
「モンゴル?」
 その名を聞いてまずは首を捻る袁紹だった。
「何か匈奴を思わせる響きですわね」
「はい、確かに」
「実際に匈奴の国からの者です」
 こうも話す二人だった。その通りだというのだ。
「その者の他にも多く来ています」
「御会いになられますか」
「ええ、いつも通りですわ」
 つまり会うというのである。
「それではこちらに」
「わかりました。それでは」
「今呼んで参ります」
 田豊と沮授は主の言葉に頷いてだ。数人呼んできた。まずは小柄で太った白いシャツに赤いズボンの者だった。随分と丸く人懐っこい顔をしている。
「テムジンだす」
「テムジン。モンゴルの者と聞いてますわ」
「その通りだす。モンゴルからここに来ただす」
「成程、では貴方がでしたのね」
「この国に来て驚いただす。子供達が困っているだす」
 彼は悲しい顔になった。そのうえでの言葉だった。
「ワスはそれを何とかしたいだす。子供達の為に頑張るだす」
「いいですわ、孤児の救済も国の要の一つ」
 袁紹もそのことはよくわかっていた。
「貴方にはそれをやってもらいますわ」
「有り難いだす。ワスは他にも戦うこともできるだす」
 それもできるのだという。
「だから是非やらせてもらいたいだす。孤児院を作って子供達の為に戦うだすよ」
「わかりましたわ。では水華、恋花」
 田豊と沮授の名前を呼んだうえでの言葉だった。
「孤児院の責任者にこの者を」
「はい、麗羽様」
「丁度責任者が不在でしたし」
「丁度いいですわ。そして」
 テムジンの役職を決めてだった。他の者も見た。
 奇麗なブロンドに青い目の奇麗な顔の少女だった。青い服に黄色いスカート、左手には丸く赤い球を持っている。身のこなしが軽やかだ。
 そして双子らしき者達もいた。それぞれ白い道着に黒い下着とスパッツだ。どちらも楯にアームガードを装備していて白い髪をした少年だ。一方は道着の淵と帯が赤くもう一方は青だ。それが二人だった。
「ニコラ=ザザだよ」
「ミハル=ザザだよ」
 二人は明るくこう名乗ってきた。
「僕達も頑張るよ」
「この世界の為にね」
「私はキャロル=スタンザック」
 少女も笑顔で名乗ってきた。
「何かよくわからないけれどこの世界に来ていたのよ」
「俺もだ」
 最後の一人は明らかにアジア系とわかる者だった。すらりとした長身に黒髪を左右で分けた精悍な顔立ちの男で青い上着に白い服とズボンを粋に着ている。その手には棒がある。
「キム=スイルだ」
「貴方達もですのね」
「何か獅子王と闘っていたらこっちの世界に来てさ」
「訳がわからないよ」
 ニコラとミハルが困った顔になった。
「本当にね」
「ここって中国みたいだけれど中国じゃないし」
「それでどうしたらいいかわからなくて」
「とりあえずここに来た」
 四人が言うにはそうなのだった。
 
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