| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ヘタリア学園

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十六話  おっかない上司

第八十六話  おっかない上司
 ロシアがドイツと友達になるということになってまず決まったのはロシアがドイツの家に遊びに来て一泊することでした。そのことでドイツとその上司は大忙しでした。
「あれは何処だ」
「あそこにあります」
「そうか」
 上司はドイツの報告を聞いてまずは頷きました。
「あとウォッカも用意しておくように」
「わかりました」
「私はいいからな」
 ここでも酒を飲まないのがドイツの上司です。
「とにかくロシアの機嫌を損なうな。今のところはな」
「今のところはですか」
 引っ掛かる物言いですがとにかく準備は進みます。ドイツは大忙しでそのことを友人の一人であるフィンランドにこぼしています。ベレー帽を被った金髪碧眼の青年です。軍服はドイツのものよりもさらに地味で背もそんなに高くありません。どっちかというと目立たない感じです。その彼がドイツと並んでドイツの家の中で話をしています。北欧風のシックな街中を。
「何かドイツさんも上下関係で苦労しているんですね」
「全くだ」
 手帳を手にメモを見ながら愚痴を零しています。
「毎日毎日。この間なんか聖杯探しに行かされたんだぞ」
 ドイツの上司が好きな舞台神聖祝典劇のお話ではありません。リアルです。
「あるのかないのかわからんというのに」
「そうですか。けれど」
 ここでフィンランドはふとドイツに言います。
「あんまり上司の人の愚痴言うと牢屋に入れられたりしません?」
 これはジョークですが生憎ドイツにジョークは通じません。
「何処の世界に自分の国を牢屋にぶち込む上司がいるものか」
「けれど」
 ここからはジョークではありません。
「ドイツさんの上司ならやりかねないような。あと向こうの上司も」
「うっ、それは・・・・・・」
 笑えない言葉でした。とんでもない上司を持っているというところはドイツとロシアは似ているようです。


第八十六話   完


                         2008・3・7
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧