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とある3年4組の卑怯者

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3 嫉妬(ヤキモチ)

 
前書き
 リリィが藤木の通う学校かつ3年4組に転入してきた。花輪家の別荘でキャンプをしに行った面子達はリリィとの再会に喜び、花輪の家で歓迎会を行うことになる。その一方、みぎわが密かにリリィに対して敵対心を持つのであった!! 

 
 藤木は授業中、隣にリリィがいる事で胸がドキドキしていて授業に集中できなかった。そして国語の授業の時・・・。
「藤木君、次の段落を読んでください」
「え!?あ、ええと・・・」
 藤木はどこを読めばいいか分からなかった。
「す、すみません、どこですか?」
「藤木君、授業をちゃんと聞いていないとダメですよ」
 戸川先生は困った顔をした。藤木は折角好きな女子が隣にいるのに恥をかいてしまうなんて自分はどれだけついていないのかと思うのであった。授業が終わると永沢は藤木に声を掛ける。
「藤木君、君、もしかしてリリィに見惚れてて、上の空だったんじゃないのかい?」
「い、いや、そんな事ないさ!」
 永沢の透視能力のような洞察力に藤木はいつもの如く誤魔化すのであった。その一方、リリィはクラスメイトの女子達と喋っており、彼女達と早速仲良くなったようだった。
(いいなあ、リリィは、転校生だからってこんなにちやほやされて。僕も転校したら、卑怯者だなんて思われずに皆から人気者になれるのかな・・・?)
 藤木はリリィを羨ましがった。それに二人だけでリリィと喋りたい気持ちだったのだが、そのタイミングはなかなか掴めなかった。
「藤木君、君、もしかしてリリィと喋りたいと思ってるんじゃないのかい?」
「あ、いや、そんな事ないさ!」
 藤木はまたも永沢の問いに対して誤魔化した。
「まあ、君は手紙を出した相手が花輪クンと間違えられていたんだ。見向きしてくれるわけないと思うよ」
「そ、そんな・・・」
 藤木は悲愴になった。
(どうしよう、今日花輪クンちでリリィの歓迎パーティーやるって言うのに、行くのやめようかな・・・?)
 帰りの会が終わると、花輪がリリィの所へ向かう。
「Hey、僕の家へは僕のじいや・ヒデじいの車で送るよ」
「ありがとう、花輪クン」
(やっぱり、リリィは花輪クンとお似合いだ・・・。歓迎会、行くの止めよう・・・)
 藤木はそう思った。
「藤木君」
 藤木はリリィに呼ばれた。
「また後で会おうね。バイバイ」
「あ、うん」
 藤木は少し照れた。やっぱり歓迎会に行こうと思うのだった。そんな時、永沢が声を掛ける。
「藤木君、君、もしリリィから呼ばれなかったらきっと歓迎会行くの止めてたんじゃないのかい?」
「い、いや、そんな事ないさ!」
 永沢に心の中を見透かされ、藤木は案の定誤魔化した。そして慌てて話を変えようとする。
「な、永沢君は歓迎会に行くのかい?」
「勿論さ。花輪クンちに行けば高級なお菓子が食べられるじゃないか」
「あ、うん、そうだね」
 永沢は高級なお菓子狙いだった。彼は花輪に憧れており、花輪について行けば何かいい事が起きるのではと考えていたのであった。

 放課後となり、藤木は家に着くと、早速花輪家へ向かった。
 リリィは花輪の家がどこにあるかはわからなかったようだが、花輪の執事のヒデじいの車が彼女を送迎することになっていたので問題はなかったようだ。
「Hey、藤木クン。よく来てくれたね。こちらの広間に来てくれ給え」
 藤木は花輪が招待した広間に入った。リリィは既にそこにいた。
 そして、まる子、穂波たまえ、「はまじ」こと浜崎憲孝、「ブー太郎」こと富田太郎、丸尾、山田笑太、永沢、そしてみぎわとキャンプに行ったメンバーが集った。
 花輪が司会を務めた。
「Hey、それじゃ歓迎Partyを始めよう。先ずは久しぶりだから誰だか彼女も覚えていないだろうから自己紹介から始めよう。では僕から、僕は花輪和彦だよ、Nice to meet you,baby」
「俺は浜崎憲孝。はまじって呼んでくれよ!」
「おいらは富田太郎っていうんだブー!ブー太郎って呼んでくれブー!」
「あたしはさくらももこ。みんなからはまる子って呼ばれているんだ!」
「私は穂波たまえ、よろしくね!」
「オイラ、山田笑太だじょ~。アハハハ~!」
「ズバリ、ワタクシは学級委員の丸尾末男、次の学級委員の選挙はズバリこのワタクシに一票を宜しくお願い致します!」
「僕は永沢君男だ・・・」
「私はみぎわ花子よ。花輪クンの将来のお嫁さんよ!!」
 皆自己紹介を済ませていった。
「ほら、藤木君も名乗りなよ」
 永沢が催促した。
「あ、うん、ぼ、僕は藤木茂、また会えて本当に嬉しいよ」
 こうして一通り自己紹介が終わった。
「皆さんとまた会えて本当に嬉しいです。あの夏の野営(キャンプ)を思い出すわ」
「それではeverybody、glassを片手に持ってくれ給え。乾杯!」
「乾杯!」
 そのあと、皆はお菓子を食べてリリィと楽しく会話をした。複雑な心境の藤木と嫉妬(ヤキモチ)溢れるみぎわを除いて。
「ねえ、花輪クン。私またあのギターの演奏を聴きたいな。いいかしら?」
「ああ、いいとも。ヒデじい、guitarの用意を」
「畏まりました、お坊ちゃま」
 ヒデじいがギターを持って来ると、花輪はキャンプの時と同じ曲を弾き、鼻歌を歌った。
(やっぱり、リリィは花輪クンの方がお似合いだな・・・。ラブレター出したのが僕だって知ったとき、本当はがっかりしていたんじゃないかな。それに笹山さんも僕はリリィとうまく行っていると思って僕を遠ざけてしまうような、そんな気がする・・・)
 藤木は不安を感じていた。
「藤木君、君もしかして、リリィが花輪君と仲が良さそうで残念に思っているんじゃないのかい?」
「い、いや、そんなことないさ!」
 永沢に心の中を読まれた。花輪のギターの演奏が終わった。
「ありがとう、花輪クン。とっても素敵だったわ」
「いやいや、どういたしまして、Baby」
 ところがその時、みぎわの我慢の限界が来た。みぎわがテーブルをバン!と叩く。
「フンッ!アンタ、転校生のくせに何なのよ!?花輪クンを私から奪い取ろうなんて!一体どういう神経してんのよ!?え!?!」
 みぎわは鼻息を荒げてリリィに詰め寄る。リリィの顔が恐怖で引きつっていく。
「ちょ、ちょっと、みぎわさん落ち着きなよ」
 まる子がみぎわを止めようとした。
「そうだよ、リリィの歓迎会なんだから転校早々そんなに怒鳴っちゃかわいそうだよ・・・」
 たまえも抑えようとする。が、みぎわは引き下がらない。
「アンタたちは黙ってなさい!フンッ!アンタ、私と花輪クンの愛を引き裂こうとするなんて調子のってんじゃないわよ!!!」
 その時・・・。
「やめろーーー!!!」
 藤木が喚いた。 
 

 
後書き
次回:「遊戯(ゲーム)
 嫉妬のあまりにリリィに怒りむき出しのみぎわを抑えようとする藤木。その場を何とか抑えた後、皆はイギリスでよく行われている遊びをやる事にする・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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