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Re:童話姫たちの殺し合いゲーム

作者:猫丸
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(原作)ヘンゼルとグレーテル(アレンジ少々アリ)C

その日の晩のことでした




「僕がここに連れて来られてからもう一月がたった」




檻の中を見渡すと 子供たちの人数 顔ぶれが全然違います。"食べ頃を迎えたみんなはジル 領主の所へ連れて行かれ、食べられてしまったのです



『ヘンゼル。次がお前か俺の番かもな』



アレンが皮肉そうに言います。古参メンバーはこのヘンゼルとアレンだからです



「グレーテルは大丈夫かな…」



『さあな。俺達に外の事なんてわからねぇよ。でも……』



アレンが言葉を濁わします



「どうしたの、アレン?」



『俺達はなんで大人しく 喰われるその時を待たないといけないんだって思ってな』



「それは…」



言われてみれば確かにそうだ。『そうだそうだ!』 と周りの子供達から声があがります




『明日だ』




「明日?」



『明日の朝、婆さんがいつものように様子を見に来た時、俺達の自由を掴む作戦を決行する』





「自由を掴むための戦い…」





『『おぉお!!』』




『ウルサイドー餓鬼共ー!』





大声を出してもベリーヌには聞こえません。だって大男がその大きな声でかき消してくれるから




そして作戦を決行する次の日の朝





『さぁヘンゼル。お前を食べる時が来たよ。出て来な』




いつものようにベリーヌが檻の様子を見に来ます、今日はヘンゼルを食べるつもりだったので連れ出す為に檻の扉を開けました





『『わぁああああああああああああ!!!』』




『な、なんだいっ!?』



檻の中の子供達がわぁーっとベリーヌに襲い掛かりました




驚くベリーヌ、群がって来る子供達を追い払おうと 叩き 殴り




『あっちにいけっ!! ぎゃあああ!!』




ましたが、足を滑らせ大きな岩に頭をぶつけ、そしてそのまま気絶してしまいました




『…死んだ?』



『いや。気絶しただけだ』



『なぁんだ、死んでないのか…残念』




『ついでに殺っとく? アレン』



『駄目だ。そんな事したら俺達もこいつらと同じになっちまう』




気絶しただけという事を確認すると、ベリーヌを柱にくくりつけ





『ママァー!?』




後からやって来た大男をバナナの皮ですってんころりん





『いったぁ~い』




させて油断したところを後ろからゴツンと石で殴り、気絶させ縛りあげます





子供達は檻から脱出し、お菓子の子供達と合流





「グレーテル!! 良かった…ケガはない?」



「ヘンゼル兄さまこそ、お怪我はない? 大丈夫?」





『ヘンゼル! 感動の再会は後だ!』



離れ離れとなった兄妹が再び出会えたことはとても喜ばしいことですが、今はそんなことをしている場合ではありません



作戦を次のステップに進めなければいけないのです



子供達が檻からの脱出後 次にしたこと




それは教区内の役人に一部始終を訴えることでした




『だから俺達は!!』




『嘘言うんじゃない! 領主様がそんな悪道な事しているわけがない!』



最初はまるで相手にされませんでした。ジルは聡明でとても優秀な領主として有名で支持する人も多かったのです



ですがそれと同時に




『夜になると領主様のお屋敷から子供の鳴き声が聞こえるという噂が…



 あながち間違いではないのでは?』




夜な夜な恐ろしい叫び声が聞こえてくるという奇妙な噂が流れていました




『う、ううむ…』




「嘘じゃないんです!」



「私達を信じてください!」




『わかった、わかったから落ち着きなさい。



 明日近隣住民の方々に聞き込みしてみるから、今日は帰りなさい』




と言われ追い出されした。帰りなさいと言われても、子供達に帰る家などありません




次の日



役人は約束通り城の近辺の住民に聞き込み調査をしました。そして「誹謗文書」が作成されました





そして―




『領主ジル・ド・レ。貴方に逮捕状が出されている』




『な、なんだお前達は! 私を誰だと思っている! 私は領主 ジル』





『いいから一緒に来てもらおうか』




『やめい! 金か? 金が欲しいのか? 欲しいだけやる! だから!』




欲にまみれたジルは逮捕されました。その後城の中を家宅捜索すると



出てきたのは血のついたペンチや鞭などの拷問器具




血のこびりついたノミや焼き鏝




そして、ぞっとするような少年少女の死体山だったという――





その後の調べで、ジルは十四年もの間 計約百四十人の少年少女を残虐な拷問にかけて殺していたことが判明したのです



元領主 ジル・ド・レ の公開処刑



『ジル・ド・レ。貴方は多くの子供達の未来を奪いました』



『………』



『この嘘吐き領主! あんたを信じてあたしらは馬鹿だったよ!!』




『返して! うちの子を返してよ!!』




『静粛に。ジル、貴方に領民の痛み/嘆きの声が聞こえていますか?』





『………』



『そうですか……わかりました。ジル・ド・レ、貴方を絞首火刑に処します』





ジルは命ぜられるまま縄を首にかけると床が開き、宙ぶらりん




『ぐぅッ!!!』





首に巻いた縄だけに体を支えている状態 の所に止めの





『放てー!!』



『ヤァー!』




何十本もの火の矢が放たれました。ジルの体に刺さった矢は火が衣服に燃え移り それは大きな炎となりジルはこんがりジューシーび焼き上がりました



ですがこれはまだ軽い方。元領主であった為処刑方法の中でも軽いもので行われました



ジルのように身分の高いものではない 



お菓子の家を作り子供達を 誘惑 監禁 拷問 をしたベリーヌ



ベリーヌの実の息子 檻の見張り番をしていた大男



彼らはもっと残虐な処刑方法が行われました




赤く焼けた鉄てこを体に押し当てられ




『アアアアアアアアアアアアアア……』



ベリーヌはそのまま気絶




ですが、気絶しても終わりではありません、そのまま鉄てこで手足の指を一本一本引き抜いていき



『アアアッ!!?』



痛みで意識を取り戻し また気を失う これを何度も繰り返し




全ての指を引き抜き終わると




『なんだい…まだ殺ろうって…ヒィッィ!!』




ゴウゴウッと音をたて燃え上がる 火刑台へ放り込まれました





息子の大男も同じ運命を辿りました




捕まっていた子供達はみんなそれぞれの家へと送り届けられました




兵士にに連れられ、ヘンゼルとグレーテルが家に帰るとお父さんも継母も泣いて喜び、二人を温かく抱きしめてくれました



『罪深いお母さんを赦しておくれ
 私は父さんには死んで欲しくなくて、それでこんなことをしてしまったんだ』




何を今更と二人は思いました。ですが抱きしめる継母とお父さんの腕は痩せ細っていました




顔もやつれ、骸骨のようです。聞くとあれから草の根や茎などしか食べていなかったらしいのです




人喰い領主のもとから奇跡的に生還した ヘンゼルとグレーテルは一躍有名人となり、その武勇伝を聞こうと二人の家には沢山の人々は押し寄せました





『人喰い領主からの生還! おめでとうございます』




『さぞ怖い思いをしたでしょう』



同情、憐みの言葉をかけられます。でも全然心に響いてきません。だって彼らが見ているのは、人気者のパンダなのだから




人気物を見たい その人気にあやかりたい ただの欲望まみれの人種



「本当に怖かったです。継母さんに森に捨てられた時は」



『え?』



「そうだねグレーテル。何日も歩き続けたのに中々家に帰れなくて、いつ森の獣に食べられるんじゃないかって怖かった」



『森の獣に食べられそうになった…?』



今回の経験で大きく成長したヘンゼルとグレーテル。もう転んでもただじゃ起き上がりません




数日後…





コンコン



「はぁい、どちらさま?」



『ちょっといいかな? 僕、お母さんいる?』




ヘンゼルとグレーテルの家に兵士達がやってきました




なんでもこの継母が人喰い領主に子供達を売った罪で捕らえに来たとかなんとか




継母は『そんなことしてない!』と泣き叫びましたが、兵士達は聞く耳持たずそのまま連れて行ってしまいました



兵士に連れてゆかれる継母の背中を見ながら




「変なの。ねぇお兄さま



 
 継母さんは私達を売ったりしてないのに、何故捕まったのかしら?」



とグレーテルが言うとヘンゼルはニヤリと笑いながら



「さぁね。




 今密告が流行ってるから誰かに恨みでも買われたんじゃないの?」




平然と言うのでした――











                            END


 
 

 
後書き
長くなりましたが、初版グリム童話<ヘンゼルとグレーテル>こんな感じのお話です。
(※かなりアレンジも入ってまふ(-ω-)


まさか前中後編になるとは思ってなかった笑 ラプンツェルの話は一枚で書けたのに笑




驚いたのが登場人物が複数いて、魔女(おばあさん)にもちゃんと理由があって領主とか結構えぐいことになってること とか。
(※アレンはオリジナルです。大男が魔女の息子設定もアレンジです)


魔女、名前あったんですね! 変態領主なんて人も居たんだ~驚き桃の木山椒の木~♪


この物語は、飢餓の中を生き延びるために実際に行われていた“子捨て”の習慣を伝承するものであると共に、子供が親の精神的支配を打破して自らの人格を自立させてゆくという精神成長の話でもあるそうですよ? 
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