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夢幻水滸伝

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第十六話 内政その一

           第十六話  内政
 中里は太宰が言う大和の新田開発についての議を弥生と共に行った、既に部屋からは綾乃は去っていた。
 そのうえでだ、太宰はまずは大和の地図を開いて中里に話した。
「これが大和ですが」
「ほんま北と南でちゃうな」
 その地図を見てだ、中里はまずはこう言った。
「北は比較的開けて盆地になっててな」
「南は完全に山岳地帯ですね」
「吉野も深いけど」
 その山がだ。
「紀伊との境まで相当あってもな」
「そのほぼ全てがです」
「山ばっかりやな」
「ですから林業は出来ますが」
 その豊かな森林資源を使ってだ。
「しかしです」
「今は新田開発やしな」
「そちらの政は伐採とその後の植林を進めています」
「もうそっちもしてるんか」
「森林資源は国家に欠かせませんので」
 それ故にというのだ。
「家も紙も食器もですね」
「ああ、全部木やな」
「ですからそれは忘れていません」
「そやねんな」
「はい、そして伐採した後はです」
「植林もしてるか」
「さもないとやがて尽きます」
 その森林資源がというのだ。
「ですから並行してそちらも進めています」
「先の先まで考えてるんやな」
「左様です」
「成程な」
「ただ杉は避けています」
「花粉症やな」
「実は棟梁も私もあちらの世界では花粉症でして」
「私もですにゃ」
 弥生もそうだと言ってきた。
「しかも杉ではどうも山の生きものの糧にならへんので」
「あの木は割けています」
「そうしたことも考えてるか」
「こちらの世界でも花粉症になっては困ります」
 太宰はこのことは私も入れていた。
「全く以て」
「そうか、けど政に私入れるのはな」
「承知していますがそもそも杉は」
「山の生きものの糧にはならん」
「それが大きいので」
 第一の理由はこちらだというのは事実だった。
「ですから」
「植林の時は避けてるか」
「左様です」
「成程な」
「それでなのですが」
 太宰は大和の南の林業のことを話してそこからその話を戻した。
「大和の北は御覧になられましたね」
「ああ、盆地でな」
「開けていますね」
「川も池も多いな」
「既に治水は整えています」
 そうした川や池へのそれがというのだ。 
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