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レーヴァティン

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第十七話 学術都市その一

           第十七話  学術都市
 ヨハネスブルグに向かいつつだ、久志は仲間達に対してこんなことを言った。今の彼等は平原の中の道を進んでいる。周りには木も家も見えない。
「学術都市、だよな」
「はい」
 そうだとだ、順一が答えた。
「ヨハネスブルグは」
「そうか、学術都市か」
「学園がありそこに人がいるなら」
 それならというのだ。
「その人をあてにしてです」
「お店やらが出来てか」
「一つの街になります」
「日本だと筑波か」 
 久志は自国のことから考えて言った。
「あそこみたいなものか」
「あの街もそうですね」
「だよな、筑波大学があってな」
 それでとだ、久志は順一にさらに話した。
「人も集まってるよな」
「そうですね」
「欧州にはもっと多いよな」
「オックスフォードやケンブリッジですね」
 順一は世界的に有名な大学そしてその大学を中心として出来上がった街のことを話に出した。
「そうした街は確かに」
「あってな」
「欧州ではそうした学術都市が多いです」
「実際にな」
「ドイツにも多いですし」
 イギリスだけでなくこの国でもというのだ。
「イタリアも然りです、パリにしましても」
「ソルボンヌ大学もな」
「あの街の発展に貢献しています」
 そこに人を集めることによってだ。
「そうなっています」
「そうか、それでこっちの世界でもか」
「はい、大学があればです」
「そこに人が集まってな」
「街にもなります」
「そこはデルフォイと同じか」
 久志は彼が長くいたこの街を思い出した。
「そうしたところは」
「あちらは神殿ですね」
「神殿があって参拝する人がいて」
「そしてですね」
「ああ」 
 その通りという返事だった。
「何かあるとそこからか」
「街が出来ます」
「そういうものだな」
「首都になれば人が集まり」
「交通で大事な場所も産業があってもか」
「街が出来ます」
 そうなっていくというのだ。
「とかくありとあらゆることで」
「街が出来るんだ」
「この世界でもそれは同じです」
「その辺り人間的だな」
 久志は順一の説明を聞いて納得した顔になって頷いた。 
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