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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1775話

 俺の前にはチキングラタンとナポリタン、それとこのファミレスでもおすすめとメニューにあった柚子蜜茶。
 いつもならウーロン茶とかそういうのを頼むんだが、今回は荒垣の奢りという事で、ちょっといつもは頼まないようなものを頼んでみた。

「お前、もう夜中だぞ? そんなに食えるのか?」

 味噌煮込みうどんを頼んだ荒垣が、どこか呆れたように俺を見ながらそう告げる。
 まぁ、夜食として考えれば、この量は多いかもしれないな。
 もっとも、俺の場合は食べたものは腹の中で即座に分解されて魔力になる。
 そうである以上、夜中だろうと朝方だろうと、特に問題なく食べることが出来る。
 それこそ、朝食にステーキを食べても平気だろう。
 ……ただ、朝食の気分でステーキというのは、あまり好みではないのだが。

「まぁ、俺の身体は色々と燃費が悪いからな」
「……だろうな。あんな真似をしているのを見れば、その燃費が悪いって言われても理解は出来るよ」

 溜息を吐き、味噌煮込みうどんをすする荒垣。
 一口、二口とうどんを食べ、その後スープを味わう。
 少し眉を潜めると、再び一口、二口とうどん、スープ、具といった感じに味わっていく。

「何も、そこまで集中して食べなくてもいいと思うんだけどな」

 何だか妙に一生懸命食べている荒垣の様子を見て、そう尋ねるが……

「いや、このファミレスは中々レベルが高いぞ。うどんはここで打ってるようなものじゃないが、具の下処理や出汁の深い味は味噌に合っている。このファミレスには前にも何度か入った事があったけど、ここまでの味じゃなかったと思うんだが……」

 呟きながら、この味を出すには……とか、味噌以外の調味料のブレンドが……とか、そういう事を細かく言っているのを聞く。
 この男、その強面の顔に見合わず料理をするのか?
 いやまぁ、別に強面の男が料理をしては駄目だとは言わないが……それでも、ちょっと意外なのは事実だ。
 ともあれ、荒垣が料理に集中した以上、俺も料理を楽しむとしよう。
 まず最初に口に運んだのは柚子蜜茶。
 この店のお勧めだけあって、微かな酸味と甘みが口の中に広がる。
 冬じゃなくて、夏とかに飲むといいのかもしれないな。
 そんな風に考えながら、次にナポリタン、チキングラタンと味わっていく。
 どちらもそれなりの味ではあるが……荒垣が言うように美味い! って程じゃないと思うけどな。
 もしかして、味噌煮込みうどんだけが別なのか?
 それはそれで面白いが……
 そんな風に考えながら、料理を食べていき……俺が全ての料理を食べ終わるのと、荒垣が味噌煮込みうどんを食べ終わるのは殆ど同時だった。
 これは別に俺の食う速度が速いって訳じゃなく、単純に荒垣が味を確認しながら食べたから遅かっただけだ。
 そうして2人揃って食い終わると、やがて先程の事に話が移る。

「それで、何で荒垣はあんな奴等に絡まれていたんだ? ナンパされていた女を助けたとか何とか、そんな話が聞こえてきたけど」
「何だよ、聞こえてたんじゃねえか。なら、別に俺が何か言う必要もねえだろ」
「そう言ってもな。……ここで奢って貰ったんだし、話くらいは聞かせてもいいんじゃいか?」

 その言葉に、荒垣は小さく溜息を吐いてから口を開く。

「はぁ……ったく、お前も本当に物好きだな。あの馬鹿と似てるな」
「……あの馬鹿?」

 荒垣の口調から考えると、何となく親しい相手……腐れ縁とか、悪友とか、そういう奴の事が思い浮かぶ。
 勿論、それが本当かどうかは俺には分からないが。

「ふん、何でもねえよ。……まぁ、別に話は難しい事じゃねえ。さっき俺と最初に話していた奴が、ちょっと前に強引に女をナンパしてたのを邪魔しただけだ」
「へぇ……なかなかやるな。正義の味方ってか?」
「けっ、馬鹿を言うんじゃねえ。俺の姿を見てみろよ。こんな正義の味方がいるか?」
「さて、いると思うけどな。世の中にはエンデュミオンの鷹って正義の味方もいるんだし」
「あん? エンデュミオンの鷹? 何だ、そりゃあ?」
「不可能を可能にする男だよ。たまに仮面を被ったりしてるけど」
「……お前、何を言ってるんだ?」

 俺の説明に、理解出来ないといった様子を見せる荒垣。
 まぁ、この世界の人間ならそれも不思議はないだろう。
 寧ろ、この世界でエンデュミオンの鷹と言われて、ああ、聞いた事があるなんて風に言ったら、それこそ驚く。

「まぁ、そういう存在もいるって話だよ」
「……まぁ、いい。それで、お前は何でこんな時間にここにいるんだ? そもそも、月光館学園の生徒じゃねえっつーなら、何しにこの周辺にいるんだよ?」
「こう見えて、俺にも色々とあるんだよ、色々と」

 まさか、俺が他の世界からやってきたとか、妙な現象に巻き込まれているとか、影という存在と戦っているとか、そういう事を言う訳にもいかず、結局はそう誤魔化す。

「色々、ね。……ふん、まぁ、そういう事にしておいてやるよ。アルマーに絡めば、妙な事になりかねないしな」
「そうした方がいい。……まぁ、時にはこっちから絡みに行く事もあるけどな。今日みたいに」
「けっ」

 俺の言葉を聞き、荒垣は面白くなさそうに視線を逸らす。

「それで、俺がこんな時間にここにいるのはいいとして、荒垣は何でこんな時間にここにいるんだ?」
「ああ? 俺は別に特別って訳じゃねえよ。いつもの事だ」
「ふーん。……ま、荒垣がそう言うんなら、それはそれで構わないけどな。さて、じゃあ助けた礼もして貰った事だし、俺はこの辺で帰るか」
「おい」

 立ち上がろうとした俺に向かい、荒垣は不意に声を掛けてくる。

「どうした?」
「お前、最近ここに来たばかりなんだろ? どこに住んでるんだ?」
「住む場所はまだ決まってないな。……ああ、そうだ。荒垣はこの辺りに詳しいんだよな? どこか泊まれる場所を知らないか?」
「あん? 泊まれる場所? それなら、別にその辺にホテルでも何でもあるだろ」
「正確には、身分証の類がなくても泊まれる場所、というのが正しいな」
「……ふん、なるほど。訳ありか」

 何かを納得したように頷き、荒垣はコップの水を口に運ぶ。

「そうだな。俺が訳ありじゃなきゃ、他の誰が訳ありなのかって程度には訳ありだな」

 実際問題、俺以上の訳ありがそうそういるとは思えないのは事実だ。
 そんな風に考えながら告げると、荒垣の俺を見る視線が微妙に呆れたものに変わる。

「どんだけ訳ありなんだよ、お前は」
「さてな。そもそも、訳ありじゃなきゃ、ポートアイランド駅の裏側に行ったりなんかしないだろ?」
「……まぁ、そりゃそうか」
「で、どうだ? 身分証がなくても泊まれる場所ってのは心当たりないか?」
「あー……幾つか心当たりはあるが、今の時間からってのは難しいな」

 そう告げる荒垣の言葉も、分からないではない。
 現在はあの現象が終わってからそれなりに時間が経っている。
 ファミレスにある時計に目を向ければ、既に午前2時近い。
 この時間に誰かがやってくるという事になれば、当然のように迷惑だと感じる者も多いだろう。

「なら、明日頼めるか? 出来れば、月契約出来るマンションとか、そういう場所がいいんだが」
「ああ? 無茶を言うなよ。……まぁ、いい。一応当たってみるが、無理でも文句を言うなよ」

 何だかんだと言いながらも、結局俺の要望を聞き入れる荒垣。
 面倒見がいいんだよな。
 まぁ、それで助かるのはこっちだから、何も文句はないけど。

「そうするよ。泊まる場所がないってのは困るからな」
「だろうな。この季節に野宿なんて、ちょっと洒落になってねえぞ」
「うん? ああ、まぁ、そういう問題もあったか」

 俺の場合、寒さとか暑さとか、そういうのでは特に影響を受けたりはしない。
 その気になれば寒さや暑さも感じる事は不可能じゃないが、今の状況でわざわざ好き好んでそんな真似をする筈もない。
 どこか不思議そうな視線を俺に向けてくる荒垣に、何でもないと首を横に振ってから口を開く。

「ともあれ、明日紹介を頼む。……話が纏まったら、連絡を入れてくれ。ああ、これ俺の携帯な」

 そう告げ、荒垣と携帯番号の交換をする。

「……身分証はないのに、携帯は持ってるんだな。いいのか?」
「何がだ?」
「いや、身分証を出せないってのは、素性を知られたくないんだろ? なのに携帯を使ってたら、そこからお前の事を調べられてもおかしくないと思うんだが」
「ああ、その件か。それはあまり心配しなくてもいい」

 実際問題、この世界で俺の事を調べられても素性が知られるという可能性は皆無だ。
 寧ろ俺の事で何かが判明したら、それはそれで面白いが。
 もし分かるとしても、俺がこの世界に来てからの足取りくらいだろう。
 ……やっぱり、裏の組織に接触して身分証を作って貰うべきか?

「ふん、まぁ、お前がそう言うならいいけどよ。……で、結局のところ、今日はどうするつもりなんだ? 泊まる場所はないんだろ?」
「そうだな。まぁ、一晩くらいならどうとでもなるさ。このファミレスも24時間営業だからな。ここで朝まで時間を潰してもいいし」

 店的には迷惑かもしれないが、適当に何かを注文し続ければ文句はないだろう。
 寧ろ、俺はいい客という扱いになると思う。

「なるほどな。ま、お前がそう言うなら、それでいいさ。もしどうしても行く場所がなかったら世話してやろうかと思ったが、それもいらないらしいな」
「そうか? まぁ、そうだな」

 荒垣は俺の言葉に頷くと、レシートを持ってレジに向かう。
 ……その際、レジでこれからもあの男が注文するからとか、迷惑を掛けるなとか言ってるんだが……その強面と体格に似合わず、どれだけ世話好きなのやら。
 ともあれ、荒垣が出ていったのを確認すると、俺はそのまま一晩をファミレスですごすのだった。





「やっぱりゆかりの部屋に泊めて貰えばよかったか?」

 朝食のセットを食べ終わり、料金を払ってファミレスを出る。
 ファミレスの中での一晩は、色々と料理を食えたという点では良かったが、ファミレスである以上眠ったりすれば追い出される可能性があるので、結局徹夜だった。
 本来なら俺の身体は睡眠を必要とする訳でもないのだろうが、それでも俺の場合は人間だった時の習慣から睡眠を必要とする。
 勿論軍人である以上、一晩程度の徹夜は平気だが。……ああ、そう言えば一応俺の立場は、軍人じゃなくて1国の代表なのか。
 まぁ、やってる事は軍人……いや、軍人ですらないか?
 全く未知の世界に自分から突っ込んでいるのだから。
 ただ、この世界は別に俺が望んでやって来た訳じゃないしな。
 そんな風に考えながら街中を歩いていると、月光館学園の生徒だろう。何人もの生徒が制服を着て道を歩いているのが分かる。
 ……俺の外見を考えると、もしかして私服のままでこの時間に街中にいるのって結構不味かったりするか?
 警官とか、補導員とかに見つかると厄介な状況になりそうな気がする。
 勿論、見回りの教師とかも。
 ああ、でも2月って事はもう高校3年なら学校に行ってないのか?
 なら、俺が街中にいても……いや、今の俺の外見は10代半ばだ。
 普通に見た限りでは、その年齢には見えないか。
 荒垣から連絡が来るまで、どうするべきかと考えながら街中を歩いていると、ふと携帯が鳴る。
 誰だ?
 いや、誰だって言っても、現在この番号を知っているのはゆかりと荒垣だけなんだが。
 勿論プログラムとかで適当な番号に電話を掛けるようなのもあるから、それに引っ掛かったって可能性もない訳じゃないだろうけど。
 だが、通知されている番号はゆかりのものだった。

「ゆかりか? どうした?」
『ううん、何か用事があった訳じゃないけど……昨日の今日だし、どうしてるかなと思って』
「それなら、特に心配はいらないな。こっちはあれから……」

 何もなかった。
 そう言おうとして、荒垣の騒動に首を突っ込んだ事を思い出し、言葉を切る。

『ちょっと、何かあったの? もしかして、普通の時間なのに影が現れたとか、そんなんじゃないわよね?』
「ああ、そういうのじゃない。ただ、ちょっと不良の喧嘩に巻き込まれただけだよ」
『そう、良かった』

 不良の喧嘩に巻き込まれたと言ってるのに、良かったと返ってくるのは、一体どうなんだろうな。
 まぁ、あの影とかに比べれば命の危険とかは少ないだろうし、魔法を使える俺が不良程度にどうにかされるとは思ってないってのは、こっちとしても当然の事だし、特に何かある訳でもないのだが。

「ゆかりは今どこにいるんだ? もうそろそろ通学の時間じゃないか?」
『そうね。そろそろ寮を出るわ。それで、今日何だけど……放課後はちょっと付き合いがあって、アクセルと一緒に行動出来ないんだけど、構わない?』
「ああ、こっちもちょっとやる事があるからな。そっちはそっちでやっててくれ」
『うん。ただ、夜になったら……お願いね』

 夜になったらお願い。
 普通に考えれば、艶っぽい事を指すのだろうが、今回の場合はあの現象と塔の事を意味しているのは間違いなかった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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