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レーヴァティン

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第十六話 あらためてその十三

「よかったぜ、胸も大きくてな」
「それはその娘の個性だろ」 
 胸のことはというのだ。
「そちらは」
「そうだけれどな」
「けれど胸もよかったんだな」
「その娘もよかったぜ」
「人種それぞれでよさがあるか」
「だから俺は人種差別は一切しないんだよ」 
 笑ってこうした論理に持って行った。
「国籍も民族も職業も問わずだよ」
「余計に見境がないな」
 それこそとだ、久志は智の話を聞いて首を傾げさせつつ返した。
「変な病気には気をつけろよ」
「梅とか淋しいとかか」
「カンとかジタにもな」 
 久志が話に出したのはこちらだった。
「こっちの世界にもあるみたいだしな」
「ありますよ」
 順一は久志にあっさりと答えた。
「そうした病気も」
「そうなんだな」
「ないと思われますね」
「いや、英雄の奴とそんな話をした覚えたあるんだよ」
 久志にしてもというのだ。
「罹るとやばいってな」
「実際に命の危険がある病もあります」
 そうした病気の中にはというのだ。
「暗殺にも使いますし」
「感染させてだな」
「その対象がそうしたことに積極的な方ならば」
 順一は言葉をかなりオブラートに包んで話した、こうしたことは直接話すと生々しいからだ。
「成功する可能性が高いですから」
「暗殺も色々だな」
「毒や刃だけでなく術も使えば」
 こちらの世界の暗殺の手段はというのだ。
「これは私達の世界でもありますが」
「そうした病気を使った暗殺はか」
「事例があります」
「っていうと梅の方か」
「その病をあるフランス王に感染させてです」
「暗殺したんだな」
「王妃も共にだったそうです」
 王だけでなくだ。
「そうなったそうです」
「巻き添えか」
「はい、好色な夫の」
 その王のだ、この王の名をフランソワ二世といいユゴーの逸楽の王という作品にも登場している。
「おそらく王の他の浮気相手や愛人達も」
「えげつない話だな」
「ですが王は死にました」
 肝心の暗殺対象はというのだ。
「おそらく身体中に斑点が生じそれが膿み瘡蓋となり鼻が落ち身体中が腐敗し毒が脳にまで至り発狂した末に」
「ああ、それ聞いて余計にだよ」
「えげつなく思われましたね」
「そうした店は注意しないとな」
「こちらでは薬も治癒の術もありますので」
「治療が早いと助かるか」
「ご安心下さい」
「じゃあ一回そうした店にも行ってみるか」
 久志はあらためて思った。
「それで楽しんでみるか」
「そして楽しまれた後で清潔にすればそれだけで全く違いますので」
「それもあるか」
「はい、清潔さと薬や術での二段備えでどうぞ」
「わかったぜ、じゃあ一回でもな」
「本来の世界でも楽しめよ」 
 智は気軽な声でこう提案した。
「俺もそうしてるしな」
「御前はまた徹底してるな」
「女の子が好きなんだよ」
 それこそ人種民族職業問わずというのだ。
「下は十四歳から上は四十八歳までな」
「その下はやばいだろ」
「十四歳はか」
「ちょっと以上にな」
「そうか、十三の時と十六の時に付き合ってたけええどな」
「十四歳の娘とか」
「ああ、そうなんだよ」
 つまりその年齢は二回あったというのだ。
「どっちの娘も奇麗だったな」 
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